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強い相手を倒して上へ。野心的な初出場校、東京国際大が初陣白星

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前半43分、MF安東輝(10番)の先制ゴールを喜ぶ東京国際大イレブン

[12.13 全日本大学選手権1回戦 東京国際大 2-0 北海道教育大岩見沢校 江戸川]

 13日、第66回全日本大学サッカー選手権(インカレ)1回戦が行われ、初出場の東京国際大(関東6)が北海道教育大岩見沢校(北海道)に2-0で勝利。東京国際大は16日の2回戦で阪南大(関西3)と戦う。

 強化指定クラブになって10年目で部員は500人という大所帯。野心的な初出場校、東京国際大がインカレ初陣で初白星を飾った。北海道王者の北海道教育大岩見沢校相手に押し気味に試合を進めた東京国際大は前半43分、左オープンスペースへ放り込まれたロングボールをFW町田ブライト(3年=成立学園高)がDFと競りながら強引に収めてPAへ侵入。カバーに入った北海道教育大岩見沢校DFがスライディングタックルで止めたが、このプレーがファウルを取られ、PKを献上してしまう。

 PKキッカーを務めた東京国際大MF安東輝(4年=浦和ユース)の右足シュートは、この日再三の好セーブを見せたGK 福永浩哉(4年=札幌光星高)がストップ。だが、跳ね返りを安東が右足で蹴り込んで東京国際大が先制した。

 東京国際大は後半開始直後にもDF背後のスペースを突いたFW進昂平(4年=浦和ユース)の右足シュートが右ポストを叩く。相手のパワフルな動き、また精度の前に劣勢となった北海道教育大岩見沢校だが、徐々にスピードにも慣れ、187cmCB重森剛司(4年=広島観音高)や、167cmと小柄ながらも高い守備能力を見せるCB深井祐希(3年=北海道大谷室蘭高)中心に相手の攻撃に食い下がっていた。

 そして、中央からサイドへ流れるFW佐賀俊之輔(3年=北海道札幌清田高)やFW中本峻平(2年=広島観音高)の突破などサイドからの攻撃でセットプレーやシュートチャンスを増やしていく。だが、東京国際大は来季の山口加入内定が発表されたCB楠本卓海(4年=大成高)が「トーナメントの戦い型を意識してやった。まず攻撃ではなく、守備から意識して戦いました」というように、守備に重きを置きながらシンプルに相手の裏を狙うことを徹底する。

 抜群の高さを示していた楠本やCB國井拓也(4年=昌平高)、GK古島圭人(4年=帝京高)中心に相手のクロスやセットプレーを跳ね返す一方、相手のパスがわずかでも緩かったり、トラップが大きくなったりすれば、各選手が容赦なく距離を詰めてボールを奪い取っていた。

 そして後半24分、東京国際大が貴重な2点目を奪う。楠本と同じく13日に来季の福島加入内定が発表されたMF川上翔平(4年=FC東京U-18)の配球から、右サイドを抜け出した交代出場FW宇高魁人(1年=長崎総合科学大附高)がクロス。これに飛び込んだ進が右足ダイレクトで合わせて2-0とした。

 2点差にも気落ちする様子を見せない北海道教育大岩見沢校はスペースを狙った攻撃で反撃。ぐいぐいと前に出て何とかゴールをこじ開けようとする。越山賢一監督が「北海道にないフィジカルを、と。最後まで走るというところをやってきた」という北海道教育大岩見沢校はその強みを出し切るべく走り続けていたが、それを上回るような強さと速さ、巧さを見せてシュート数14-1と圧倒した東京国際大が2-0のスコアで勝利した。

 東京国際大は今年、関東大学リーグ1部復帰1年目で6位に入り、インカレ初出場。3年前に関東2部へ降格し、15年には関東2部でも残留争いを強いられた。それを残留ギリギリの10位で踏みとどまると、翌16年に2部優勝。昨年からキャプテンマークを巻く楠本や2年時から10番を背負う安東ら、下級生時から多くの経験を積んできた現4年生たちはインカレ初出場、初勝利にとどまることのない活躍を目指している。

 安東は「長い期間、(自分たちの代は)みんなでできたので、チームで成長できていると思っている。それを見せるのもこのインカレだと思う。(これから対戦相手は強くなっていくが、)強いチームこそ倒してやろうと思っています」と言葉に力を込めた。全国的なチームになるべく、強い野心を持って戦う初出場校の目標は優勝。彼らがインカレでインパクトを残すのは、まだまだこれからだ。

(取材・文 吉田太郎)
●第66回全日本大学選手権(インカレ))特集

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