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関東覇者・流経大が延長接戦を制す! 新福大に苦戦も逆転成功…指揮官はキジェ氏合流の詳細を語る

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流通経済大が準々決勝へ

[12.11 全日本大学選手権2回戦 流通経済大 2-1(延長) 新潟医療福祉大 保土ケ谷]

 第70回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)は11日に2回戦を行った。県立保土ケ谷公園サッカー場では、流通経済大(関東1)と新潟医療福祉大(北信越)が対戦。延長戦の末、流経大が2-1で勝利した。

 J1内定者が7選手、来季J3に参入するいわきFCに内定している3選手も含めると、Jリーグ内定者は10選手にも及ぶ流経大。2回戦から登場も、MF安居海渡(4年=浦和学院高/浦和内定)は負傷でメンバー外。また、FW満田誠(4年=広島ユース/広島内定)とMF菊地泰智(4年=流通経済大柏高/鳥栖内定)はベンチスタートとなった。

 ゴールはGK薄井覇斗(4年=流通経済大柏高)が守り、最終ラインはMF佐久間駿希(4年=成立学園高)、DF佐々木旭(4年=埼玉平成高/川崎F内定)、DF家泉怜依(4年=藤井学園寒川高/いわきFC内定)、DF宮本優太(4年=流通経済大柏高/浦和内定)。中盤はMF熊澤和希(3年=流通経済大柏高)、MF藤井海和(1年=流通経済大柏高)、MF仙波大志(4年=広島ユース/広島内定)を配置。攻撃はMF佐藤響(4年=水戸啓明高/鳥栖内定)、MF宇津木優人(3年=成立学園高)、FW菊井悠介(4年=大阪桐蔭高)が牽引した。

 初戦を突破した新福大。1回戦ではベンチスタートだったMFシマブク・カズヨシ(4年=浦和ユース/新潟内定)が満を持して先発入り。GKは三文字瑠衣(3年=青森山田高)で、4バックはDF沼田皇海(3年=尚志高)、DF秋元琉星(1年=青森山田高)、DF二階堂正哉(3年=青森山田高)、DF森田慎吾(2年=FC東京U-18)が並ぶ。ボランチにMF沼田航征(2年=FC東京U-18)とMF松本雄真(4年=尚志高/富山内定)。自慢の両翼は、左サイドがシマブク、右サイドはMFオナイウ情滋(3年=正智深谷高)が入る。2トップには、北信越を圧倒したFW田中翔太(2年=青森山田高)とFW小森飛絢(3年=富山一高)が入った。

 開始数分でセットプレーからチャンスを作った流経大だが、先制点を挙げたのは新福大。前半11分、左サイドのシマブクがカットインから浮き球を敵陣PA内に上げると、待ち構えた小森が技ありのヘディングシュート。2試合連続ゴールで先手を打った。

 追いかける流経大はその後ボールを保持し、攻勢を強める。前半17分には宇津木がPA左からシュートを放ち、同20分には佐藤がヘディングシュート。しかしいずれも三文字に阻まれた。前半は新福大のシュートは小森のゴール1本のみ。一方、流経大は7本。だが、新福大の堅い守りにすべてブロックされてしまった。

 後半に入ると、流経大はさらに攻撃を仕掛けるが、新福大GK三文字の連続スーパーセーブにことごとく跳ね返された。そこで交代カードを3枚切る。後半19分に藤井に代えて菊地を、その2分後には宇津木と菊井を下げ、満田とFW齊藤聖七(3年=清水ユース)を投入した。

 ここから少しずつ得点の匂いが漂う。宮本は試合後に「(満田)マコも出て、(菊地)タイチも出てきたときは、もう自分たちのサッカーをやれば必ず点が取れるって話をしていた」と振り返る。得点こそ決まらないが、試合はほとんど流経大が支配していた。

 そして、流経大は後半30分に待望の同点ゴール。宮本が右サイドから駆け上がり、仙波を経て、ボールは佐藤のもとへ。佐藤は「自分の中で一回ゴール前で冷静になろうと」冷静にボールを収めると、右足シュートをゴールに突き刺した。

 1-1と試合が振り出しに戻ると、新福大も失点を許さない。再び拮抗状態に戻り、延長戦に突入した。

 得点は動かないまま延長前半を折り返すと、流経大が延長後半6分に決着をつける。齊藤がPA左まで持ち込み、パスを受けたPA内の満田がヒールパス。受け渡された齊藤がPA左から右足シュートを放つ。絶好調のGK三文字にはじかれるが、ボールがPA右にこぼれると、そこには宮本。確実にボールを見ながら左足ダイレクトでミートさせ、ゴールに流し込んだ。逆転ゴールが決まった瞬間、流経大の選手たちは歓喜の雄たけび。流経大が逆転に成功した。

 流経大は最後まで集中を切らさず、相手にシュートを打たせない。そのまま試合を締め切り、2-1で120分間の接戦を制した。

 試合後、中野雄二監督は「負けなくてよかったです」と安堵の表情。「みなさんが思うより落ち着いていないです(笑)。いつも心の中ではドキドキしていますよ。心の中で、こういう試合って得てして点入らないなって思っていたので、真正面に時計があったので、ワンプレーごとに時計を見ていました」と試合中の焦りを語った。

 また、指揮官はチーム事情も明かす。チームの要・安居は現在肉離れで離脱中。「準決、もしくは決勝であれば、GOサインが出るとは思うんですけど、今週中には無理させないほうがいいと。無理してまた再発すると、Jリーグで1月10日前後から集まってキャンプに入るときに、スタートのところで別メニューになってしまう。将来のことを考えると、指導者がそこは止めなきゃいけないかなっていうのがあるので」と語った。

 そして、気になるピッチ外のチーム事情も。昨季までコーチを務めた京都サンガF.C.のチョウ・キジェ監督が13日から合流するという。「ベンチにも入ってって言っていますけど、すごく我々スタッフにも気を遣っている。でも、チョウさんがいるだけでも学生たちは全然違う。(昨季の全国大会で)やり残している部分を、チョウさんとちゃんとやり切るっていうのがあるので、僕もそのほうがいいかなと思います」と心待ちの様子を見せた。

 一方、敗れた新福大の佐熊裕和監督は「やっぱり難しい戦い」と肩を落とす。先制からの守りの時間で、攻撃に転じられなかったことを敗因に挙げた。流経大については「7人もJ1に行くっていうのももちろんですし、個々のクオリティの高さはわかっていた。ただ、北信越リーグではなかなかこういう試合がないので、逆にこっち側がずっと攻めている試合だったので、そこのところは難しかった」と経験の違いに悔しさをにじませた。

 勝利を収めた流経大は14日、国士舘大と対戦する。

(取材・文 石川祐介)
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