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全国初勝利&順大追い詰めた四国学院大、スーパーボレー弾の岡田はJFLへ「恩返ししたい」2G2AのFW久保田「プロでやりたい」

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FW久保田蓮(4年=必由館高、7番)、MF岡田大介(4年=桜林高、10番)

 今季限定の全国大会となった『#atarimaeni CUP』で、四国王者の四国学院大がたしかな爪痕を残した。1回戦ではタレント豊富な新潟医療福祉大を破って悲願の全国初勝利を収めると、2回戦では優勝候補の順天堂大を相手に2度もリードする熱戦を展開。最後はPK戦で涙をのんだが、着実に積み上げてきた強化の成果を見せた。

 チームを率いるのはかつて浦和レッズや東京ガスでプレーした経験を持つ本吉剛監督。現役引退後はFC東京で16年間にわたって育成・強化に携わり、2015年から香川県善通寺市の同大で指揮を執っている。本吉監督は6年前の就任当初を次のように思い返す。

「初めはもうサークルでした。朝練をやって半分来ないということもあったし、ちょっと厳しいことをやると、『こんなに厳しいって聞いてなかった』という話もされる。他の大学はプロに届かなかった選手がプロになりたいとモチベートされて来るけど、うちは最初の2年間はそれを変えるのが難しかった」。

 それでもFW武藤嘉紀(現エイバル)らFC東京U-18で指導した選手のエピソードを話したり、Jクラブの選手・スタッフを招いて働きかけを行ったりと、ピッチ外での意識改革にも尽力。徐々にピッチ内の実績も積み上げながら選手のスカウトも進め、20年間以上にわたって続いてきた四国リーグの高知大一強時代に風穴を開けた。

 2018年、20年と四国リーグで2度の優勝を果たし、全国大会にも総理大臣杯1回、全日本大学選手権(インカレ)2回で計3度出場。4度目の挑戦となった今大会で悲願の1勝を収め、「四国でもできるんだよ」(本吉監督)というメッセージを発信した。

 そうして迎えた2回戦の相手は関東の強豪・順天堂大。それでも臆せず立ち向かった四国学院大は前半1分にFW久保田蓮(4年=必由館高)が先制ゴールを決めると、1-1で迎えた後半3分にもMF岡田大介(4年=桜林高)のボレーで加点し、優位に試合を進めた。結果的には後半アディショナルタイムの失点で追いつかれ、PK戦で敗れたが、世代別代表経験者が並ぶ相手を最後まで追い詰めた。

 試合後、左足での豪快なボレーシュートを決めた岡田は「チームを勝たせられなかったことが悔しいけど、四国学院大のサッカーはできたので悔いはない」と振り返った。また今大会2試合でいずれも1ゴール1アシストの活躍を見せた久保田も「全国大会で結果を残せるというのは自分としても嬉しかったし、自信になった」と手応えを語った。

 本吉監督は「対戦相手は四国リーグのうちのサッカーや選手を知らないけど、うちは関東リーグや世代別代表の映像を見られるので有利な立場にある。そういう中で思った以上にやるから、相手がびっくりするところはあったと思う」と善戦の理由を謙虚に述べたが、順天堂大の堀池巧監督も「よく鍛えられている」と称える奮戦ぶりだった。

 全国舞台で記録した価値ある1勝。本吉監督は次なるステージとして、チーム成績だけでなくJリーガーの誕生を目標に掲げる。「まだプロでスカウトされる選手が出ていないので、それが次のハードル。少しでも試合を見に行きたい、あの選手面白いと興味を持ってもらえるようにしたい」。そんな舞台に最も近いのが背番号10を任されていた岡田だ。

 岡田は来季、JFL所属の高知ユナイテッドSCに加入予定。「四国学院大のサッカー部に入って、何か後輩たちに残したかった。1回戦に勝ったのでそれも少しはできたかなと思う。あと自分はサッカーを続けるので、プロになって恩返ししたい。自分はJ3以上がプロだと思っているので、Jリーグの舞台に立てるように結果を残したい」と後輩にためにも飛躍を誓った。

 また昨年の総理大臣杯・鹿屋体育大戦に続き、直近2年間の全国大会3試合で3ゴール2アシストの結果を残した久保田も「また進路が決まっていないけど、これからもサッカーをしたいし、プロでやりたいと思っている」と意欲。尊敬するMFロベルト・バッジョのような「見ていてワクワクする選手」を目指していく。

 下級生にも左サイドで圧倒的なドリブルスキルを見せていたMF吉田源太郎(2年=四国学院大香川西高)、好セーブと鋭いキックでチームを支えたGK尹将英(3年=四国学院大香川西高)、高い身体能力とビルドアップのセンスを見せたDF吉松凛(1年=愛媛U-18)ら逸材多数。来季もまずは四国で力を蓄え、全国舞台で存在感を発揮していく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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