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「山田を破ろうぜ」坂本監督の狙い的中、大阪体育大が法政大に3発完勝で8強入り

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大阪体育大が法政大に勝利し、準々決勝進出を決めた

[12.9 全日本大学選手権(インカレ)2回戦 法政大0-3大阪体育大 町田]

 第65回全日本大学選手権(インカレ)の2回戦が10日に行われ、町田市立陸上競技場の第1試合では大阪体育大学(関西3)と法政大(関東5)が対戦し、4年連続19回目の出場となる大阪体育大が3ー0で勝利した。12日の準々決勝では明治大(総理大臣杯優勝校)と対戦する。

 9年ぶり28回目の出場となった法政大は、トップにFWディサロ燦シルヴァーノ(2年=三菱養和SCユース)を据えた3ー2ー4ー1の磐石の布陣で臨んだが、立ち上がりから劣勢を強いられる。来季FC東京入りが内定しているDF山田将之(4年=青森山田高)が相手のプレッシャーを受け、クリア処理が甘くなるなどミスが目立った。攻撃では左サイドからの崩しでチャンスをつくり、前半7分にはDF黒崎隼人(2年=栃木ユース)がドリブルで攻め上がって中央に折り返したが、味方には合わなかった。

 3年連続、関西学生リーグ最終節でインカレ出場に滑り込んだ大阪体育大。そのリーグ最終節の負傷から復帰した全日本大学選抜のDF菊池流帆(2年=青森山田高)ら最終ラインが法政大の攻撃を封じ、決定機をつくらせない。堅守から流れを引き寄せた大阪体育大は前半14分、右サイドでMF平田健人(2年=星稜高)がDFとの1対1から中央にクロスを送る。FW大田賢生(2年=星稜高)が空振りし、こぼれ球を後方のMF池上丈二(4年=青森山田高)がトラップから右足で叩き込み、先制点を奪った。           
                         
 さらに前半19分、大阪体育大は大田がFW鈴木歩(4年=鹿島ユース)に倒されてPKを獲得。キッカーを務めた池上が右足で落ち着いて沈め、2ー0にリードを広げた。早い時間帯に池上が2得点を挙げ、大阪体育大が試合を優勢に進める。殊勲のストライカーも「もっと難しい展開になると思っていた。1点目が早い段階で入って、2点目もPKを落ち着いて沈められた」と胸を張った。

 フィニッシュまで持ち込めない時間帯が続く法政大。前半唯一の決定機は同38分、DF武藤友樹(3年=八千代高)が右サイドでDF2人に囲まれながら粘って右CKを獲得すると、MF長倉颯(2年=横浜FMユース)からの浮き球のクロスに山田がヘディングで合わせたが、シュートはゴールマウスに入っていた池上にクリアされ、1点を返せないまま前半を折り返した。

 2点ビハインドの法政大は後半開始と同時に2枚替え。来季ベガルタ仙台入り内定のDF永戸勝也(4年=八千代高)、主将のMF黒柳駿(4年=浜松開誠館高)を投入し、反撃に出る。永戸が長短のスルーパスで攻撃を活性化させたものの、1点が欲しい時間帯にまさかの失点。「後半の立ち上がり10分が勝負で、絶対に点が取れると思っていた。それが点が取れずに失点してしまった」と、山田は敗因を分析した。

 攻撃の手を緩めない大阪体育大は後半7分、PA左のライン際から大田が折り返すと、走り込んだFW古城優(2年=堺西高)が右足で合わせて、トドメを刺す。その後も安定した守備で法政大の攻撃を凌ぎ、後半40分には日本代表FW浅野拓磨(シュツットガルト)の実弟、MF浅野雄也(2年=四日市四郷高)をピッチに送り込んだ。

 後半アディショナルタイムの波状攻撃にも耐え、試合を支配した大阪体育大が3-0で完封勝利。「うまい時間に点が取れた。もっと苦労して1点のゲームかなと思ったけど、法政さんが自分たちの展開ができなかったんでしょうね」。今季限りでの勇退が決まっている就任44年目の坂本康博監督は「『山田を破ろうぜ、一番自信を持ってる選手を破ろうぜ』という狙いだった」とプランを明かす。青森山田高時代の同期について、池上も「チームとしてヤマのところを狙う意識があった。いい風にハマりすぎたというか、ヤマらしくないプレーもあって驚いた」と振り返った。

 12日に行われる準々決勝では総理大臣杯準々決勝で敗れた明治大と対戦する。「2年生が主体のチームなので波もある。ダメな時は全然ダメだしね。明治大はチャンピオンチームなので、チャレンジャー精神で勝ちにいく」と名将。44年目のシーズンをそう簡単には終わらせない。

(取材・文 佐藤亜希子)
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