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三笘薫に続く“無双”ドリブラーの系譜…神戸内定のびわこ大3年生MF泉柊椰

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神戸内定のびわこ大MF泉柊椰(3年)

[12.8 全日本大学選手権1回戦 びわこ成蹊スポーツ大 4-1 札幌大 中台]

 全国大会の初戦で先制を許したびわこ成蹊スポーツ大。悪天候で思うようにプレーができない中、勢いをもたらしたのは、ヴィッセル神戸内定MF泉柊椰(3年=神戸U-18)のドリブルだった。

 前半23分、泉は中盤でMF江口隆史(4年=明徳義塾高)のパスを受ける。しかし、足元は大雨で水たまりができ、ボールを動かすと水しぶきが飛ぶ。「ボールがどこに行くかわからなくて、でも縦だったら勝負できるかなと思った」。ドリブルで一気に加速し、PA左に進入。相手選手のファウルを誘発し、同点につながるPKを獲得した。

 さらに1-1で迎えた前半アディショナルタイム、泉はセットプレーのこぼれ球をPA手前から右足シュート。PA内には敵味方が密集する中で「打てば何か起こるかなと思って打った」。相手のハンドを誘発し、またしてもPKを獲得。前半のうちに逆転に成功した。

 最大の持ち味はドリブルだ。今季の関西学生1部リーグでは結果も残し、10得点3アシスト。昨季に続いてベストイレブンにも輝いた。先制された場面には「正直かなり焦りました」と語りつつ、「ドリブルが得意なので、仕掛けないと僕じゃなくていいと思っている。このピッチでもしっかり仕掛けて、得点につながるプレーをできたのはよかった」と自信を垣間見せた。

 細身の長い足で、大きなストライドから相手のタイミングを外すような細かいタッチ。その姿は、筑波大から川崎フロンターレ、そして今はロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ(ベルギー)で活躍する日本代表MF三笘薫を彷彿とさせる。「たぶん完全に寄せていると思います(笑)」。泉にとって三笘は、高校生のときからの憧れの選手だった。

「高校3年生のときに筑波の練習に行ったんですけど、そのときからすごかった。そこからずっと憧れを持っていて、追いかけています」。泉はびわこ大に進学すると、1年生時から主力として台頭。その年のインカレでは2回戦で筑波大と対戦し、4年生だった三笘と再会を果たす。「試合のとき来てくれて、頑張れよって言ってもらった。すごく憧れの存在ではあります」。

 ルーキーながら昨シーズンのJリーグを席巻した“無双”ドリブラー三笘。その系譜は泉に受け継がれている。「何回取られたとしても、仕掛けることに意味がある。三笘選手くらい一人でチームを変えられたらいいなとは思う」。3年生の泉は2023シーズンの神戸加入が内定。練習参加を経て、そのレベルの高さに衝撃を覚えつつ、たしかな自信も手にしたという。その中で、今大会に懸ける意気込みは大きい。

「色んな人を魅了したいです。この大会でも、できるだけ多くの人に自分のプレーで驚かせたり、魅了できたらいいなとは思っています。ヴィッセルに行くのは決まっていますけど、いま関西でどれだけ活躍できても、もっともっと名前を残さないとJリーグで使ってもらえないかもしれない。自分の名前を残す大会にしたいと思っています」

 2度のPK獲得もゴールは先輩たちに譲った。「正直自信がなくて(笑)」と可愛らしい一面も。だが「PKを取れるシーンを作れればいいと思う。ゴール前で仕事ができればいいと思っています」と眼光は鋭い。新たな“無双”ドリブラーが、今大会でその実力を見せつける。

(取材・文 石川祐介)
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