beacon

[MOM764]福岡大FW鶴野怜樹(3年)_さすがのゴールセンス!! “ライバル”法政大沈めた福岡内定「千両役者」

このエントリーをはてなブックマークに追加

FW鶴野怜樹(3年=立正大淞南高)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.11 全日本大学選手権2回戦 法政大 0-1 福岡大 前橋総合]

 夏の総理大臣杯王者・法政大を破る福岡大の決勝ゴールは、度重なる負傷を乗り越えようとしている「千両役者」(乾真寛監督)の一撃だった。

 0-0で迎えた後半27分、福岡大は最前線で攻撃を牽引し続けていたFW大崎舜(3年=大津高)に代わり、FW鶴野怜樹(3年=立正大淞南高)を投入した。鶴野は3年生ながら2023年からアビスパ福岡加入が内定済み。スピードあふれる突破、切れ味鋭いドリブル、たしかな得点力を持ち味とし、立正大淞南高時代から大きな注目を集めてきた有望株だ。

「鶴野は1回で仕事をする人間。アビスパのエリートリーグ5試合で4点くらいに絡んでいるし、とにかく短い時間で確実に点に絡める力がある」。指揮官がそう太鼓判を押す一方、コンディションには懸念もあった。9月下旬にハムストリングの肉離れを起こして戦線を離脱。懸命な治療とリハビリの末になんとかインカレに間に合わせたが、時間限定での出場が限界だった。

 それでも鶴野のモチベーションは高かった。「チームがインカレ出場権を獲得してくれたけど、自分は何も力になれなかった。連れてきてもらった感覚なので、チームの力にちょっとでもなれれば」。2年次には膝の前十字靭帯損傷でシーズンを棒に振る長期離脱を経験。「落ち込む期間もあったけど、先輩とか同期に支えられた」という感謝の思いもあった。

 また対戦相手の法政大には、強烈なライバル意識を燃やしていた。立正大淞南高3年時の2019年、全国高校サッカー選手権3回戦で矢板中央高に0-1で敗戦。法政大のDF白井陽貴、FW大塚尋斗は当時の対戦相手で「あっちの選手は覚えてないかもしれないけど、リベンジマッチだというふうに思っていた」という。

 そんな思いで迎えたインカレ2回戦、試合が動いたのは後半36分だった。MF倉員宏人(4年=鳥栖U-18)が相手の狙いを絞らせない持ち上がりから、右サイドに浮き球のスルーパスを送ると、これに抜け出したDF阿部海斗(4年=鳥栖U-18/熊本内定)がクロスを配給。これを鶴野がダイレクトシュートで押し込んだ。

 実はこのゴール、高校時代から得意としていた形だった。「高校の時にシュートの打ち方を厳しく言われていて、選手権でゲキサカで取り上げてもらった時にも言ったんですが、スライディングシュートのほうが枠に入りやすいと言われていた。いま思い返すと高校の全国大会で取ったシュートの打ち方とほぼ同じで、それを忘れることなく大学でも積み上げてきて、発揮することができたのでよかった」。恩師である南健司監督からの教えも活きていたようだ。

 鶴野の先制ゴールでリードを奪った福岡大はその後、お家芸でもある体を張ったブロックディフェンスが発揮され、そのまま法政大の攻撃をシャットアウト。2018年以来となる準々決勝進出を決めた。

 もっとも、鶴野が目指しているのはベスト4、そして日本一。準々決勝では関西の強豪・阪南大が待ち構えているが、ここで立ち止まるつもりはない。

「(負傷のケアのため)途中からしか試合に出られないけど、FWとして相手が疲労している中で投入されると思うので、絶対に点を取ってチームを勝たせたい。注目されているし、チームから信頼を置かれているので、自分がチームを勝たせるつもりでやっている」。そう決意を語った20歳は「自分がチームを勝たせて、目標である4強以上、日本一を達成して、チーム全体で喜びを分かち合いたい」と歓喜に思いをめぐらせた。

(取材・文 竹内達也)
●第70回全日本大学選手権(インカレ)特集

TOP