[大学選手権]苦しんだ前年王者…流通経済大は延長後半の森保FK弾で北陸大に辛勝
[12.10 全日本大学選手権2回戦 流通経済大3-2(延長)北陸大 夢の島]
アパマンショップPresents第64回全日本大学選手権(インカレ)の2回戦が10日に行われ、夢の島競技場の第1試合では前年王者の流通経済大(関東4)が北陸大(北信越)を延長戦の末に3-2で下した。13日の準々決勝では関西学院大(関西1/総理大臣杯)と対戦する。
前半、北陸大が前回王者を苦しめた。西川周吾監督が「1回戦の反省を生かした」というように、序盤からエンジン全開。開始早々にMF越博康(4年=作陽高)、前半24分にはMF横山暁之(1年=東京Vユース)がミドルシュートでゴールに迫る。すると同39分、左サイドから出されたクロスをFW金睦燦(3年=F東京U-18)が反転シュートで蹴り込む。左足から離れたボールは右ポストを叩いたが、そのままゴールネットに収まった。
前半の流経大のシュート数はわずか1本。「相手に対応できなかった」と振り返ったのは主将DF田上大地(4年=流通経済大付柏高、V・ファーレン長崎内定)。ベンチからのスタートとなっていたMF森保圭悟(4年=広島ユース)も「今年一番悪いくらいの前半だった」と頭を抱えたほど、最悪の立ち上がりとなった。
だが流経大は後半、ようやくボールが回りだす。左サイドのDF石田和希(2年=流通経済大付柏高)やMF西谷和希(4年=鹿島学園高)が積極的に仕掛けてリズムを作っていく。すると後半18分、左サイドから上げた西谷のクロスをFW中村慶太(4年=流通経済大付柏高)が押し込む。ヘディングシュートはGKに弾かれたが、こぼれ球をボレーで押し込み、同点に追いついた。
勢いづく流経大は後半32分、後半開始と同時に出場していたFWジャーメイン良(2年=流通経済大付柏高)の裏への抜け出しにGK谷垣大輔(3年=伏見工高)が前に出てクリアする。しかしこのボールが中途半端になると走り込んだこちらも途中出場のFW星野秀平(2年=流通経済大付柏高)が左足ループシュートでゴールを狙う。流経大がついに試合をひっくり返した。
しかし、このままでは試合は終わらなかった。アディショナルタイム表示がされ、流経大が試合を終わらせるだけかと思われたアディショナルタイム2分、北陸大に右サイドからの展開を許すと、再び金に押し込まれてしまい、まさかの同点。試合は延長戦に突入することになった。
漂う重い空気。しかし、PK戦の可能性も見え始めた延長後半10分、流経大の伝家の宝刀がさく裂する。ゴール正面やや左で得たFKのチャンス。キッカーポジションには田上と後半39分から途中出場していた森保が立つ。「俺が決めてやるって強い気持ちを持って蹴りました」。右足から放たれた狙い澄ましたシュートは、壁を越えて、ゴールネットに吸い込まれていった。
流経大の中野雄二監督は、開幕前日の会見で、初戦は準々決勝で対戦することが予想される関西学院大を見据えたメンバー構成で挑むことを明言。ただこれは温存ではなく、部員240名を抱える利点を生かし、2チームを作ってきたと説明。「普段から選手を育てているということです。五輪でもW杯でも同じメンバーではできないですよね。軸になる人間はいますが、組み合わせ次第だと思っています」。
優勝した昨年度の大会も、流経大は東海学園大との2回戦を延長で勝ち上がっている。そして勝ち上がれば上がるほど、他チームにはない選手層の厚さが、ボディーブローのように効いてくる。中野監督も「楽なゲームは1つもないが、他のチームは試合を重ねればパフォーマンスが落ちてくる。もちろん、負けちゃえば終わりですが、いろんな選手を使いながら戦えるのはウチだけなので」と笑みを浮かべた。
王者相手に善戦した北陸大だが、あと一歩が及ばなかった。ただ、西川監督は、「力関係を考えれば想定通りだった。選手たちの出来には満足している」と評価した。8日の常葉大学浜松キャンパス(東海1)戦で大会初勝利を挙げた北陸大。王者を苦しめた戦いは北信越リーグのレベルの高さを示すとともに、新たな可能性を見せつけた。
(取材・文 児玉幸洋)
●第64回全日本大学選手権特集
アパマンショップPresents第64回全日本大学選手権(インカレ)の2回戦が10日に行われ、夢の島競技場の第1試合では前年王者の流通経済大(関東4)が北陸大(北信越)を延長戦の末に3-2で下した。13日の準々決勝では関西学院大(関西1/総理大臣杯)と対戦する。
前半、北陸大が前回王者を苦しめた。西川周吾監督が「1回戦の反省を生かした」というように、序盤からエンジン全開。開始早々にMF越博康(4年=作陽高)、前半24分にはMF横山暁之(1年=東京Vユース)がミドルシュートでゴールに迫る。すると同39分、左サイドから出されたクロスをFW金睦燦(3年=F東京U-18)が反転シュートで蹴り込む。左足から離れたボールは右ポストを叩いたが、そのままゴールネットに収まった。
前半の流経大のシュート数はわずか1本。「相手に対応できなかった」と振り返ったのは主将DF田上大地(4年=流通経済大付柏高、V・ファーレン長崎内定)。ベンチからのスタートとなっていたMF森保圭悟(4年=広島ユース)も「今年一番悪いくらいの前半だった」と頭を抱えたほど、最悪の立ち上がりとなった。
だが流経大は後半、ようやくボールが回りだす。左サイドのDF石田和希(2年=流通経済大付柏高)やMF西谷和希(4年=鹿島学園高)が積極的に仕掛けてリズムを作っていく。すると後半18分、左サイドから上げた西谷のクロスをFW中村慶太(4年=流通経済大付柏高)が押し込む。ヘディングシュートはGKに弾かれたが、こぼれ球をボレーで押し込み、同点に追いついた。
勢いづく流経大は後半32分、後半開始と同時に出場していたFWジャーメイン良(2年=流通経済大付柏高)の裏への抜け出しにGK谷垣大輔(3年=伏見工高)が前に出てクリアする。しかしこのボールが中途半端になると走り込んだこちらも途中出場のFW星野秀平(2年=流通経済大付柏高)が左足ループシュートでゴールを狙う。流経大がついに試合をひっくり返した。
しかし、このままでは試合は終わらなかった。アディショナルタイム表示がされ、流経大が試合を終わらせるだけかと思われたアディショナルタイム2分、北陸大に右サイドからの展開を許すと、再び金に押し込まれてしまい、まさかの同点。試合は延長戦に突入することになった。
漂う重い空気。しかし、PK戦の可能性も見え始めた延長後半10分、流経大の伝家の宝刀がさく裂する。ゴール正面やや左で得たFKのチャンス。キッカーポジションには田上と後半39分から途中出場していた森保が立つ。「俺が決めてやるって強い気持ちを持って蹴りました」。右足から放たれた狙い澄ましたシュートは、壁を越えて、ゴールネットに吸い込まれていった。
流経大の中野雄二監督は、開幕前日の会見で、初戦は準々決勝で対戦することが予想される関西学院大を見据えたメンバー構成で挑むことを明言。ただこれは温存ではなく、部員240名を抱える利点を生かし、2チームを作ってきたと説明。「普段から選手を育てているということです。五輪でもW杯でも同じメンバーではできないですよね。軸になる人間はいますが、組み合わせ次第だと思っています」。
優勝した昨年度の大会も、流経大は東海学園大との2回戦を延長で勝ち上がっている。そして勝ち上がれば上がるほど、他チームにはない選手層の厚さが、ボディーブローのように効いてくる。中野監督も「楽なゲームは1つもないが、他のチームは試合を重ねればパフォーマンスが落ちてくる。もちろん、負けちゃえば終わりですが、いろんな選手を使いながら戦えるのはウチだけなので」と笑みを浮かべた。
王者相手に善戦した北陸大だが、あと一歩が及ばなかった。ただ、西川監督は、「力関係を考えれば想定通りだった。選手たちの出来には満足している」と評価した。8日の常葉大学浜松キャンパス(東海1)戦で大会初勝利を挙げた北陸大。王者を苦しめた戦いは北信越リーグのレベルの高さを示すとともに、新たな可能性を見せつけた。
(取材・文 児玉幸洋)
●第64回全日本大学選手権特集