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[MOM655]新潟医療福祉大FW矢村健(4年)_「キャプテンがダメだ!!」指揮官の檄で蘇った男が決勝弾

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新潟医療福祉大FW矢村健

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]

[12.11 インカレ1回戦 鹿屋体育大3-4新潟医療福祉大 川口]

 試合開始から17分。スコアは0-3となっていた。最悪とも言える立ち上がり。前半は「ほぼ死んでいた」という新潟医療福祉大FW矢村健(4年=市立船橋高/新潟内定)だが、後半に入ると見事に蘇り、チームを大逆転勝利へと導く決勝点を奪った。

 序盤から鹿屋体育大に圧倒されると、前半12分、同15分、同17分に失点。立て続けにゴールを奪われ、矢村は「どうなるんだ。今日はヤバいな」と感じていたようだ。前半30分にFW小森飛絢(1年=富山一高)の得点で1点を返して迎えたハーフタイム。キャプテンを務める矢村、そしてチームに指揮官から激しい檄が飛んだ。

 佐熊裕和監督は言う。「キャプテンがダメだと言った。彼だけでなく、4年生がやるべきことができていないと。4年間一緒にやってきた彼らには、そう言えば響くと思った」と。「覚悟を決めないといけないと思った」という矢村は、「ミーティングが終わって1人になる時間があり、そこで自分がやるべきことを整理した。キャプテンとして、チームのために何もできていなかったので、まずは走ることからやっていこうと思った」と後半のピッチへと向かう。

 見違えるようなプレーを見せた。前半はボールに触れる機会が限られたが、ロングボールに対してガムシャラに走った。たとえ、パスがずれようとも必死に追いかけ、タッチライン際でマイボールにし、小森が競ったボールに誰よりも早く反応するなど、ボールに絡んで攻撃へとつなげた。すると、ハードワークを見せるキャプテンに引きずられるように、チームは完全に蘇る。

 後半13分にMF塚田裕介(2年=横浜FMユース)が鮮やかな直接FKを沈め、同20分にはMFシマブク・カズヨシ(2年=浦和ユース)が驚異的なドリブルスキルを披露してゴールを陥れ、ついに試合を振り出しに戻す。そして、仕上げは「1点目、2点目、3点目と1、2年生に助けられた」4年生。矢村の番だった。

 後半41分、右サイドからFW佐々木快(3年=青森山田高)が送ったクロスに反応。「届くか届かないかだと思った。ちょっとかぶっていたけど、ダイレクトで打とうと思った」が、冷静に状況を確認する。「相手GKと距離があったので、トラップして近い距離から打とうとした。トラップしたら良い形でボールが浮き、GKが出てきたのでしっかりコースを狙った」。左足から放ったシュートがネットを揺らす。3点差をひっくり返す大逆転勝利へと導くゴールを奪ったキャプテンの周りには歓喜の輪が広がった。

「最後は3年生の快から良いボールが来て、点が取れた。全学年がしっかり活躍して点を取れたのは良かった」

 大逆転劇に「奇跡と言ってもいいし、実力と捉えられる部分もある」と胸を張った矢村について、指揮官は「責任感が強すぎる選手なので楽にしてあげたかった。本人にはプレッシャーもかかっていたと思うので、決勝点を取ったのは大きい」と語る。初戦を突破して少しだけ肩の荷は下りた。「皆もリラックスして次の試合にスムーズに入れると思う。去年は2回戦で負けたので、その山場を乗り越え、今年のチーム、そして自分が成長した姿を見せたい」と次戦へと向かう。

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(取材・文 折戸岳彦)

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