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札幌大の辞退で初の全国大会出場が転がり込んだ東海大札幌校舎、解散、再始動、初戦敗退も「濃い2か月を過ごせました」

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[1.6 #atarimaeni CUP1回戦 東海大札幌校舎0-1静岡産業大]

 同校史上初の全国の舞台だったが、東海大札幌校舎の挑戦は1回戦で潰えた。「北海道の代表として臨んだ一戦でしたが、自分たちの努力が足りなかったと思います」。菅野学監督は素直に敗戦を受け止めた。

 前半に迎えたビッグチャンスを決めきることが出来なかった。前半32分、CKから相手MF木原大器(3年=磐田U-18)のハンドを誘い、PKを獲得。ただこれを蹴ったMF金城光希(4年=東海大札幌高)のシュートは、GK大西将亜(3年=四日市中央工高)に止められてしまう。「自分が決めていれば全然分からなかった試合だった」。絞り出すようにして話した姿が、より無念さをにじませた。

 一旦は全国大会への気持ちを切らせていた。11月1日に行われたリーグ最終節、札幌大と北海道教育大岩見沢校の上位2チームの直接対決の結果で、全国大会出場の可能性がなくなった。そこでチームは解散。4年生部員のほとんどは地元に戻り、3年生以下もリフレッシュの期間に充てていたという。

 しかしそこから約2週間後の11月中旬、思わぬ知らせが届くことになる。北海道第1代表として出場するはずだった札幌大が、コロナ禍による昨今の社会情勢を考慮して出場を辞退。そのため、東海大札幌校舎に繰り上がりで出場権が与えられることになった。
 
 副主将のDF斎藤空良(4年=厚木北高)も実家のある神奈川県に戻っていた。11月初めに北海道を離れてから約2週間が経過していたが、菅野監督からチームを再始動させたいと知らせが入ると、翌日には飛行機に飛び乗ったという。

 そこから約2か月、冬の時期の北海道での調整は困難もあったが、それでも高校選手権に出場する札幌大谷高や、ともに『#atarimaeni CUP』に出場する北海道教育大学岩見沢校らと練習試合を重ね、実戦感覚を取り戻すことに努めてきた。

 斎藤は「再集結してたからの2か月は濃い2か月、サッカー人生の中では一番印象に残りました。今までで一番楽しい期間でした」と充実として振り返る。金城も「チームをもう一回やるぞという気持ちにさせてもらえた監督に感謝している。この2か月は濃い2か月でした」と同調した。

「勝つことが恩返しだと思ってプレーしたけど、北海道とは違ったレベルだった。必死に食らいついたけど、少ないチャンスを決めきることが出来なかった。悔しい思いはあるけど、自分の中ではサッカー人生の中で初めての全国大会。楽しんでプレーできたかなと思います」(斎藤)

 この日のスタメンは、金城と斎藤以外の9人が全員3年生以下。チームとしてかけがえのない経験を積んだ。斎藤は最後に「北海道の大学でも全国大会で戦えるという姿は見せられたと思う。3年生を中心に自分たちが達成できなかった全国1勝を目指してほしい」と話した。今までに感じることができなかった世界を経験した後輩たちに夢の続きを託し、そして母校の更なる発展を願った。

(取材・文 児玉幸洋)
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