[選手権]父の聖地・等々力で躍動した日大藤沢2年生MF中村龍剛、決勝進出導く神クリア&アシスト「ここで勝つ経験が僕には必要だった」
決勝進出を喜ぶ日大藤沢MF
[11.2 選手権神奈川県予選準決勝 日大藤沢高 1-0 桐蔭学園高 U等々力]
父の聖地・等々力で躍動した。日大藤沢高MF中村龍剛(2年)は全国高校選手権神奈川県予選準決勝・桐蔭学園戦で先発に抜擢され、堂々の80分間フル出場。後半16分に正確なダイレクトスルーパスで決勝点をアシストしたほか、前半終了間際には自陣ボックス内でのカバーリングで失点寸前のピンチをクリアするなど、1-0勝利での決勝進出に大きく貢献した。
中村龍剛の父は川崎フロンターレで18年間にわたってプレーしていた元日本代表MFの中村憲剛氏。この日の試合会場「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu」は小さい頃から父の活躍を見てきた思い出の場所とあり、特別な思いでこの1週間を過ごしてきたという。
「今週1週間、準備する中でこの等々力という特別な場所で勝つことが自分にとって大きなことになると思っていた。今日の朝もお父さんと『しっかり勝つんだぞ』という会話を交わしてきました」
これまでの2試合はベンチスタートだったが、この試合にかける気迫は佐藤輝勝監督にも伝わっていた。「これまではサブだったんですが、悔しかったんですかね。しっかり調子を上げていました」。その結果、MF野口慶人(3年)とのボランチ争いを制して先発の座を奪取。等々力のピッチに立つ権利をつかんだ。
選手として等々力に立つのは昨年12月の父の引退試合と、今年夏のインターハイ予選準々決勝・桐光学園戦(●0-2)に続いて3度目。夏にはこの地で全国出場のチャンスを逃す経験をしており、“リベンジ”にも燃えていた。
1試合目の桐光学園対横浜創英戦のハーフタイムに行われたピッチチェックでは、嬉しそうな表情でスタンド全体を見渡していた中村。その時に感じていたのは勝利への確信だったという。
「前回のインターハイで桐光さんにここで負けて、そこから夏にみんなで悔しい思いを乗り越えてここまでやってきたので、今日はチームで一体感を持って勝つだろうなと確信していました」
普段の試合にはない緊張も感じていたそうだが、その重圧を乗り越えるすべも知っていた。
「慣れている場所ではあるんですけど、選手としてはまだ3回目なので今日も久々に緊張してちょっとミスも目立ったと思うんですけど、徐々に味方の応援も背にピッチ内で慣れ始めたのかなと思います」
並の選手であれば等々力の雰囲気に適応するのは難しく、そもそも選手権準決勝の先発という重圧にも苦しめられるもの。しかし、中村は一発勝負のトーナメントという環境に難なく適応し、自身の持ち味を発揮できる勝負のパスだけでなく、リスクの低いセーフティーなプレー選択を使い分ける姿が印象的だった。
「自分はビルドアップも前での崩しもやっていきたかったけど、時間帯によってはリスクを冒したくない時間もあった。そこで自分がしっかりとCBとコミュニケーションを取って、(最終ラインに)落ちるとか、間で受けるとか、そういうのをちゃんとできたかなと思います」。
そして随所に決定的な仕事も果たした。
まずは前半アディショナルタイム2分、守備で魅せた。相手のシュートがポストに当たってゴール前にこぼれると、先読みしていたかのようなポジショニングでスライディングクリア。すぐ後ろには相手選手が詰めてきており、一歩遅れていれば失点ものの大ピンチを神がかり的な反応で救った。
すぐさまチームメートに駆け寄られ、ハイタッチの輪に囲まれた中村。「今日の試合では体調不良やケガで出られなかった3年生の分までというのを思っていた。3年生を絶対に引退させないという気持ちからあのプレーが出たと思います」と白い歯を見せた。
そして後半16分には得意の攻撃でも違いを見せた。右サイドからのスローインをボランチの相方のMF杉崎万泰(3年)がつなぐと、中村は受ける前から前線の状況を確認し、ダイレクトでスルーパス。これにMF平島翔海(3年)が反応し、そこから値千金の先制点が決まった。
「夏から真ん中の選手の崩しは練習してきたので一つ形になったのかなと。あそこで杉崎くんと目が合って、そこで三角形を作って平島くんに自分が刺せたので、あそこはしっかりイメージを共有できていたのかなと思う」
アシストがついたことには「翔海の個人技が全て」と謙遜したが、佐藤監督も「目線を合わせて崩しに入ることができたから生まれたゴール」と太鼓判を押す一発だった。
そうして掴んだ等々力初勝利。スタンドへの挨拶では父そっくりの笑顔とガッツポーズで喜びを爆発させ、中村は「ここで選手として勝つという経験が僕には必要だったと思うので、勝てて良かった」と笑みを見せた。
もっとも、チームとしては1週間後により大きな戦いが控えている。9日の決勝戦の相手はインハイ予選で敗れた桐光学園。期待の2年生MFは「今日は自分にとって特別な場所なのでここで1勝を挙げることが大きな中間地点だと思っていたけど、次で負けたら今日勝った意味もない。次に勝てば全国大会に行けるので、夏に悔しい思いをいっぱいしてきたその成果を決勝にぶつけたい」と決意新たに必勝を誓った。
(取材・文 竹内達也)
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父の聖地・等々力で躍動した。日大藤沢高MF中村龍剛(2年)は全国高校選手権神奈川県予選準決勝・桐蔭学園戦で先発に抜擢され、堂々の80分間フル出場。後半16分に正確なダイレクトスルーパスで決勝点をアシストしたほか、前半終了間際には自陣ボックス内でのカバーリングで失点寸前のピンチをクリアするなど、1-0勝利での決勝進出に大きく貢献した。
中村龍剛の父は川崎フロンターレで18年間にわたってプレーしていた元日本代表MFの中村憲剛氏。この日の試合会場「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu」は小さい頃から父の活躍を見てきた思い出の場所とあり、特別な思いでこの1週間を過ごしてきたという。
「今週1週間、準備する中でこの等々力という特別な場所で勝つことが自分にとって大きなことになると思っていた。今日の朝もお父さんと『しっかり勝つんだぞ』という会話を交わしてきました」
これまでの2試合はベンチスタートだったが、この試合にかける気迫は佐藤輝勝監督にも伝わっていた。「これまではサブだったんですが、悔しかったんですかね。しっかり調子を上げていました」。その結果、MF野口慶人(3年)とのボランチ争いを制して先発の座を奪取。等々力のピッチに立つ権利をつかんだ。
選手として等々力に立つのは昨年12月の父の引退試合と、今年夏のインターハイ予選準々決勝・桐光学園戦(●0-2)に続いて3度目。夏にはこの地で全国出場のチャンスを逃す経験をしており、“リベンジ”にも燃えていた。
1試合目の桐光学園対横浜創英戦のハーフタイムに行われたピッチチェックでは、嬉しそうな表情でスタンド全体を見渡していた中村。その時に感じていたのは勝利への確信だったという。
「前回のインターハイで桐光さんにここで負けて、そこから夏にみんなで悔しい思いを乗り越えてここまでやってきたので、今日はチームで一体感を持って勝つだろうなと確信していました」
普段の試合にはない緊張も感じていたそうだが、その重圧を乗り越えるすべも知っていた。
「慣れている場所ではあるんですけど、選手としてはまだ3回目なので今日も久々に緊張してちょっとミスも目立ったと思うんですけど、徐々に味方の応援も背にピッチ内で慣れ始めたのかなと思います」
並の選手であれば等々力の雰囲気に適応するのは難しく、そもそも選手権準決勝の先発という重圧にも苦しめられるもの。しかし、中村は一発勝負のトーナメントという環境に難なく適応し、自身の持ち味を発揮できる勝負のパスだけでなく、リスクの低いセーフティーなプレー選択を使い分ける姿が印象的だった。
「自分はビルドアップも前での崩しもやっていきたかったけど、時間帯によってはリスクを冒したくない時間もあった。そこで自分がしっかりとCBとコミュニケーションを取って、(最終ラインに)落ちるとか、間で受けるとか、そういうのをちゃんとできたかなと思います」。
そして随所に決定的な仕事も果たした。
まずは前半アディショナルタイム2分、守備で魅せた。相手のシュートがポストに当たってゴール前にこぼれると、先読みしていたかのようなポジショニングでスライディングクリア。すぐ後ろには相手選手が詰めてきており、一歩遅れていれば失点ものの大ピンチを神がかり的な反応で救った。
すぐさまチームメートに駆け寄られ、ハイタッチの輪に囲まれた中村。「今日の試合では体調不良やケガで出られなかった3年生の分までというのを思っていた。3年生を絶対に引退させないという気持ちからあのプレーが出たと思います」と白い歯を見せた。
そして後半16分には得意の攻撃でも違いを見せた。右サイドからのスローインをボランチの相方のMF杉崎万泰(3年)がつなぐと、中村は受ける前から前線の状況を確認し、ダイレクトでスルーパス。これにMF平島翔海(3年)が反応し、そこから値千金の先制点が決まった。
「夏から真ん中の選手の崩しは練習してきたので一つ形になったのかなと。あそこで杉崎くんと目が合って、そこで三角形を作って平島くんに自分が刺せたので、あそこはしっかりイメージを共有できていたのかなと思う」
アシストがついたことには「翔海の個人技が全て」と謙遜したが、佐藤監督も「目線を合わせて崩しに入ることができたから生まれたゴール」と太鼓判を押す一発だった。
そうして掴んだ等々力初勝利。スタンドへの挨拶では父そっくりの笑顔とガッツポーズで喜びを爆発させ、中村は「ここで選手として勝つという経験が僕には必要だったと思うので、勝てて良かった」と笑みを見せた。
もっとも、チームとしては1週間後により大きな戦いが控えている。9日の決勝戦の相手はインハイ予選で敗れた桐光学園。期待の2年生MFは「今日は自分にとって特別な場所なのでここで1勝を挙げることが大きな中間地点だと思っていたけど、次で負けたら今日勝った意味もない。次に勝てば全国大会に行けるので、夏に悔しい思いをいっぱいしてきたその成果を決勝にぶつけたい」と決意新たに必勝を誓った。
(取材・文 竹内達也)
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