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[MOM557]尚志GK秋山慧介(2年)_インターハイで見せたPKストップ再び!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 全国高校選手権3回戦 桐光学園3-3(PK2-4)尚志 ニッパ球]

 勝利が確定する味方のPKキックは見なかった。頭を下にし、ピッチに塞ぎこむようにして、とにかく入れと祈っていた。スタンドの歓声と仲間たちの駆け寄ってくる足音で、硬い表情が笑顔に変わる。尚志(福島)の守護神秋山慧介(2年)は顔をくしゃくしゃにして喜んだ。

「自分がミスをして、すぐに点を入れられた。だから絶対にPKを止めて勝利に貢献したいと思っていました。勝てて、すごく嬉しいです」

 前半22分に尚志が先制したが、後半8分に桐光学園のサイド攻撃から1-1の同点に追いつかれた。この失点、「判断ミスで前に出るのが遅れて、パンチングが中途半端になってしまった」と秋山が振り返った通り、ボールは秋山の手をかすめてファーサイドにいた桐光学園DF高橋将吾(3年)のもとへ。頭で押し込まれてしまった。

 その後、尚志は再び突き放すも追いつかれ、後半24分には2-3と逆転されてしまった。FW後藤拓也(3年)の起死回生弾で3-3とし、PK戦に持ち込んだが、秋山は自分のミスで流れが悪くなったと悔やんでいた。

 迎えたPK戦。秋山にリベンジの舞台が訪れた。桐光学園の先行で始まったが、一番手キッカーのエースFW佐野弘樹(3年)のキックを読みきってセーブ。「データもありましたけど、最後は自分のひらめきで飛んだ。止められてよかったです」。これでチームはリズムをつかみ、4-2で勝利。秋山は完全にミスを帳消しにしてみせた。

 身長は173cmとGKにしては小さいが、PKにはめっぽう強い。昨夏の高校総体(インターハイ)では、2回戦で聖和学園と対戦し、2-2の末のPK戦で4-2勝利したが、その時は秋山が2本止めている。3回戦の初芝橋本戦も1-1の末にPK戦で2-1勝利したが、なんと秋山は3本をセーブしている。「PKは自信がありました」と秋山は胸を張った。この日はミスもあり決して大喜びは出来なかったが、再び自信を深めたに違いない。

「しっかりと後ろから声をかけて守っていきたい。次もPKになったら止めたいです。チーム一丸で一つ一つ勝っていきたい。勝ち続けて福島の人に元気を与えられたらと思います」と秋山は決意を語った。ミスにもへこたれない強い精神力で勝利をもたらした“小さな守護神”。5日の準々決勝は攻撃力が高い桐生第一(群馬)との対戦となるが、好セーブでチームの勝利に貢献するつもりだ。 

(取材・文 近藤安弘)

(写真提供『高校サッカー年鑑』)


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