[12.10 全日本大学選手権2回戦 桃山学院大2-3国士舘大 BMWス]

　桃山学院大(関西3)は8強入りを前に敗退が決まった。2度のビハインドを跳ね除けたが、3失点目を喫するとその後が続かなかった。一時は2-2に追いつくゴールを決めたFW中井涼太(3年=大阪体育大浪商高)は「ただただ悔しいです」と唇を噛んだ。

　前半5分に早くも失点。楚輪博監督が「ゲームの入り方としては最初の10分はセーフティーに入るはずだった」と明かしたように、プラン通りとはいかない立ち上がりだった。それでも、中井が「点を決められたことで開き直れた」と話すように、失点後は臆することなく果敢に攻め込みチャンスを演出。サイドから中井がドリブル突破で仕掛ければ、FW岡佳樹(3年=東山高)は的となってボールをキープ。2列目からはMF椋木健太(4年=立正大淞南高)らが飛び出した。指揮官も「岡と中井のコンビのところ。中井の裏へのスピードと、岡がどれだけためられるかは、開始5分にやられてからはちゃんとやれていた」と振り返って評価する。

　中井も「攻撃面では岡がいるから絶対に(得点は)あると思っていて、1点や2点は入るはずだから焦ることはなかった」と開始直後の失点を振り返る。慌てなかったチームは落ち着いて攻め続けると、前半終了間際の45分に同点弾。MF伊藤圭斗(4年=作陽高)の左CKから、最後はMF藤城奨平(4年=富山一高)が押し込んだ。

　1-2で迎えた後半15分にはFKから失点を喫するも、2分後の同17分には同点弾。右サイドのスローインからMF岩井健人(1年=滝川二高)が素早くリスタート。伊藤のパスからPA内へ走り込んだ中井が右足で流し込んだ。「今日の試合では絶対に点を取ろうと思っていたし、それで狙っていた部分はあった」という一撃だった。

　中井にとっては“全国大会初ゴール”。自身にとって初の全国大会となった初戦・北海道教育大岩見沢校戦(2-0)では「舞い上がっていた部分もあって。何も出来ずに悔しい思いがあった」。その思いから、今試合では「チームのみんなに迷惑をかけた分、今日の試合ではやってやろう」と強く誓うと仕事を果たした。

　だが、チームは後半29分にPKを献上すると、これを決められて2-3。二度のビハインドを跳ね除けたが三度目はならず。試合は終了。2回戦敗退となってしまった。中井は険しい表情で「全然足りない。自分自身まだまだ出来ていない部分が多い」と言う。

　敗れた桃山学院大だが、岡と中井の2トップはともに3年生。来季も再び全国へ挑戦する権利はある。悔しさを晴らすべく、この舞台に戻って来れるかどうかは自分たち次第だ。中井は「この悔しさを晴らせるように。4回生で自分自身が成長できるように頑張りたい」と誓った。

(取材・文 片岡涼)

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