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しかしそこには馬場がいる…1か月前に出番掴んだ関学大の新守護神、120分間完封で勝利に貢献

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関西学院大GK馬場裕斗(3年=加古川北高)

[12.16 インカレ準々決勝 関西学院大1-0(延長)立正大 川口]

 120分間で被シュートは8本。関西学院大GK馬場裕斗(3年=加古川北高)は約2時間に及ぶ緊張の中で冷静さを保ち続け、一度もゴールネットを揺らすことなく試合を終えた。

 立正大はインカレ初出場も侮れず、今季関東リーグ戦16ゴールで得点王に輝いたFW人見拓哉(4年=矢板中央高/琉球内定)を筆頭に高い攻撃力を誇るチーム。堅守からの一点集中カウンターは驚異的で、この試合でも何度も関学大を苦しめる。

 後半3分、左サイドのMF武田夏輝(4年=清水ユース)にクロスを上げられ、PA中央の人見にはヘディングでゴール前にパスを通される。そして、ゴール目前のMF平松昇(3年=清水ユース)にヘディングシュートを打たれる大ピンチ。しかしそこには馬場。抜群の反応でスーパーセーブを見せ、ゴールを守り切った。

 さらに後半12分にも大ピンチ。中盤のMF山本悠樹(4年=草津東高)が人見にボールを奪われ、最前線のMF藤森亮志(4年=上田西高/長野内定)に縦パスを入れられる。大黒柱のボールロストに虚を突かれた守備陣は裏に抜けられて大ピンチ。しかしそこには再び馬場。一瞬で前に飛び出してシュートコースを防ぎ、藤森のシュートを遮った。

 187cmの高身長とは裏腹に反応スピードは抜群。高橋宏次郎コーチも「シュートストップにおいてはずっと力はあった。能力はすごく高い」と太鼓判のGKだが、出番が回ってきたのは今年の11月だった。Aチームに入ったのは7月でそこからはスタンドからの応援が続き、リーグ戦終盤の2試合で抜擢。そこで結果を出してインカレ2回戦、準々決勝と出場機会を掴んでみせた。

 大学に入り、環境も整ったことでポテンシャルが少しずつ開花。そして何よりもチャンスを掴んだ大きな要因としてメンタル面を強調する。「中学も高校も強くなくて、自分が失敗するとけっこう重く捉えていました。GKなんで失敗したら失点につながりますけど、その失敗したメンタルを次に持ち越したらまた同じことが起こる」。実際に14日のインカレ2回戦で全国デビューを果たした馬場は前半2失点。しかし「前の試合もそんなに良くなかったんですけど、開き直ってこの試合に入れた」と気持ちを切り替えた準々決勝での120分間で、完封勝利を達成した。

 頼れる守護神が一番後ろにいればチームは全力で攻撃ができる。次戦は今季の関東リーグや総理大臣杯を制し、最強と名高い明治大。その全力を出さなければいけない相手だ。「またこういう押し込まれる展開になるかもしれないんですけど」と明大戦を予想する馬場。しかし、延長戦を制したことで「勢いが自分たちにはあるし、この試合を無失点に抑えられたっていう自信もある。そういう面ではやられる相手ではない」。圧倒的な攻撃力を誇る明大は関学大のゴールに何度も迫るかもしれない。しかしそこには馬場がいる。そう簡単にゴールは割らせない。

(取材・文 石川祐介)
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