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桃山学院大GK松山健太、“1対12”法大戦でビッグセーブ連発「そいつの存在が本当にでかい」“相棒”への感謝胸にJ3岩手へ

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桃山学院大GK松山健太(4年=九州国際大高/岩手内定)

[1.8 #atarimaeniCUP2回戦 法政大 2-1 桃山学院大]

 流れの中から飛んできたシュートをことごとく止め、劣勢を接戦へと持ち込んだ。それでも桃山学院大GK松山健太(4年=九州国際大高/岩手内定)は「何本止めても負けは負け。負けたキーパーという扱いになる」ときっぱり。高い基準を自らに求め、プロサッカーの舞台に挑んでいく。

 今月4日、いわてグルージャ盛岡から加入リリースが発表され、最後の全国大会には「プロ内定選手」として出場することが決まった。

「最初の頃は決まるのか決まらないのかと不安に思っていたけど、いわてグルージャ盛岡さんからオファーをもらえて、『#atarimaeniCUP』に全力で臨むことができた」。2回戦の法政大戦ではその肩書にふさわしいパフォーマンスを見せた。

 前半23分、まずはFW飯島陸(3年=前橋育英高)との1対1を見事に制すると、後半2分のMF服部剛大(4年=横浜FCユース)の決定機もうまく体勢を整えながら阻止。その後も飯島を中心に難しい状況でのシュートが続く中、「これまで積み重ねて、準備してきた」という的確なシュートストップでチームを救った。最終的にはPKとセットプレーから2失点を喫したが、シュート1対13(公式記録)という圧倒的劣勢を1-2という競った試合にまで持っていき、能力の高さを見せた。

 大学2年時には正GKとして全日本大学選手権にも出場し、着実にプロ入りに向けてステップアップしていたかと思われたが、昨季は再びレギュラー落ち。「正直、伸び悩んでいた。結果的に見ればあの時期があったから……と良いように言えるけど、どうしたらいいのかなというのがあった」と素直に振り返る。

 今季もコロナ中断明けは控えキーパーという立ち位置。プロ志望の4年生にとっては苦しすぎる状況だが、そこで励みになったのが同期のGK西本圭斗(4年=作陽高)の存在だったという。

「アイツと一緒になって切磋琢磨してきた。僕が試合に出だしてから、自分のテンションをキープすることも難しいと思うけど、いい相棒として僕のテンションを保ってくれた。そいつの存在が本当にでかいです。個人というより周りの人に助けられた1年だった」。

 試合に出られるようになってからは安定したパフォーマンスを発揮できるようになり、「練習ではいいボールを蹴れるけど試合になると不安定だった」というキックの部分でも素質が開花。全国大会では冬の強風が吹き荒れる中でも力強いフィードを前線に通すなど、攻撃の起点としても一定の存在感を示していた。

 そうして来季からはプロ生活をスタートさせる。松山は「全国大会で決勝まで行くつもりだったのでいますぐ切り替えるのは難しいが、プロで活躍するためにこの経験はすごく生きる。もちろん開幕からスタメンを取る気持ちで、合流した時から全力で自分を出していきたい」と意気込みを語った。

(取材・文 竹内達也)
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