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“夏の失格”経た仙台大はインカレ初戦敗退…J3讃岐で10試合出場のMF鯰田太陽「力不足を痛感している」

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MF鯰田太陽(4年=柏U-18)

[12.8 全日本大学選手権1回戦 仙台大 0-1 東海学園大 浦安市]

 東北王者の仙台大にとって、今季唯一の全国大会として挑んだ全日本大学選手権(インカレ)だったが、無念の初戦敗退に終わった。課題となったのは難しいピッチコンディションへの適応力。その背景には、まさかの理由で出場権を逃した夏の失敗があったという。

 仙台大は今季、6大会ぶりに総理大臣杯東北予選を落とし、大会中止の昨季に続いて夏の全国大会を経験できなかった。敗退理由は準決勝でのエントリー違反。多くの4年生が就職活動により流動的なスケジュールを敷いていた中、大会登録を行っていない選手を出場させたことが反則とみなされた。

 大学卒業後もサッカーを続けたい選手にとって、夏の全国大会はいわば見本市。チームへの衝撃は決して小さいものではなかった。それでも「選手のモチベーションがいったん途切れてしまうかなと考えたけど、本人たちはしっかりと前を向いてやってくれたのが一番大きかった」と飛奈洸太監督。目標を冬のインカレに切り替え、ひたむきに取り組んできたようだ。

 もっとも、そうして迎えた初戦は経験不足を突きつけられる結果となった。ドリブルとショートパスに強みを持つ東海学園大に対し、「全国大会の相手が決まったところから準備を重ねてきた」(飛奈監督)ものの、この日の会場は風雨が吹き荒れる難しいコンディション。相手は戦い方を変え、前半からロングボールを次々と放り込んできた。

 一方、仙台大は「自分たちのサッカーをするのか、割り切ってサッカーをするのかの判断がチームの中でうまくできなかった」(MF鯰田太陽)。前半3分、積極的な姿勢を見せた相手のミドルシュートで失点すると、その後もリズムを掴み切れないまま、シュート1本で無念の敗退となった。

 試合後、飛奈監督は「指導者として夏からの意欲をいい方向に持っていけるようにと全国大会に向けてやってきたが、夏に全国に出られなかったことがインカレにも影響が多少なりあった。夏にしっかり全国大会を経験して、集大成のインカレに向かっていかないといけない。そうしないと東北のレベルも上がってこない」と反省を口にした。

 また来季からカマタマーレ讃岐への加入が決まっている鯰田(4年=柏U-18)は「まだこの大会で進路が決まっていない4年生もいるし、今後もサッカーを続けていく上で大事な大会だった。一戦一戦本気で、ピッチに立っている選手、サポートしてくれている選手の分までやろうと話していた」といまも進路を模索するDF橿渕佑斗(4年=宇都宮白楊高校)、MF樋口颯太(4年=浦和ユース)らへの思いを明かしつつ、「早い時間帯から相手のほうが早く順応していて、東海学園さんのほうが上手だった」と唇を噛んだ。

 鯰田は今季、特別指定選手として讃岐に帯同し、J3リーグ戦10試合に出場(うち6試合先発)。「Jリーグの環境に身を置くことで大学サッカーでは経験できないものをたくさん経験して、自分の中でとても成長できる期間だった。Jリーグの舞台はとてもすごい環境だなと思った」。Jリーグの舞台も経験しながら成長につなげてきた。

 その一方、最後の試合では後半19分に途中交代。「Jの舞台を経験しているから、チームを勝たせないといけない、引っ張っていかないといけないのに、それができなかったのは力不足を痛感している」と課題も残し、「来年からJの舞台に行くけど、より危機感を持って挑んで行けたら」と気を引き締めた。

 その悔しさは来季、Jの舞台でぶつけることになる。まずは開幕スタメンへ。「まずはJ2昇格を目標に掲げているので、その中でもチームの中心選手として引っ張っていける存在になりたい」と決意を語った。

(取材・文 竹内達也)
●第70回全日本大学選手権(インカレ)特集

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