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[大学選手権]順天堂大3度追いつく粘りも届かず…明治大がPK死闘を制して4強へ

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[12.13 大学選手権準々決勝 明治大3-3(PK5-4)順天堂大 町田]

 アパマンショップPresents第64回全日本大学選手権(インカレ)の準々決勝が13日に行われ、町田市立陸上競技場の第1試合では明治大(関東2)が順天堂大(プレーオフ)を3-3から突入したPK戦の末に5-4で下し、4強へと駒を進めた。16日の準決勝では関西学院大(関西1/総理大臣杯)と対戦する。

 意地と意地のぶつかり合いだった。ただ、試合は常に明治大がリードを奪いながらゲームを進めることになる。先制点が決まったのは開始8分、右サイドからMF差波優人(4年=青森山田高)が蹴った右CKが混戦でこぼれる。これをDF小出悠太(3年=市立船橋高)が押し込んで試合の主導権を握った。

 後半に入ると、今度は順天堂大が一気に盛り返す。そして後半3分、カウンターから左サイドに展開。MF室伏航(2年=市立船橋高)がクロスを上げると、FW佐野翼(3年=清水商高)が左足でねじ込み、試合を振り出しに戻す。直後の同6分には、右クロスをフリーで受けたFW米田隼也(2年=静岡学園高)がシュートを打つが、GK服部一輝(3年=札幌大谷高)のビッグセーブの前に逆転弾とはならなかった。

 試合は90分で決着が付かず、延長戦に突入。迎えた延長前半10分、中央から崩した明治大はMF早坂龍之介(3年=浜松開誠館高)から出たパスをMF道渕諒平(3年=仙台ユース)がゴール前に送る。これをエースFW和泉竜司(4年=市立船橋高)が倒れ込みながらも右足で押し込み、待望の勝ち越し点を奪った。

 だがこのゲームがすごかったのは延長後半に入ってからだった。まずは延長後半5分、順天堂大は延長後半開始から投入されていたFW松島奨真(2年=桐生一高)が左サイドを上がると、中央にクロスを入れる。これに反応したのはまたも途中出場のMF毛利駿也(2年=山梨学院高)。豪快に右足で蹴り込み、歓喜の同点弾を生んだ。

 ただ今度は明治大の交代策が成功する。同点とされた延長後半10分にパワープレー要員として投入されたDF岸本英陣(2年=帝京大可児高)が、同13分のCKを頭で合わせて三度の勝ち越しに成功。公式戦初出場という「お祭り男」を投入した栗田大輔監督の采配がズバリ的中した。

 しかし、順天堂大は脅威の粘りを見せる。延長後半15分、左CKは一旦は混戦に弾かれたが、DF吉永哲也(4年=千葉U-18)が入れ直すと、FW松島奨真(2年=桐生一高)が奇跡の同点弾を蹴り込む。スタジアムにいた誰もが固唾をのんで見守った一戦は、PK戦に勝敗をゆだねることになった。

 PK戦は2人目までがお互いに成功。迎えた3人目、先攻の順天堂大のMF青木翼(4年=清水商高)が左に蹴ったシュートをGK服部が見事にストップ。栗田監督がポイントと挙げた公式戦2度目の出場となった3人目MF金原唯斗(2年=磐田U-18)も落ち着いて沈め、蹴った5人全員が成功した明治大が、死闘に決着を付けた。

「最後のインカレということで、みんな魂が籠っている」とPK戦までもつれ込んだ一戦を評価した栗田監督。「我々がやろうとしているサッカーは、もっと精度を上げないといけないが、いいゲームだった」と結果に安堵した。1人目のPKをしっかり決めたDF山越康平(4年=矢板中央高、大宮アルディージャ内定)は、「次も死闘になると思う。ここまで来たら気持ちだと思うので、自分たちは水曜日に向けてしっかり準備したい」と関学大戦に向けて、気持ちを入れ直した。

 一方、3度追いつきながら惜しくも勝利まで届かなかった順天堂大。今季より就任した堀池巧監督も悔しさが隠しきれない。「勝てなかったということではなくて、いい方向性が見えてきたチームがここで終わってしまうというのが残念。全国に今年から順大が変わったんだというのを発信したかった。それはやはり準決勝、決勝に行かないと注目してもらえない。そういう意味で残念です」と唇を噛んだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第64回全日本大学選手権特集

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