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「北海道でやってきたサッカー」で北海道教育大岩見沢校が4年ぶり全国1勝

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2点目を決めたMF中本峻平(3年=広島観音高)

[12.12 大学選手権1回戦 北海道教育大岩見沢校3-1日本文理大 BMWス]

 第67回全国大学サッカー選手権(インカレ)の1回戦が12日に行われ、BMWスタジアムの第1試合では北海道教育大岩見沢校(北海道1)が日本文理大(九州2)を3-1で下し、4年ぶりとなる全国大会での勝利を挙げた。15日の2回戦では早稲田大(関東1)と対戦する。

 5年連続の出場となる北海道王者の北海道教育大岩見沢校だが、過去3年は初戦で敗退。今夏に出場した総理大臣杯では1回戦で東海学園大を相手に3-0とリードしながら、まさかの逆転負けを喫するなど、今年の部員全員が全国での勝利を知らないままここまで来ていた。

 しかし夏の試合は教育実習などで主力を欠いていたことから、越山賢一監督が「全国の戦い方は出来ると思った」と話すように、チームは自信をもってインカレの舞台に臨んでいた。

 お互い探り合うような立ち上がりとなった。無理もない。北海道教育大岩見沢校には日本文理大のビデオも取り寄せる手段がなく、データは「パンフレットにある情報」(越山監督)だけだったのだという。だが北海道教育大岩見沢校は相手もなかなか前に出てこないと感じたことから、持ち味のスピードを生かした厚みのある攻撃でチャンスを生み出していく。

 すると前半26分、左サイドから速攻を仕掛けると、FW下田友也(2年=札幌U-18)、MF小川達也(3年=履正社高)が連続シュート。いずれもGK佐伯鷹哉(3年=神戸国際大附高)に止められたが、今度は右サイドから作り直すと、MF中本峻平(3年=広島観音高)のクロスからMF小笠原光研(4年=遠野高)が決めて、先制に成功する。

 さらに前半33分、ミドルレンジから放った下田のシュートをGKが弾いて跳ね返る。これに右サイドから詰めた中本が右足で豪快に蹴り込み、リードを2点に広げた。

 日本文理大も徐々に反撃を開始し、前半40分にはDF舛田勇士郎(3年=創成館高)がGKと1対1の場面を作る。これは決めきることが出来なかったが、後半に入ってすぐの1分にも満たない時間帯、ボールを奪った舛田の左クロスを頭で合わせたFW平嶋僚太(1年=神戸科学技術高)の得点で1点差に詰め寄る。

 しかし北海道教育大岩見沢校は慌てない。交代策を使いながらペースを取り戻すと、後半27分、CKを直前に入ったFW栗山将希(3年=室蘭栄高)が折り返す。これで混戦が生まれると、DF佐藤隼(3年=札幌大谷高)が押し込んで、勝負を決める3点目を奪った。

 お互いの相手の情報が少ない中で、対応力が問われた試合。結果的には直ぐさに状況を判断し、自分たちの得意な形に持ち込んだ北海道教育大岩見沢校に軍配が上がった。指揮官も「感じたことを共有するチームになってきた」と手ごたえを語る。

 次戦は早稲田大が相手。この試合で3名が負傷者交代したことなど心配事はあるが、とにかく「チャレンジャー」という気持ちを崩さずに戦うつもりでいる。勝ち上がることで「お金が心配」と苦笑いの越山監督だが、もちろん次も勝つつもり。みんなが前を向いた状態で丁寧にパスを繋いで、かつバックパスのないサッカー。つまり「北海道でやってきたサッカー」で勝てたことを自信に、関東王者に挑戦する。

(取材・文 児玉幸洋)
●第67回全日本大学選手権(インカレ)特集

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