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仙台大4年生コンビは新たな舞台へ……横浜FC内定MF松尾「ミスしてもチャレンジ」、いわきFC内定FW岩渕「後悔はない」

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MF松尾佑介(4年/左)は横浜FCに、FW岩渕弘人(4年)はいわきFCへ

[12.14 インカレ2回戦 中央大2-1仙台大 AGF]

 仙台大はインカレ2回戦で中央大に敗戦。しかし終盤の追い上げはすさまじく、最前線の4年生MF松尾佑介(4年=浦和ユース/横浜FC内定)とFW岩渕弘人(4年=遠野高/いわきFC内定)は最後までチームを牽引し続けた。

 来季横浜FCに加入する松尾はすでに今季からJリーグでプレーした。Jリーグ史上最多となる21試合に出場し、最多6得点も記録。5アシストでチームメートの良さも引き出し、数字上だけでなくJ1昇格という大きな結果に貢献してみせた。

 ボールを持つとそのプレーは一際目立つ。一気に加速して左サイドを突破。かと思えば、相手の頭上を越すような優しいタッチでボールを操り、カットインから鋭い右足シュートを放った。しかし試合を通じて放った3本のシュートはゴールネットを揺らすことはなく、中大の守備網をぶち破ることはできなかった。

 試合後には「後付けですけど」と前置きをしつつ、「枠に入れられなかったり、後半でもちょっとしたところの精度があれば勝ったかもしれない。それは自分の能力が不足している部分だと思う」と悔しさをにじませた。大学4年間の成長についても感謝を語る。「仙台大に入ったからこそプロになった。本当に成長させてもらった4年間だったなって思います」と躍進の日々を振り返った。

 すでにJリーガーの一員としてプロを経験。来季からはトップカテゴリーのJ1リーグに挑戦するが、臆している暇はない。「相手はそんな生易しくないので、臆しているくらいだったら、ミスしてもチャレンジしたほうがいい。一試合一試合を噛みしめながらプレーしていきたい」と決意を口にした。

 岩渕は最前線でプレーし、後半25分には待望の同点弾を生み出した。DF井上友也(4年=横浜FCユース)のクロスに「合わせるだけだった」と語るも、一度は相手GKに阻まれる。「意外と低くて、強いヘディングで合わせられなくて。でも枠に入ったのでGKがはじいたところを詰めました」。苦しい時間が続いた前半から、相手を追い詰めた同点弾に気持ちがこもる。「前半のままだったらこれで引退したら嫌だなって思っていたんです。でも後半は自分たちの攻撃的なサッカーができた。それで負けたので後悔はないです」。

 しかし試合後には大粒の涙が光った。「後悔はなかったんですけど、応援してくれる仲間がスタンドから声をかけてくれて。4年生はいっぱいいる中で個性的な選手も多いんですけど、サッカー以外のときも本当に楽しかったんです。本吉(佑多)とか見ててもわかると思うんですけど明るくて。そういうネジのはずれた面白いメンバーが多いので、学年関係なく仲良くて、本当に楽しかった1年間でした。スタンドの仲間を見て、もうちょっとやりたかったなっていう悔しい思いで涙が出ちゃいました」。

 来季からはJFLに昇格するいわきFCに加入。「天皇杯で仙台大が勝ってから練習参加に行かせてもらって、すぐオファーをもらった」と経緯を語る。「上を目指すチームにいるということで、成長していくところに自分も入ったらと思いました。これからも自分はやっていけるっていう自信はあるので」。涙を出し切り、岩渕の大学サッカーは幕を閉じた。来季からはチームとともに新たなカテゴリーで勝負に挑む。

(取材・文 石川祐介)
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