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大学最後の試合は“ジョーカー”として…筑波大MF三笘薫「まだできたんじゃないか」

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筑波大MF三笘薫

[12.16 インカレ準々決勝 明治大1-0筑波大 味フィ西]

 試合終了のホイッスルが吹かれる。大学サッカーが終わりを迎えた瞬間だった。筑波大MF三笘薫(4年=川崎F U-18/川崎F内定)はセンターサークル内で腰に手を当て、空を見上げていた。

 大学生活最後となった試合。託されたのは“ジョーカー”という役割だった。総理大臣杯と関東リーグを制した明治大に対し、筑波大はまず守ることを選択。そして、「逆の立場ならスーパーサブで三笘が出てくるのはすごく嫌だと思う」(小井土正亮監督)と勝負所で“切り札”となる三笘を投入しようとしていた。

 序盤から明治大に主導権を握られ、圧倒的に攻め込まれる。だが、筑波大は耐えた。そして、「少しずつ間延びしてきた」(小井土監督)という後半17分、MF小林幹(2年=FC東京U-18)に代わって三笘がピッチへと送り込まれる。劣勢の中、投入されることになったが、「流れを変える意味でも、僕のプレーで引き寄せられればと思っていた」と自らの力で流れを引き寄せようとした。

 実際に魅せた。後半24分にはハーフウェーライン付近でボールを受けるとドリブルを開始。寄せてくる相手選手を次々とかわしてPA内まで持ち込むなど持ち味を披露した。しかし、三笘を警戒する明治大は一人抜かれれば、二人目、三人目がチャレンジしてくる。スピードに乗った突破は、その壁をすべて打ち破れずにゴールを生み出すことはできなかった。

「PA内まで行ってからが勝負。そこまで行ったのが良いことではない。そこで味方を使うなり、シュートに持っていくとかしないと。最後のプレーのクオリティを上げないといけない」

 後半39分にゴールを献上したチームは、追い付くことができず。0-1のまま試合終了を迎えた。試合終了直後、空を見上げていた三笘が思ったのは「終わったなという率直な気持ち」、そして「まだできたんじゃないか」「もっと、やらないといけない」ということだった。

 筑波大で「長所を磨くことができた」と確かな成長を遂げ、「いろいろな人の支えられていると心から分かった」と周囲の支えに改めて気付いた。サッカー選手としての道は続いていく。今後は川崎Fでプロとなる男は、「ここで成長したことをプロの舞台で発揮したいし、感謝の気持ちをピッチ上で表現したい」と新たな歩みを始める。

(取材・文 折戸岳彦)
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