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[MOM754]新潟医療福祉大MFオナイウ情滋(3年)_「オナイウ阿道の弟」と言われることをモチベーションに

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MFオナイウ情滋

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.8 インカレ1回戦 新潟医療福祉大1-0名古屋学院大 相模原ギオンスタジアム]

 スタジアム中の視線が一点に集まった。スコアレスで迎えた後半34分、右サイドでボールを持ったMFオナイウ情滋(ジョウジ、3年=正智深谷高)は、期待通りの縦への仕掛けからゴール前に鋭くクロスを送る。「自ら仕掛けることしか考えていなかった」と振り返った場面。自主練習で何度も繰り返しているというFW小森飛絢(ヒイロ、3年=富山一高)にピタリと合わせて、決勝点を演出した。

「そろそろ2年くらいになるけど、練習が終わったあとにひたすらクロスを合わせる練習をしています。ヒイロがあそこに入ってくるのは見なくても分かる感覚で入れられる。自分も上げやすいクロスの持ち方を研究しているので、2人で成長してきた結果が今回の結果に繋がったのかなと思います」

■兄・阿道

「兄は結構ドライというか、たぶん心の中では思ってくれていることもあると思うけど、(自分の所まで)上がって来いということだと思う。今は流されるけど、兄と対等に話せるようになってからいろいろ話が出来るようになればいい。そこは自分の努力次第だと思っています」

 5歳年上の兄、4歳上の姉を持つ末っ子。5歳上の兄は言わずと知れたオナイウ阿道だ。同じ道を志すものとして、意識せざるを得ない存在。兄は現在、フランス2部のトゥールーズに在籍しており、日本代表の次代を担うストライカーとしても注目される。情滋も「雲の上の存在と思うこともある」と尊敬のまなざしを向ける。

 仕方がないこととは分かっているが、どうしても今は阿道の弟として見られてしまう。ただ家族や指導者などは、「兄と自分は別の存在。自分は自分で兄は兄。そこに無駄にこだわる必要はない。あくまでも自分のストロングポイントを出してプレーしてほしい」と言ってくれているという。

 そして情滋自身はそれをポジティブに捉える思考を身に着けている。「それで自分が注目される分には、自分の夢を叶えるためになる。そこを利用するじゃないけど、活かす感覚。弟だと言われることをモチベーションの一つに出来ればいい。確かに一サッカー選手として尊敬はありますが、目指すというより、自分の道を行ければいいと思っています」。

 しっかりとしたコメント力。兄にも負けない頭の回転の速さを感じさせる。ただあくまでもサッカーで追いつき、そして追い越したい。大学3年生だが、「今が就活」と今大会へ強い意気込みを持って臨んでいるという。「新潟にいるとこういう機会もない。スカウトさんたちにあいついいプレーしているねと観られるようなプレーを続けていきたい。それが出来なければ実力不足というだけだと思います」。次戦、11日の流通経済大戦での活躍は、これ以上ない最高のアピールになる。

(取材・文 児玉幸洋)
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