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[選手権]MF田畑がエース・右高を封じ、途中出場GKが殊勲のセーブ!!矢板中央がPK戦の末、國學院久我山下す

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[1.3 全国高校選手権3回戦 矢板中央1-1(PK5-3)國學院久我山 埼玉]

 第90回全国高校サッカー選手権は3日、各地で3回戦を行った。埼玉・埼玉スタジアム2002で行われた第1試合では、矢板中央(栃木)と國學院久我山(東京B)が対戦。1-1でもつれ込んだPK戦で、終了間際に投入されたGK百合本泰広(3年)がしっかりと3人目のシュートをストップ。矢板中央がPK5-3で勝利をおさめ、全国8強入りを決めた。

 矢板中央は185cmFW石井涼斗(3年)が2日に行われた2回戦で左膝を負傷。そのため、出場時間は20分から30分に限定され、ベンチスタート。代わって、MF佐藤涼磨(2年)が先発した。対する國學院久我山は、2回戦の鹿島学園戦(2-1)から先発を一人入れ替え、DF小比賀奨(3年)が右SBで先発した。システムは変わらずに4-3-3。前線には、ここまで2戦3発を決めているFW右高静真主将(3年)ら強力な3人が顔を揃えた。

 開始約30秒、早くも試合が動いた。味方からのバックパスを國學院久我山GK後藤雅明(2年)が空振り。PA内右でこぼれたボールを素早く拾ったMF福澤邦人(3年)がシュートを流し込み、矢板中央がラッキーな形で先制点を奪った。

 しかし、國學院久我山も素早く同点に追いつき、試合を振り出しに戻す。右サイドから攻め込むも、DF遠藤哲史(3年)にあと一歩のところでクリアされる。それでも、ここで獲得した右CK。右高が蹴り込んだボールにゴール正面でフリーのFW大畑圭輔(3年)が合わせ、頭で叩き込んだ。2回戦では、黒子に徹していた大畑の今大会初ゴールで國學院久我山が1-1に追いついた。
 
 このゴールで勢いづきたい國學院久我山だったが、この日はエース・右高が矢板中央MF田畑喜行(3年)のマンマークに苦しみ、チャンスをつくれず。矢板中央の攻撃時にも、田畑は右高から離れない。12月23日に左足のふくらはぎを負傷し、1回戦で実戦復帰したばかりのMFが痛み止めを飲みながらも奮闘。「監督から右高が相手の心臓部だから止めてくれと言ってもらったので、やるしかないと思った」と無尽蔵のスタミナでピッチを駆け回った。右高は密着マークされ、完全に封じ込まれてしまう。前半38分には、ロングボールから裏に空いたスペースに抜け出すが、すぐに矢板中央の選手2枚に囲まれ、ボールを失った。試合は1-1で前半を折り返した。

 迎えた後半、國學院久我山が立て続けにチャンスをつくる。右SB小比賀がオーバーラップし、決定機を演出。しかしゴールにはつながらない。後半21分には右サイドからドリブルで仕掛けたMF渡辺夏彦(1年)がPA内へ切れ込むが、DFにクリアされた。

 対する矢板中央はカウンターから勝ち越しゴールをめざすが、シュートまで持ち込めない。流れを変えようと、後半26分には佐藤に代えて、エースFW石井を投入した。これを受けて國學院久我山ベンチもすかさず動く。中盤右サイドの渡辺に代えて、183cmのFW室井晃希(3年)をピッチへ送り、その2分後には大畑に代えて、FW白瀧秀斗(3年)。同38分には、FW富樫佑太(1年)をFW山本哲平(2年)に交代。次々と前線へフレッシュな選手を送った。

 しかし、互いに決定的な場面をつくることはできず。終了間際のロスタイム2分には、PK戦を見据えた矢板中央はGK斉藤夕希也(3年)に代えて、GK百合本泰広(3年)をピッチへ送った。そのままスコアは動かず。試合は1-1でPK戦にもつれ込んだ。ともに2人目まで全員が決める。先攻の矢板中央、3人目の菊地が決めると、國學院久我山のDF菊池創太(3年)が左へ蹴り込んだシュートは百合本がストップ。その後の2人がしっかり決めた矢板中央がPK5-3で勝利した。

 "PK戦要員"としてピッチへ送られた守護神が殊勲のセーブ。守護神・百合本は喜びの涙を流し、「今まで親やお世話になった人に感謝の気持ちを伝えていなくて、プレーで見せようと思っていた。見せることができてよかった」と笑顔。高橋健二監督は「いい守備からいい攻撃というテーマでやってきて、きょうは久我山のパスサッカーを相手に守備的にやろうと。いい形でPK戦に持ち込めた」と試合を振り返った。

 これで全国ベスト8。いよいよ聖地・国立競技場が見えてきた。菊池主将は「国立が着実に近づいてきたと思う」と微笑み、「勝った実感はまだわかないが、次もうちのサッカーをやって戦いたい」と力を込めた。09年度大会の全国4強という過去最高成績に並ぶべく、5日に行われる準々決勝では、清水商(静岡)vs市立船橋(千葉)の勝者と対戦する。 

(取材・文 片岡涼)
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