beacon

[選手権]個性的な選手たちが目線を揃え、3-0で1年前のリベンジ。夏冬連続日本一へ、神村学園が鹿児島制覇

ポスト
Xに投稿
Facebookでシェア
Facebookでシェア
URLをコピー
URLをコピー
URLをコピーしました

インターハイ優勝校の神村学園高が2年ぶりの鹿児島制覇

[11.16 選手権鹿児島県予選決勝 神村学園高 3-0 鹿児島城西高 白波ス]

 夏の王者が宿敵を破り、全国へ――。第104回全国高校サッカー選手権鹿児島県予選決勝が16日、鹿児島市の白波スタジアムで開催され、インターハイ優勝校の神村学園高鹿児島城西高が対戦。神村学園が3-0で勝ち、2年ぶり12回目の全国大会出場を決めた。

 最近16大会で13度目となる決勝での鹿児島ライバル対決。昨年度決勝での敗戦後、新人戦決勝、インターハイ決勝で勝利していた神村学園が今回も勝利し、“選手権の借り”を選手権で返した。

 主将のDF中野陽斗主将(3年/U-18日本代表/いわき内定)は、「去年の負けがあったからこそ、自分たちは準決勝を勝っても慢心せず、この決勝にっていう風に懸けていたので、去年の先輩たちが残してくれた、ある意味良いものがこの試合に繋がっているので、重圧とかなくチャレンジャーとして臨めたかなと思います」と頷いた。

 神村学園はインターハイで鹿児島県勢初優勝を果たし、プレミアリーグWESTでも現在6位。今大会は準決勝(対鹿児島高)を6-0で制すなど4試合で35得点(2失点)をマークしている。決勝はGK寺田健太郎(3年)、DF今村太樹(3年)、中野、細山田怜真(3年)、荒木仁翔(3年)、MF堀ノ口瑛太(3年)、福島和毅(3年/U-18日本代表/福岡内定)、岡本桂乙(3年)、FW倉中悠駕(3年)、徳村楓大(3年/町田内定)、日高元(3年/U-17日本高校選抜候補)の11人が先発した。

インターハイ王者・神村学園の先発メンバー

 一方の鹿児島城西は現在、プリンスリーグ九州1部で首位。初戦からの3試合を20得点無失点で勝ち上がり、準決勝で伝統校の鹿児島実高に1-0で勝利した。だが、決勝はU-18日本代表のエースFW大石脩斗(3年)が怪我の影響でベンチスタート。GK杉本葵(1年)、DF中村颯太(3年)、常眞亜斗(3年)、浮邉泰士(3年/U-18日本代表)、MF重盛響輝主将(3年)、吉田健人(3年)、野村颯馬(3年/24年U-16日本代表候補)、冨迫奏介(2年)、FW境勇翔(2年)、寺田翔真(3年)、長渕禅(2年)の11人で2連覇をかけた一戦をスタートした。

鹿児島城西はエースFW大石が先発を外れたが、前回大会の優勝メンバーたち中心に奮闘

 立ち上がり、神村学園が積極的に仕掛ける。5分、右WB細山田の中への動きから倉中がそらすと日高がPA右へ抜け出し、決定的な右足シュート。さらに、徳村が左サイドでDFを振り切り、ラストパスへ持ち込む。

 だが、鹿児島城西も境が力強くボールを運び、さらに野村が左中間から縦突破。9分には寺田の右ロングスローを中村が頭で直接合わせる。これは神村学園GK寺田の正面を突いたが、さらにショートカウンターからフィニッシュへ持ち込むなど、大石不在の前線が攻め切る強さを見せていた。

 だが、神村学園が12分に先制する。右の堀ノ内が縦パスを差し込むと、日高が強引なターンでDFと入れ替わり、PAへ侵入。そして、マイナスのラストパスを徳村が右足ダイレクトでゴール左へ流し込んだ。

前半12分、神村学園FW日高元がターンから右中間を突破し、ラストパス

町田内定FW徳村楓大が右足で決め、先制点

 狙い通りにペナルティマーク付近のスペースを取って先制点。神村学園の有村圭一郎監督は「みんなの動きの中で、『“PKスポット”のところに入ってこい、困ったらそこ』っていうのは今回のテーマであって、そこに行った人間、そこに上げた人間、そういう『困ったら何』みたいなのは各大会で色々あるので、それを忠実に再現してくれた」。1年前は1点を奪えずに苦しみ、0-1で涙を呑んでいる神村学園が、見事な崩しでリードを奪った。

狙い通りの攻撃でリードを奪った

 この1点で神村学園は勢いづいた。17分にも左WB荒木が縦に仕掛けてラストパス。徳村の左足シュートがGKの横を抜ける。だが、鹿児島城西DF常がゴールカバーしてクリア。神村学園は1タッチ、2タッチでボールを動かす中、福島の相手中盤のラインを破るドリブル、また日髙や徳村、倉中の推進力や高さを活かした攻撃も交えて相手を押し下げていく。

前半17分、鹿児島城西はDF常眞亜斗(4番)がスーパークリア

 だが、浮邉が最終ラインで強さを示すなど、1点差を維持した鹿児島城西が、逆に決定機を作り出す。21分、前線の長渕がボールを収め、境とのダイレクトのワンツーで抜け出す。そして右足を振り抜くが、ボールはわずかにゴール左へ外れた。それでも、速攻とロングスローでゴール前のシーンを創出。またファウルになることを厭わず、厳しいチェックを続けた。インターハイ王者に食い下がると、前半28分頃に大石がウォーミングアップエリアからベンチに呼ばれる。

 そして、ユニフォームになって出場準備。だが、エース投入直前に痛恨の2点目を奪われてしまう。29分、神村学園は左の日高がキープ、パス交換からクロスを上げる。これをペナルティマーク付近の徳村が胸コントロールから左足で狙う。これはDFにブロックされたが、こぼれ球を倉中が頭でゴールに押し込んだ。

前半29分、神村学園FW倉中悠駕が頭で決め、2-0

相手エースの交代出場直前に大きな2点目

 神村学園の点を取りに行く姿勢、目線を揃えた攻撃が再び結実。有村監督は「ウチが負けるとしたら0-1だと思っていたので、1点を早く取ること、1点を取りに行くことっていうのは、やっぱり1年間こだわってやってきて、先に取れて加点までできたので、あとはちょっとゲームを落ち着かせてやる。そういう今日のゲームプランでしたね」。鹿児島城西は失点直後に冨迫と長渕を大石とMF別府拓眞(3年)を同時投入する。

 そして、大石が前線での奪い返しも見せたが、流れを大きく変えるまでには至らない。38分、神村学園は福島がセカンドボールの回収からドリブルで仕掛けて左足一閃。だが、鹿児島城西GK杉本が横っ飛びで指先に触れ、ポストを叩いた。

鹿児島城西はU-18日本代表のDF浮邉泰士が中心になって相手に食い下がる

 鹿児島城西の新田祐輔監督は大石のベンチスタートについて迷いはなかったという。長期離脱からこの大会へ向けて復帰を急いだが、ベストではなく、2日前の準決勝でフル出場したことによって、休ませることができなかった。加えて、その準決勝で新たな負傷。「プリンス(リーグ九州1部)の6試合、大石がいないでやっていたので(ベンチスタートさせることに)全然もう迷いはなくて、勝負どころで出そうっていうところだった。逆に先発で行っていなくなった時の方が神村の勢いが増す。勝負どころまでいれるかどうか分からなかったので」。1点差での投入であればまた試合展開は変わったかもしれない。だが、チームにとって2点差は重かった。

 それでも後半、鹿児島城西はCKの本数を前半の1本から5本へ増加。左CKをファーサイドの大石が狙うシーンがあったほか、境のクロスに大石が飛び込むシーンもあった。だが、セットプレーを相手DF今村や中野、GK寺田に阻まれ、セカンドボールを岡本、福島に回収されるなど、なかなか厚みのある攻撃をすることができない。

 鹿児島城西は12分に寺田をDF永井元輝(2年)と交代。神村学園も倉中とインターハイで大活躍したMF佐々木悠太(3年/U-17日本高校選抜)を入れ替える。

 次の1点を奪ったのは、神村学園の方だった。16分、細山田の左CKを中野が頭で右隅に決めて3-0。鹿児島城西は直後に境とDF日髙絢仁(1年)を交代し、浮邉を前線へ上げる。

後半16分、神村学園はいわき内定DF中野陽斗主将が左CKを頭で決めて3-0

歓喜の咆哮

 大石と浮邉にボールを入れ、強引に相手の守りを壊しに行く。だが、神村学園は中野が大石を徹底マーク。簡単にはボールを入れさせない。そして、奪ったボールを保持しながらゲームコントロール。また、前線の選手たちをはじめ、各選手がボールを収めて失わず、鹿児島城西に十分な反撃時間を与えなかった。

鹿児島城西は怪我を抱えるU-18日本代表FW大石脩斗が何とか流れを変えようとする

神村学園は準決勝から復帰のGK寺田健太郎が相手のセットプレーに対応するなど無失点

 鹿児島城西は重盛が右足ミドルを放つなど、難しい試合展開の中でも折れることなく、戦い続ける。だが、神村学園は34分、徳村とMF花城瑛汰(2年)を交代した後も、パスを繋ぎ、相手をいなしていた。主導権を握り続け、終了間際には細山田と荒木をDF米村颯真(1年)とDF大空星那(2年)へチェンジ。ほとんど隙を見せず、3-0で試合を終えた。

 神村学園は1年前に涙を呑んだピッチで3-0快勝。有村監督は「ちょっとしたことをみんな揃えようとした結果だったのかなって思いますけどね。(これまでならば)自分が、自分がっていうところがちょっと今日はみんな揃えながら(主役ではなく、一人ひとりの)役者をしていましたね」と語る。タレントたちが個人個人にならず、目線を揃えながらチームプレー。その上で個々の特長を発揮し、3点を奪った。

 インターハイ王者の重圧も感じさせないような戦い。有村監督は「やっぱり言葉では言いますけど、絶対緊張はするはずなので。ただ、『勝っても負けても絶対的に成長する場面だから、緊張してもったいないなっていう風に終わるのはやめよう』って話をして。僕らが思っているほど慌てなかった。どっちかって言うと子供たちの方が冷静だったのかもしれないですね」と目を細める。

 壁を超え、昨年度は悔しい思いで見ることしかできなかった選手権への切符を獲得。全国大会にはU-17ワールドカップで奮闘中のU-17日本代表DF竹野楓太(2年)が加わる。また、インターハイ決勝の延長戦でサブ組の活躍があったように、J内定組や代表・選抜組以外にも力のある選手たちが控えており、選手層は非常に厚い。

「この大きく緊張する場面を1個抜けたので、(選手権では)もうちょっとサッカーを楽しませてあげられると、もうちょっと個人の力も出ると思うので。あそこの場で経験できることってやっぱり大きいことなので、1試合でも長く試合がしたいですね」と指揮官は語り、中野は「先生方も取ってますし(有村監督と柏野裕一コーチが鹿児島実時代に選手権優勝)、夏も取ってるので、冬に向けてもっと1人1人が成長していきたい」。目標は神村学園初の選手権制覇と夏冬2冠。チーム内で切磋琢磨しながら成長し、選手権でもライバルたちを上回る。

神村学園が3-0で1年前の雪辱を果たした

(取材・文 吉田太郎)


●第104回全国高校サッカー選手権特集
▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中
吉田太郎
Text by 吉田太郎

「ゲキサカ」ショート動画

TOP