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[MOM761]明治大FW赤井裕貴(3年)_名門ラグビー部で鍛えた実績、Iリーグ得点王が“今季初戦”でV弾

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.11 インカレ2回戦 明治大3-0宮崎産業経営大 夢の島]

 磨いてきた得点感覚が、今年最後の大会で花開こうとしている。明治大はインカレ初戦となったこの日、今季リーグ戦でメンバー入りすらなかったFW赤井裕貴(3年=帝京高)を先発で抜擢。すると前半21分、DF岡庭愁人(4年=FC東京U-18/FC東京内定)が粘って上げたクロスを右足で合わせて先制点を決めた。

「背後のボールに岡庭さんが走っていて、相手はボールが出るんじゃないかと諦めていたと思うけど、自分は岡庭さんが絶対に上げてくれると信じて走り込んでいた。信じた通りのボールが来て、決めきることが出来てよかったです」

 武器は200cmに届かんとする長身。底知れぬポテンシャルを持っているであろうことは誰の目にも明らかだ。「イブラヒモビッチにしたいんですよ」。栗田大輔監督は赤井が入学したことから、サッカー界のスーパースターの名前を重ねて、将来への期待を語っていた。

 ただし恵まれた体を使いこなせなければ意味がない。そこで栗田監督はラグビー部に依頼。前年の全国大学ラグビーフットボール選手権大会を制していた名門に“肉体改造”を託した。

 具体的にはサッカー部の練習を早めに切り上げて、隣のグラウンドで行われているラグビー部の練習に合流。主に「強度の高い練習の走り込み。伏せた状態から立ち上がってからのダッシュなど、自分の身体をコントロールする練習をしていた」という。

「本来であれば他の部活の子が来るとかないことなのに、(ラグビー部員は)本当に温かく迎え入れてくれた。自分がきつい顔しているときも、『シャロッド(赤井の愛称)頑張ろうぜ!』と、フレンドリーに接してくれた。本当にお世話になったと思っています」

 2年生になってからはコロナ禍で他クラブとの交流が難しくなったこともあってラグビー部の練習に参加することはなくなってしまったが、今でも身体づくりについては意識している。入学したころは80キロほどだった体重も88キロへの増量に成功。「もう少し増やしたい」と、本家ラグビー部員にも負けない身体を目指すつもりだ。

 今季はセカンドチームが出場するインディペンデンスリーグ(Iリーグ)を主戦場とし、14試合で14得点を記録。堂々全体の得点王に輝いた。特に終盤のパフォーマンスが良かったことで、インカレメンバーに追加登録。そして結果で期待に応えてみせた。「もがきにもがいた結果が今日のゴールに繋がったと思います」。今年1年、Iリーグでしっかりと“熟成”させてきたホープが、「創部100周年日本一」の悲願に導く。

(取材・文 児玉幸洋)
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