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[選手権]悪夢の敗戦から5か月。「この子たちはメンタルが凄い」青森山田が逆転で雪辱、29連覇達成!

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青森山田高が県予選29連覇を達成

[11.2 選手権青森県予選決勝 八戸学院野辺地西高 1-2 青森山田高 カクスタ]

 青森山田が逆転で29連覇達成! 第104回全国高校サッカー選手権青森県予選決勝が2日、青森市のカクヒログループ アスレチックスタジアムで行われ、八戸学院野辺地西高青森山田高が対戦。青森山田が2-1で勝ち、29大会連続31回目の全国大会出場を決めた。

 八戸学院野辺地西に1-1(PK5-6)で敗れ、青森県内での公式戦連勝が418でストップしたインターハイ予選決勝からちょうど5か月。青森山田が苦しみながらもリベンジし、青森県の頂点に立った。チームは涙のインターハイ予選敗退後も毎週、プレミアリーグEASTで勝つための準備と90分間の戦い。悔しさを胸に秘めて日常やインターハイのない夏に取り組み続け、直近のプレミアリーグEASTでは5連勝、2位まで順位を上げた。

 そして、迎えた選手権予選では、「もう一回負けたら自分たちの成長がないっていうこと」(GK松田駿主将/3年/岡山内定)という姿勢で臨んで優勝。正木昌宣監督は、「(取り組んできたことが)正解かどうか分からないけれど、オレが高校生なら無理だろうなと。ここでもう一回跳ね返したのは、やっぱこの子たちはメンタルが凄いかなと思います」と選手たちを称賛していた。

 青森山田はこの決勝でGK松田(U-17日本高校選抜)、DF菱田一清(3年)、福井史弥(3年)、月舘汰壱アブーバクル(3年/U-18日本代表)、大場光翔(3年)、MF今田匠(3年)、藤原栄之郎(3年)、杉山大起(3年)、小澤丈(2年)、FW深瀬幹太(3年)、桑原唯斗(3年)が先発した。

青森山田はインハイ予選の雪辱戦

 一方、歴史的勝利で初出場したインターハイに続き、選手権初出場を狙う八戸学院野辺地西は、GK喜村孝太朗(3年)、DF橋本楓琉(3年)、中野渡琉希(3年)、山下海藍(3年)、越後來琉(2年)、MF木村隆太(2年)、関下煌己(2年)、阿部莞太(3年)、小向蓮翔(2年)、野城怜(2年)、FW藤田律主将(3年)の11人が先発した。

夏に続く全国初出場を目指した八戸学院野辺地西

 立ち上がり、雪辱を期す青森山田が開始4分間で3本のCKを獲得。4分に今田の右クロスをファーの桑原が頭で合わせるなど相手を飲み込もうとする。だが、八戸学院野辺地西がファーストチャンスで先制点を奪う。10分、山下の右ロングスローのクリアを関下がゴール前に入れると、小向が正確な胸トラップから右足一閃。インターハイ予選決勝に続き、再び八戸学院野辺地西が先手を取った。

前半10分、八戸学院野辺地西MF小向蓮翔が先制ゴール

夏に続き、先手を取った

 青森山田はすぐ反撃を試みるが、なかなか噛み合わない。前線へのロングボールは相手CB山下に競り負け、セカンドボールをMF阿部に拾われてしまう。八戸学院野辺地西は青森山田のプレッシングに対しても慌てずにボールを繋ぎ、小向、野城の両翼などを活用した攻撃。24分には木村のパスから藤田が左足を振り抜き、26分にも右サイドから攻め、逆サイド、PAの小向へボールが渡る。

八戸学院野辺地西はMF阿部莞太がセカンドボールの攻防で健闘

 だが、青森山田GK松田がゴール前から大きく飛び出して1対1をストップ。また、月舘が抜群の高さのヘッドで相手の攻撃を跳ね返していたが、全体的にミスが多く流れを引き寄せることができない。

 青森山田は38分、左の今田が鋭いターンで突破し、ラストパスを桑原がゴールへ押し込むもオフサイドの判定。40+1分にも桑原が枠へシュートを飛ばしたが、相手GK喜村の守備範囲で1点ビハインドのまま前半を終えた。

 ハーフタイム、八戸学院野辺地西は藤田とFW里村斗望(2年)を交代。対する青森山田はセカンドボールの対応について修正する。藤原と小澤のダブルボランチを縦に配置することで回収する数を増加。すると、小澤が高い位置でボールを運ぶシーンが目立つようになり、サイド攻撃も活性化した。右サイドで抜群の運動量を見せる杉山と、後半7分に投入されたMF斉藤雅人(2年)の両翼が仕掛け続けて相手にプレッシャーをかける。

精力的な動きで青森山田を引っ張ったMF杉山大起

 10分には杉山の右クロスを深瀬が落とし、斉藤が右足シュート。枠を捉えたものの、相手GK喜村のファインセーブに阻まれた。直後には藤原の左CKをファーの月舘が右足で合わせるが、クロスバーをヒット。水際で凌ぐ八戸学院野辺地西は、小向とFW吉濱剣翼(2年)を交代した直後の21分にも山下のスーパークリアでゴールを死守する。

 その直後、八戸学院野辺地西が野城とMF真船大駕(2年)を入れ替えたのに対し、青森山田は桑原とCB島津亮太(3年)を交代。186cmのCB大場を前線へ上げ、パワープレーに移行する。

 アディショナルタイムを含めるとまだ20分以上残っていたが、青森山田の正木監督は「(2-1で逆転勝ちした23年プレミアリーグファイナルの)サンフレッチェ(広島ユース)戦を思い出して。あの時も小泉(佳絃)を20分前ぐらいに最後上げたんで。やっぱり(1点ではなく)2点取らないと。延長行くと、相手は交代枠も増えてもう一回、『やれるな』となる。だから、『2点取りに行こう』と思って」の策だったことを明かす。

 大場の高さに加え、杉山と斉藤の両翼の突破力が相手の脅威に。26分には、GK松田のパントキックから深瀬が1人で粘って左CKを獲得する。そして、藤原が左サイドから2本連続でCKを蹴り込むと、中央の菱田が頭で叩きつけて同点ゴール。ついに、スコアを振り出しに戻した。

後半26分、青森山田DF菱田一清が同点ヘッド

このゴールで青森山田の勢いは加速

 八戸学院野辺地西の三上晃監督は「怪我によるアクシデントの交代で両翼(小向、野城)を失ったっていうところは、実は今日のゲームプランで非常に重要な右ワイドと左ワイドの選手だったので」と残念がる。後半は交代選手を含めてなかなか前へのパワーを出すこともできず、「総合力でまだまだ及ばないなっていうところ」。対して青森山田は明らかに硬さのあった前半から一転、後半は運動量や切り替えの速さ、強度で相手との差を見せつけた。

 34分、青森山田は敵陣で一度ボールを失いながらも、藤原と斉藤が2人がかりで奪い返す。そして、縦につけると、攻め残っていた左SB福井を経由して深瀬の足下へ。最後は深瀬がターンからの右足シュートを左隅に決め、逆転した。

後半34分、青森山田FW深瀬幹太が右足シュートをねじ込み、決勝点

勝利への執念を示し、逆転

 青森山田は38分、MF麓莱凛(3年)とDF林斗愛(3年)を同時投入。DFラインへ戻った大場と月舘、島津を中心に攻撃機会を相手に与えず、2-1で勝利した。インターハイ予選は連覇が24でストップしたが、選手権予選で29連覇達成。正木監督は「歴史が変わるって、(3年前に)私が監督代わった時のように大変だったし、その変わった歴史をきちっともう1回ここで盛り返したっていうのは、ほんと選手たち凄いなと思います」と称賛の言葉を繰り返した。

優勝の瞬間、青森山田GK松田駿主将が両拳を握りしめて喜ぶ

八戸学院野辺地西は初Vに届かず

 主将の松田はまずピッチに立てなかった3年生たちのサポートに感謝。そして、「(インターハイ予選敗退後、)最初の方はほんとに責任感もありましたし、世間の声もありますし、それで自分たちは落ちるようなことがあったんですけど、それでも負けは変わらないんで、前を向いてやるしかないっていうのはチーム全員で話してたんで。結果的に泥臭くてもいいんで、最後まで諦めないっていうのがこの結果に結びついたかなっていう風に思います」と頷いた。

 夏には国士舘大などとの練習試合で強度の高い戦いを経験。チーム全員の守備意識がさらに高まり、プレミアリーグEASTではリーグ最少失点を維持している。この日はインターハイ予選同様に先制点を献上したが、「大丈夫」「次、やろう」と慌てず切り替えて戦えたことも、松田は「一つ成長したところ」と説明。ビハインドを跳ね返す力を示したチームはこれから、プレミアリーグと選手権の2冠に挑戦する。

 松田は「まずは1年生の時からほんとに3冠という目標を掲げた中で、インターハイでその目標が達成できなかったっていうのはあるんですけど、まだ2冠っていう目標は自分たちの中であるわけで、選手権も取りたいですけど、まずはプレミアリーグでもっとレベル高い相手の中でも青森山田らしいサッカーをすれば、間違いなく優勝争いに食い込めると思うんで、まずはプレミアリーグを優勝して(ユニフォームの胸の)星を1個増やしたい。その後の選手権でも自分たちが悔いないようにやれば必ず結果はついてくると思うので、そこで自分たちが結果を残せれればなっていう風に思っています」。悪夢の敗戦からの雪辱勝利は通過点。強い精神力と勝負強さで重圧を乗り越えた青森山田が、ここから胸の星の数を増やす。

青森山田はプレミアリーグ、選手権での優勝を狙う

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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