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[選手権]「9度目の正直」で選手権予選初の帝京撃破!堀越は東京3連覇を手繰り寄せるために「高校サッカーで一番重要な1週間」と真摯に向き合う!:東京A

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堀越高は帝京を撃破して東京3連覇に王手!

[11.8 選手権東京都Aブロック予選準決勝 帝京高 1-2 堀越高 味の素フィールド西が丘]

 相手が強いのはもちろんわかっていた。攻撃力も抜群。タレントも豊富。下馬評だって嫌でも耳に入ってくる。それでも、引いて守るつもりなんて毛頭ない。自分たちの努力してきたことを、積み上げてきたものを信じて、やり合う。殴り合う。そのうえで、絶対に勝つ。

「たぶん相手をリスペクトして守るやり方もあったと思います。ただ、やり合わないと彼らの成長はないなと。それで負けるにしても、何か返ってくるものはありますし、勝ったらその倍は返ってくるものがあるわけで、『これが正しかったんだ』『これがオレたちの形だ』というものが明確になるので、やり合わないと明確なものは見つからないと思っていました」(堀越高・佐藤実監督)

 真っ向勝負を挑んで、東京3連覇に王手!8日、第104回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック予選準決勝が行われ、前年の東京代表同士が激突した帝京高堀越高は、2-1で堀越が粘り勝ち。3年連続での全国切符にあと1勝と迫っている。


 試合は開始3分で動く。「監督も『先制点がゲームの鍵だ』と言っていましたし、試合の入りをチームとして意識していました」とGK高足導(3年)も話した堀越は、中盤で前向きにボールを奪うと、MF高橋琉(2年)が左へ展開。MF濱岡大世(2年)がクロスを入れ、キャプテンのFW三鴨奏太(3年)とFW谷口昊成(3年)が残し、最後はMF杉村充樹(3年)が丁寧なシュートをゴール左スミへ流し込む。「相手をずらしてから冷静に打てたので、そこは良かったと思います」と笑った背番号2が一仕事。堀越が1点のリードを奪う。



 ただ、帝京もすぐに追い付く。7分。右サイドをMF渡辺莉太(2年)とのワンツーで抜け出したDF小林爽人(3年)がクロスを上げ切り、エリア内でこぼれ球を拾ったMF杉岡侑樹(3年)はGKとの1対1も落ち着き払って、確実にボールをゴールネットへ送り届ける。1-1。あっという間にスコアを振り出しに引き戻した。

帝京は杉岡侑樹が同点ゴールを沈める



 やり合う両者。7分は堀越。高い位置でボールを奪った三鴨は、FW千葉慎之助(3年)からのリターンを受けて枠内シュートを放つも、ここは帝京GK荒川喜道(2年)がファインセーブ。11分は帝京。右サイドから渡辺がインスイングのクロスを蹴り込み、走り込んだMF久保恵音(3年/今治内定)のヘディングはゴール左へ逸れるも、双方が早くも2点目への意欲を前面に打ち出す。

 すると、次の得点を引き寄せたのは堀越。32分。DF横尾瑛人(3年)の縦パスから、MF谷口悠成(3年)は巧みな浮き球をライン裏へ。走った杉村が速いグラウンダークロスを流し込むと、DFがクリアしきれずオウンゴールに。光った右ウイングバックの推進力。2-1。再び堀越がアドバンテージを手にして、前半の40分間は終了した。


「堀越さんがちゃんと僕たちのことをよくスカウティングして、自分たちの良さを消しに来ている感じはありましたね」と藤倉寛監督も言及した帝京は、同点と逆転を目指して後半開始からフルスロットル。1分にはMF原田誉裕(2年)、宮本とボールを繋ぎ、杉岡のシュートは高足にキャッチされたものの好トライ。3分にも渡辺と宮本の細かいパスワークから、右に持ち出した杉岡のフィニッシュは、ここも高足がビッグセーブ。堀越の守護神がゴールに立ちはだかる。

ファインセーブを連発した堀越GK高足導


 7分は堀越に決定機。ドリブルで運んだ谷口昊成がスルーパスを通し、抜け出した杉村のシュートは荒川が果敢に飛び出してセーブ。こぼれに反応した三鴨のヘディングは、しかしクロスバーにヒット。絶好の追加点のチャンスをモノにしきれない。

 以降は1点を追い掛ける帝京が攻勢を強める中で、堀越は相手のショートパスにもドリブルにも、良い間合いで寄せながら、奪い切る時は複数人で襲い掛かるようなシーンも多々。「どんどん前からプレスに行きながら、中盤で刈り取れる場面も結構多かったですね」とは三鴨。12分にはMF小川稜太(2年)を、22分にはMF田中豪(3年)とFW高橋李来(3年)を投入し、全体の運動量とプレス強度を担保しながら、確実に時計の針を進めていく。

 帝京は藤倉監督も「自分たちの良さが出せないまま、時間が過ぎていっている印象があったので、それが後半はガラッと変わってくれればなという、そのタイミングを窺っていたような気はするんですけどね」と口にする中、交代カードを切りながら宮本やMF加賀屋翼(3年)を中心に反撃を試みるも、ゴールが遠い。

帝京の中盤を引き締めたMF加賀屋翼


 終盤は追い込まれた帝京の猛攻が続く。40+1分。途中出場のMF住野空来(3年)が左からサイドを変え、同じく途中出場のMF永野太一(3年)が好トラップから打ち切ったシュートは、わずかにゴール右へ。40+2分。DF谷津勇月(3年)のフィードに、前線へ上がっていたDF高橋遼(3年)が競り勝ち、宮本の鋭い枠内シュートは、ここも高足が執念のファインセーブ。直後の左CKをMF高橋佳汰(3年)が蹴り入れ、宮本がGKに競り勝ったボールはゴールへ向かうも、谷口悠成が懸命に掻き出し、詰めた宮本のシュートも谷口悠成が身体で弾き、田中が大きくクリアする。

 そして、3分間のアディショナルタイムが経過すると、試合終了のホイッスルが西が丘の空に吸い込まれる。ファイナルスコアは2-1。「本来我々がやりたかった、ボールをしっかり握って、相手コートで奪って、最後はゴール前にきっちり鍵を掛けて、というような形の試合が今日はできたのかなと思っています」と佐藤実監督も胸を張った堀越が、同校初となる東京3連覇に王手を懸ける結果となった。




 堀越が全員の力を結集して、勝利を手繰り寄せた試合後。三鴨が興味深いことを話していた。「今週はずっと監督が『殴り合う』という表現を使っていて、とにかく一歩も引かずに、どんどん相手の領域に自分たちから入っていって、そこで殴って勝つというところを意識していました」。

 佐藤監督はその意図について、こう語っている。「それぐらいのマインドで行かないと、たぶん帝京さんの前の選手はパワフルで、テクニカルで、スピードもあって、あの選手たちを抑えることは難しいというところで、そこはキーワードにしました。『殴り合える距離ってどういう距離?』と彼らに実際に言って、『この距離じゃ殴れないから、もっと近付け』と」。

「あとは『仲間が殴られたら、見ているのではなくて、来いよ』というようなイメージで、『殴られたら殴り返せ』と。彼らも『この距離感で』と言われるよりは、『殴れる距離で』と言われた方がわかりやすいのかなって。後半はちょっとラインが伸びちゃいましたけど、そこの部分でのスライドとか、チャレンジアンドカバーの明確性は、比較的できたかなと思っています」。

 もちろん中盤でも良い距離間で、2人、3人と相手に迫るプレスも機能していたが、同様に圧巻だったのは右からDF山下聡太(1年)、DF三田広陽(3年)、横尾で組んだ3バックがエリア内で築いた堅陣ぶり。「毎試合ゴール前になったら、『どっちの足を出すか』とか、『顔を背けない』とか、そういうところが勝負を決めるとよく言われているので、今日もそれを意識しながら良い形で守れたのかなと思います」とは高足。三鴨も「三田も瑛人も良かったですし、急遽出た1年の聡太も、自分の期待以上のプレーをしてくれました」と高評価を口にしており、相手とバチバチにやり合うメンタルを兼ね備えているディフェンス陣も、この大会を通じて確実に自信を纏ってきている。

 これも試合後に佐藤監督が明かしてくれたのだが、堀越は今回の一戦が選手権予選で帝京と対戦するのは9度目であり、過去の8試合はいずれも負けていたという。まさに『9度目の正直』でカナリア軍団を初めて撃破したことで、新たな歴史の扉は1つこじ開けた。次に狙うのは東京3連覇という、こちらも未知なる世界への到達。偉業達成に向けて、選手たちの言葉も頼もしい。

「もうあと1個で負けたら全部パーになるので、もう帝京戦のことは忘れていますし、監督がミーティングで言っていたんですけど、ここからは『高校サッカーで一番重要な1週間』だと思うので、決勝では自分たちの領域に相手を引きずり込みたいなと思います」(三鴨)

「堀越史上初めての3連覇を目指してやっていますけど、この次に勝たないと本当に意味がないと思うので、帝京の分も、石神井の分も、実践の分も背負って、絶対に全国に出たいなって。決勝で負けるのは悔いが残ると思いますし、監督も『この1週間はサッカー人生の中でも一番大きな1週間になる』と言っていたので、しっかり準備していきたいなと思います」(高足)

 舞台は整った。あとは、もうやり合うだけ。悩んで、もがいて、永遠にも思えるような長いトンネルの中をさまよいながら、ようやくたどり着いた東京ファイナル。2025年の堀越の集大成。ここから『高校サッカーで一番重要な1週間』と真摯に向き合い、味の素スタジアムのピッチでも、自分たちの持てるものすべてを出し切って、全員で最高の歓喜を手繰り寄せる。



(取材・文 土屋雅史)

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土屋雅史
Text by 土屋雅史

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