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[選手権予選]京都は立命館宇治が2年ぶりの全国へ

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[第90回全国高校選手権京都府大会決勝 福知山成美0-1立命館宇治 西京極]

 第90回全国高校サッカー選手権京都府大会は20日に西京極運動公園陸上競技場で決勝戦が行われ、立命館宇治が1-0で全国総体予選王者の福知山成美を下し、2年ぶり2度目の全国大会出場を決めた。

「(立ち上がりは)弱気になってしまっていた」。試合後、立命館宇治の梁相弘監督がこう話したように、立ち上がりペースを握っていたのは福知山成美だった。福知山成美はDFラインから1タッチや2タッチで素早くボールを動かし、バイタルエリアでMF平田一慧(2年)に預けてキープ。相手DFが寄せる前にサイドへ展開し、クロスを狙いに出る。ただ、立命館宇治は押し込まれるシーンが目立ったものの、CB玉田健斗主将(3年)を中心に中央をしっかり固め、クロスに対応した。

 相手の繋ぐサッカーに押し込まれてしまった立命館宇治だったが、梁監督からの「DFラインが低かった。DFと中盤の間が空いちゃったので、そこに当てられてしまった。恐がらずにラインを押し上げよう」という指示を受け、守りに素早く修正を施したことでチーム状態が向上していく。

 最終ラインから前線までをコンパクトに保ち、平田に自由を与えていたスペースを潰し、集団でボール保持者を囲んで奪うと、中盤でのボール回しからサイドに展開し、MF北岡慧悟(3年)、永井健人(2年)がドリブルで相手DFに仕掛けていく。そして迎えた前半27分、自陣でのカットからFW樋口尚紀(3年)に繋ぎ、中盤から大きく右サイドに展開。これを受けた北岡がドリブルでPAに進入し、中へ低いクロスを送る。福知山成美のGK竹原裕二(3年)が前に出て反応したが、弾いたボールは駆け上がったFW樋口の元へ。これを樋口がダイレクトで押し込み、立命館宇治が先制した。

「後手後手にならないように、先取点を狙っていた。それが取れたことが良かった」。梁監督の狙い通りの先制パンチ。得点後もDFラインからのフィードでFW高橋俊樹(2年)ら攻撃陣の速さを活かそうとする福知山成美に決定機を与えず前半を折り返す。

 後半は両者一進一退の攻防。ディフェンスラインからのポゼッションと素早いフィードを織り交ぜ、3トップの速さを活かそうとする福知山成美に対し、立命館宇治はDFから前線までのラインをうまく上げ下げすることで3トップがスピードに乗る前に攻撃をブロック。奪ってからは素早く前線にフィードを送り、樋口のタメからサイドに持ち込んでCKを奪い、高さで勝るセットプレーで追加点を狙った。

 後半半ばを過ぎ、福知山成美はFW真崎力也(3年)、高橋のサイドからの突破で惜しい場面を続けて作り出すが、「今日は当たっていた」(梁監督)というGK泉谷寛治(3年)が冷静な判断でシュートコースを見極め、好セーブを連発。福知山成美はアディショナルタイムにもクリアボールが前線へ渡り、真崎がフリーでシュートする場面があったが、立命館宇治は「しっかりDFが並走してコースを切ってくれていた」(泉谷)としっかりわずかな隙を防いで、勝利を掴んだ。

 この両チームは今夏の総体予選決勝でも対峙。梁監督が「情けないミスで負けてしまった」と振り返ったように立命館宇治はPK戦で涙を呑んだ。「悔しさがあった」(梁監督)とリベンジに向けてチームが1つにまとまりを見せたことが今回の勝因のひとつ。選手全員で掴んだ2度目の全国の舞台。今日のサッカーのように一丸となって、準優勝を果たした前年の久御山の躍進に続けるか期待が集まる。

(取材・文 森田将義)
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