全国屈指エースは肘打ちレッドで県決勝不在に…「また迷惑をかけてしまった」山梨学院FWオノボフランシス日華が語る胸中
レッドカードに受けたエースFW
[11.1 選手権山梨県予選準決勝 山梨学院高 2-0 東海大甲府高 JITス]
試合後、山梨学院高の選手たちは、決勝進出の喜びに浸りながらスタジアムを後にした。ただ、レッドカードで決勝不在が確定したFWオノボフランシス日華(3年)は、選手入場口から自身が出られない決勝の舞台を見つめていた。「前半のうちに点が取れてよかったけど……」と自らがゴールを決めた準決勝を振り返った。
夏のインターハイ4試合で7得点を挙げ、その名を全国に轟かせた世代屈指のストライカーだ。高さ、速さ、強さから発揮する得点力を、今予選でも発揮した。準々決勝・甲府商戦(○3-0)では、鋭い抜け出しから相手GKの飛び出しを見計らい、技ありのループシュートを決めていた。
準決勝・東海大甲府戦でも、真価を発揮した。前半36分、左CKにPA中央のオノボが反応。しかし相手GKのパンチングに遭い、ファーサイドに流れたボールをDF中村嘉希(3年)が再び折り返す。「嘉希が触ったところで、ボールがいいところに来たので」。オノボが冷静に右足で押し込み、先制ゴールを挙げた。
「あとはもう触るだけだった」。そう簡単そうに語るオノボだが、直前のプレーをハイジャンプからのヘディングシュート未遂で終えていたことで体勢を崩していた。それでも中村からのダイレクトパスを決めた姿は、まさしく全国区のストライカーだった。
しかし、前半を1-0で折り返した山梨学院にピンチの時間が訪れる。後半11分、敵陣PA内で相手のマークを受けていたオノボは、マークを振り切るために右腕を振った。その際に肘が相手選手の顔に直撃。その瞬間を見逃さなかった主審は静かにレッドカードを出し、エースは退場処分となった。
相手の激しいマークや挑発に乗った形だ。それでもオノボは「自分が相手の顔に肘を入れてしまった。故意ではない……だけど、それでもレッドカード」と自身のプレーを受け入れ、謝罪を語る。「プリンスリーグも含め、チームにまた迷惑をかけてしまった」。9月のプリンスリーグ関東1部の試合でも反スポーツマン的行為により出場停止に。復帰から満を持して今大会に臨んでいたが、再び出場停止となってしまった。
決勝という大一番に絶対的エースが不在。戦力面はもちろん、ほかの選手のメンタル面にも影響が出る可能性もある。
仲間の気持ちはさまざまだ。オノボ退場後にゴールを決めたFWメアスソムナン(2年)は「日華の分まで点を決めて勝利へ導くことができたら」と気を吐いた。一方、MF高見啓太(3年)はオノボへの思いを覗かせつつも、キャプテンとしてチームのために言葉をつむぐ。
「いろいろな挑発があるので、(オノボ)本人もいろいろ難しいとは思う。だけど、やっていいことの線引きもある。だから優しい言葉をかけるつもりはない。優しい言葉をかけるのも違うので、しっかり向き合ってほしい」(高見)
8日の決勝まで、オノボのできることは限られている。それでも「できるかぎりのサポートをしたい」。反省の弁を口にしつつ、仲間への思いを語った。
高卒からのプロ入りも注目されるなかで、「大学でまた自分を鍛えなおして、一歩ずつレベルアップして、プロに行きたい」と山梨学院大への進学を決断した。卒業後の進路が決まったなかで、最後の舞台に懸ける思いも強まる。
夏のインターハイではPK戦の末にベスト8で敗退。「あそこで勝っていたら優勝もあったという試合。その忘れ物ではないけど、取り返すために最後に全国に出たい」。エースはその思いを仲間に託し、決勝はピッチ外から支えるつもりだ。
(取材・文 石川祐介)
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試合後、山梨学院高の選手たちは、決勝進出の喜びに浸りながらスタジアムを後にした。ただ、レッドカードで決勝不在が確定したFWオノボフランシス日華(3年)は、選手入場口から自身が出られない決勝の舞台を見つめていた。「前半のうちに点が取れてよかったけど……」と自らがゴールを決めた準決勝を振り返った。
夏のインターハイ4試合で7得点を挙げ、その名を全国に轟かせた世代屈指のストライカーだ。高さ、速さ、強さから発揮する得点力を、今予選でも発揮した。準々決勝・甲府商戦(○3-0)では、鋭い抜け出しから相手GKの飛び出しを見計らい、技ありのループシュートを決めていた。
準決勝・東海大甲府戦でも、真価を発揮した。前半36分、左CKにPA中央のオノボが反応。しかし相手GKのパンチングに遭い、ファーサイドに流れたボールをDF中村嘉希(3年)が再び折り返す。「嘉希が触ったところで、ボールがいいところに来たので」。オノボが冷静に右足で押し込み、先制ゴールを挙げた。
「あとはもう触るだけだった」。そう簡単そうに語るオノボだが、直前のプレーをハイジャンプからのヘディングシュート未遂で終えていたことで体勢を崩していた。それでも中村からのダイレクトパスを決めた姿は、まさしく全国区のストライカーだった。
しかし、前半を1-0で折り返した山梨学院にピンチの時間が訪れる。後半11分、敵陣PA内で相手のマークを受けていたオノボは、マークを振り切るために右腕を振った。その際に肘が相手選手の顔に直撃。その瞬間を見逃さなかった主審は静かにレッドカードを出し、エースは退場処分となった。
相手の激しいマークや挑発に乗った形だ。それでもオノボは「自分が相手の顔に肘を入れてしまった。故意ではない……だけど、それでもレッドカード」と自身のプレーを受け入れ、謝罪を語る。「プリンスリーグも含め、チームにまた迷惑をかけてしまった」。9月のプリンスリーグ関東1部の試合でも反スポーツマン的行為により出場停止に。復帰から満を持して今大会に臨んでいたが、再び出場停止となってしまった。
決勝という大一番に絶対的エースが不在。戦力面はもちろん、ほかの選手のメンタル面にも影響が出る可能性もある。
仲間の気持ちはさまざまだ。オノボ退場後にゴールを決めたFWメアスソムナン(2年)は「日華の分まで点を決めて勝利へ導くことができたら」と気を吐いた。一方、MF高見啓太(3年)はオノボへの思いを覗かせつつも、キャプテンとしてチームのために言葉をつむぐ。
「いろいろな挑発があるので、(オノボ)本人もいろいろ難しいとは思う。だけど、やっていいことの線引きもある。だから優しい言葉をかけるつもりはない。優しい言葉をかけるのも違うので、しっかり向き合ってほしい」(高見)
8日の決勝まで、オノボのできることは限られている。それでも「できるかぎりのサポートをしたい」。反省の弁を口にしつつ、仲間への思いを語った。
高卒からのプロ入りも注目されるなかで、「大学でまた自分を鍛えなおして、一歩ずつレベルアップして、プロに行きたい」と山梨学院大への進学を決断した。卒業後の進路が決まったなかで、最後の舞台に懸ける思いも強まる。
夏のインターハイではPK戦の末にベスト8で敗退。「あそこで勝っていたら優勝もあったという試合。その忘れ物ではないけど、取り返すために最後に全国に出たい」。エースはその思いを仲間に託し、決勝はピッチ外から支えるつもりだ。
(取材・文 石川祐介)
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