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全国初出場の甲南大が8強躍進!! 4発圧勝も元Jリーガー指揮官「内容や質は物足りない」次戦で早稲田喰いなるか

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FW稲森文哉(4年=阪南大高、9番)が先制点

[1.8 #atarimaeniCUP2回戦 北海道教育大学岩見沢校 1-4 甲南大]

 2020年度の大学サッカー日本一を決める『#atarimaeni CUP』は8日、2回戦が行われ、甲南大(関西3)が北海道教育大岩見沢校(北海道1)を4-1で破った。10日に行われる準々決勝では早稲田大(関東3)と対戦する。

 全国初出場で初勝利を収めた甲南大が、2回戦も危なげなく突破した。1回戦の日本文理大戦(○2-0)でも質の高さを見せていたゾーン守備とボールポゼッションに加えて、「前回は少し変えたが、今回がいつもどおり」(柳川雅樹監督)というハイプレスでも相手を圧倒。前半から大量4ゴールを積み重ね、全国の舞台で戦えるところをあらためて証明した。

 甲南大は1回戦と同じく4-4-2をベースとした布陣。GK善村龍真(2年=作陽高)を最後尾に置き、4バックは左からDF今西宏輔(4年=立正大淞南高)、DF井上聖也(3年=県立西宮高)、DF小田健聖(4年=東福岡高)、DF藤永涼(2年=G大阪ユース)。ダブルボランチにはMF坂本樹(3年=履正社高)とMF藤原貫大(3年=センアーノ神戸ユース)が構え、サイドハーフは左にMF久保勇大(1年=G大阪ユース)、右にMF室井陸(4年=就実高)。2トップにはFW稲森文哉(4年=阪南大高)と、同校初のプロ入りが決まっているFW木村太哉(4年=札幌大谷高/岡山内定)が並んだ。

 対する道教大岩見沢も4-4-2で臨んだ1回戦の高知大戦(○1-0)と同じ11人。GK武村勇希(4年=岡山U-18)がゴールを守り、最終ラインは左からDF田中光太(1年=札幌U-18)、DF渡邉秀朗(4年=札幌新川高)、DF泉山凌馬(4年=盛岡商高)、DF石谷海斗(4年=東海大札幌高)。ボランチはMF鈴木理久(4年=札幌U-18)とMF縄田脩平(2年=浦和ユース)の2枚で、2列目は左にMF原巧佑(4年=高崎商高)、右にMF加藤由馬(3年=札幌大谷高)。2トップにはFW小山田凌(1年=札幌U-18)、FW河合悠人(2年=旭川実高)が並び、エースのFW下田友也(4年=札幌U-18)は負傷の影響で初戦に続きベンチスタートとなった。

 序盤からボールを保持した甲南大が前半21分、スコアを動かした。右サイドバックの藤永がパスの選択肢を見せつつ、前線にロングフィードを送り込むと、飛び出してきたGKの前で稲森が反応。ヘディングで巧みにボールの軌道を変え、GKのアプローチから逃れたボールがゴールマウスに吸い込まれた。

 さらに甲南大は前半30分、木村のポストプレーを起点に室井がサイドを崩し、折り返しに反応した藤原が左足ダイレクトシュート。これは惜しくも枠を外れたが、35分にセットプレーから追加点を奪う。藤原の右コーナーキックに合わせた井上のヘッドでゴール前に混戦が生まれ、再びボールを拾った井上がワンタッチで押し込んだ。

 後半に入っても甲南大の勢いは止まらない。4分、またしても藤原の右コーナーキックに井上が頭で合わせると、今度はそらしたボールがファーサイドに流れ、ここに稲森が反応。身体を倒しながら放ったボレーシュートでネットに突き刺し、早くもリードを3点に広げた。

 ところが、ここから道教大岩見沢も盛り返す。GK武村のビッグセーブでさらなる失点を阻むと、鈴木のフィードや途中出場FW君ケ袋海成(4年=旭川実高)のドリブル突破で攻撃を組み立て、下田やFW藤原進士郎(1年=成立学園高)がゴールに迫る。

 道教大岩見沢は後半32分、カウンターからFW吉山彬良(2年=鳥栖U-18)の突破を許し、木村に決められて4点差をつけられるも、最後に歓喜が訪れた。アディショナルタイム1分、相手のクリアミスにつけ込んだ縄田が最終ライン裏にスルーパスを送ると、抜け出したのはエースの下田。負傷の影響で今季は離脱が続き、苦しんできた背番号10が一矢報いるゴールをニアポスト脇に沈め、そのままタイムアップとなった。

 甲南大は全国初出場にして初の8強入り。同大学にとっては大きな快挙といえる。しかしながら、試合後の柳川監督からは厳しい言葉が発された。

「幸先よく得点は取れたけど、ゲームの内容やサッカーの質は物足りなかった印象がある。目指しているところには全然届いていない。トーナメント戦で勝ちにつなげられたところは評価できるが、内容面では満足できるものではなかった。見ている人がどう感じたかを考えると、楽しませるようなサッカー、このチームすごいなというサッカーはできなかった」。

 攻撃では「自分たちの形を作ってゴールに迫っていくところがスムーズじゃなかった」とし、守備に関しては「もっともっとアグレッシブに高いラインで奪いに行きたいが、体力的なところもあって足りなかった」と次々に課題を指摘。安定感が見られた中盤からのパス回しにも「パスをつける場所が、その選択はベストじゃないんじゃないかというところにつけていることが多かった」とさらなる向上を求めていた。

 すなわち、チーム内にここまでたどり着いたという満足感はなさそうだ。次戦は関東の名門・早稲田大。指揮官が昨季から就任して以来、高い基準を掲げて取り組んできたことをぶつける格好の相手となる。

「ここまでは来なければならないという感覚でいたし、ここまでの段階で負けてしまえば自分がいけなかったというくらいの覚悟でやってきた。ただ、次は早稲田さん。関東トップレベルのチームと真剣勝負でやれるという絶好の機会なので、自分たちの力を全力でぶつけたい。決して逃げ腰のサッカーをしないこと。コンセプトがある中で、それを貫いてどれだけやれるか」。

 そう熱く語った柳川監督は“大物喰い”への自信ものぞかせた。「関西でも全勝しないといけないというつもりでやってきたので十分やれると思う。いい準備をして、選手をいい状態にして、記念試合にならないように臨みたい」。決戦は2日後。関西3位の実績を持つダークホースは、初の全国挑戦を単なる“いい経験”で終わらせるつもりはない。

(取材・文 竹内達也)
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