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J3優勝も間近で経験…仙台大MF藤田一途が熊本で学んだもの「自分は今までそういうところが足りなかった」

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仙台大MF藤田一途(4年=横浜FMユース)

[12.8 全日本大学選手権1回戦 仙台大 0-1 東海学園大 浦安市]

 来季からJ2のロアッソ熊本入りが内定している仙台大MF藤田一途(4年=横浜FMユース)の全国舞台は、たった1試合で幕を閉じた。「正直もっとできたと思う。もっとできたし、もっとやんないといけなかった。自分の未熟さ。やらないといけない立場だったので……」。この悔しさはプロの舞台で晴らしていくつもりだ。

 仙台大はインカレ初戦で、東海王者の東海学園大と対戦。ドリブルやショートパスに強みを持つ相手に対し、事前にゲームプランは準備していた。しかし、この日は試合前から続いた風雨により、パスサッカーをするのが難しいコンディション。割り切ってきた相手に想定外の試合展開を迫られ、前半早々の失点を取り戻すことができないまま0-1で敗れた。

 藤田は試合後、「本当は前半に風上を取りたかったけど、コイントスで相手になってしまった。不利な状況の中でも違う戦い方を明確に持ち、共有できればよかったけど、そこで自分たちがやってきたことを続けるのか、割り切ったサッカーをするのかを迷ってしまい、相手の勢いを持ったサッカーにやられた。試合の入りが間違ってしまったのかなと思う」と悔やみきれないといった様子で振り返った。


 今季は特別指定選手として熊本に帯同し、6試合にベンチ入り。出場機会こそ得られなかったが、J3制覇を果たしたチームの雰囲気に身を置いていた。

「向こうでやらせてもらって、いろんな意味で肌で感じて、吸収させてもらって、いろんなことを学んで成長できた。ただ、それをチームにうまく還元できなかった。自分が感じたものをもっとピッチで表現できればよかったが、なかなかそれができなかった」。

 J3優勝が決まったJ3リーグ最終戦もスタンドから試合を見つめ、喜びの輪に加わった。その一方で、大学に合流したのはインカレの2日前。東海学園大戦はトップ下とボランチの位置で奮闘した藤田だったが、「自分の中で感じたものをもっともっとチームに対して言えればよかった。還元できなかった」と敗戦の責任を背負った。

 もっとも、大学側が藤田をJクラブに送り出しているのも将来を考えてこそ。これから先、熊本で学んだことをサッカー人生に活かしていくことが重要だ。

「球際、フィジカルの強度はもちろんそうだけど、メンタルの部分で違いを感じていた。プロの世界ではミスをしても次にすぐ切り替えるところだったり、自分がやってやる、自分がヒーローになってやるという気持ちをすごく肌で感じた。主体的にいろんなことを吸収する中で、メンタル面ですごく成長できた」。

「プロの世界でを感じさせてもらったことで、自分自身がこれからどうやって行くかがすごく明確にわかったし、それはメンタルの部分が一番大きいと感じている。チームができないなら俺がやってやるよ、俺がチームを勝たせてやるよ、そういう気持ちが強い選手が多い。自分自身は今までそういうところが足りなかったので、そこを気づかせてもらった。俺がこのチームを引っ張っていくんだと思えるくらいトレーニングをしていきたい」。

最前列左で優勝の輪に加わった


 チームの昇格により、来季はJ2リーグでプレーすることが決定。「試合に出ることができなかったので、悔しさはあったけど、昇格できたことがシンプルに嬉しかった。最終戦はファン・サポーターの方がたくさん来て下さっていたので雰囲気を肌で感じることができ、来季からスタメンで活躍したいと心から思ったし、この世界で生き残っていくんだという強い決心もできた」。大学ラストマッチで感じた悔しさも胸に、プロの世界に挑んでいく。

(取材・文 竹内達也)
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