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[選手権]欠場中の親友の期待に応える直接FK弾!MF小曽納奏が後悔しないように磨いてきた武器で尚志を救う:福島

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後半22分、尚志高MF小曽納奏(3年=鹿島アントラーズノルテジュニアユース出身)が直接FKを決め、同点

[11.3 選手権福島県予選準決勝 尚志高 2-1(延長)帝京安積高 仙台大学サッカーフィールド郡山]

 親友の期待に応え、チームを救った。インターハイ3位の尚志高は前半、8本のシュートも実らず、相手の1チャンスによって決められて0-1で前半終了。後半もシュート数を増やしていたが、なかなか得点を奪うことができなかった。

 それでも、22分にMF小曽納奏(3年=鹿島アントラーズノルテジュニアユース出身)が右足FKを直接決めて同点に追いついた。帝京安積高の準々決勝の映像から、FK時のGKが立ち位置を事前に分析。中央寄りに立っていたことからファーに狙いを定め、味方選手によってボールを隠した上でグラウンダーのシュートを右隅に決めた。

「ちょっと芝もボコボコだったんで、浮いたボールを蹴ろうとしたら、試合中にミスする場面が多かったんで、ちょっと下でグラウンダー気味のシュート打とうかなと思って打ったら入りました」

 同点弾は欠場中の親友の期待に応える一撃でもあった。「真大(10番MF田上真大/3年)が怪我しちゃって、自分、ずっと真大と仲良くて『点決めてこい』って言われてたんで、その中で(ボランチの自分には)ここしか自分のチャンスないなと思ったんで、そこはチャンス逃さないで決めれて良かったです」。ゴールを確認すると、田上の名前、真大(マヒロ)の頭文字である「M」を両手で形どるパフォーマンスで喜んだ。

 ただし、自身のプレーについては満足をしていない。特に前半はバックパスが増えてしまい、攻撃のテンポを作ることができなかった。後半は平常心で前を向いてボールを運び、展開を変えるキックと献身的な守備も。そのボランチは決勝でも勝って、夏の悔しさを選手権全国大会で晴らす意気込みだ。

 小曽納は今夏のインターハイ初戦の後半立ち上がりに足首を痛めて途中交代。3回戦は同点の試合終盤に強行出場したものの、準々決勝、準決勝はベンチ外だった。自身不在で勝ち上がって行くチームに複雑な思いもあったという。

「自分が出ない中でチームがだんだんと勝ち進んでいって、個人としても自分がいない方がいいんじゃないかとか、やっぱ他の選手が出た方がいいかもな、と思ったんですけど、怪我を治す期間にやっぱりそういう心で卒業したら絶対に後悔するなと思ったんで。筋トレとかもそうですけど、食事とか体重制限とかもしっかりやって、今は怪我をしない身体を作れてるかなと思っています」

 8月末のプリンスリーグ東北後期初戦から先発復帰し、秋田U-18戦では決勝FK弾。そして、この日も直接FKを決めて自身の存在価値を一つ示した。復帰当初は痛みもあってキックの感覚にズレも。それだけに、「(後悔しないために)何本も練習後に蹴ったりしてたんで、そこで今日のFKとか成果が出せたかなと思っています」と胸を張った。

 鹿島のアカデミー出身の小曽納にとって、2018年度選手権で得点王に輝き、その後鹿島入りしたFW染野唯月(現・東京V)は特別な存在だ。「卒業後もできたら染野君みたいにアントラーズ行きたかったんですけど。尚志なんで、自分の一番思い入れのある選手というか、憧れでもあるんで。(いつか)染野さんと一緒にプレーできるように、ここでも活躍して、大学でしっかりプロになりたいなと思います」。まずは決勝へ向けて心から準備して勝つこと。そして、選手権では染野の全国3位を超えて日本一を勝ち取り、自身の存在を関係者たちにアピールする。

チームを救う一撃に喜びを爆発


(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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