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[MOM706]早稲田大DF杉山耕二(4年)_日本一まであと2勝、サッカー人生もあと2試合

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早稲田大DF杉山耕二(4年=三菱養和SCユース)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.10 #atarimaeniCUP準々決勝 甲南大 0-3 早稲田大]

 敗れた時点でサッカー人生は終わり——。最後の大会にすべてをかけるチームリーダーが攻守に活躍し、名門・早稲田大を8年ぶりの全国ベスト4に導いた。

 先制点は前半19分、DF杉山耕二主将(4年=三菱養和SCユース)の頭から生まれた。左サイドからのFKに2人のキッカーが立ち、連続フェイントから繰り出されたDF阿部隼人(4年=横浜FMユース/群馬内定)の左足キックが相手ゴール前へ。左腕にキャプテンマークを巻いた180cmの背番号5は、高い打点のヘディングシュートでネットに突き刺した。

「あの形は練習から何度も決めてきたし、アミノ杯準決勝の東洋大戦でも決めていた。キッカーを2人立たせて、キックフェイントを入れて、相手がラインを下げたところのスペースを自分が突くという準備してきた形。キッカーとぴったりタイミングが合って、あとは決めるだけだった」。入念に積み上げてきたトリックプレーを全国準々決勝の舞台で遂行した。

 その後は最終ラインの統率役として相手攻撃陣の前に立ちはだかり、時には複数選手が折り重なるような気迫あふれるシュートブロックでゴール前を封鎖。1回戦から3試合連続でのクリーンシートを達成した。

「リーグ戦を通して失点しないことにはこだわってきた。守備のオーガナイズを含めてしっかりと全員で身体を張って、全員で走って守れている」。

 そう手応えを語った杉山は堅守の要因を「サッカーの本質的な部分」と指摘。「切り替え、球際、ハードワークを一人一人が徹底していることが一番大きい。また隣の仲間のために走る、誰かのために力を出す、そうした気持ちを一人一人が徹底していることが、守備がうまくいっていることにつながっている」とチーム全員の献身性を誇った。

 そんな優れたチームをつくり上げてきた杉山だが、第一線でのサッカー競技生活は大学で引退すると決めている。卒業後は大手インフラ企業に就職予定。2013年に三菱養和SC巣鴨ジュニアユースの主将として街クラブを全国3位に導くなど、輝かしい実績を残してきたCBのサッカー人生は、長くてもあと2試合で幕を閉じる。

 それでも杉山には、自分自身の引き際よりも大切なものがある。

「個人のことはあるけど、そんなことよりもチームが日本一を獲るため。自分自身が誰よりも走って、誰よりも声を出して、誰よりも闘って、日本一を獲って、最後に終われたらいいなと思っています」。目指すはチームの大学日本一のみ——。残り2試合、杉山耕二は聖地・西が丘のピッチですべてを出し切る。

(取材・文 竹内達也)
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