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関東覇者・流経大がインカレ4強!「10分で魔法をかける」チョウ・キジェ監督の“マジック”炸裂

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試合前、円陣に加わった京都のチョウ・キジェ監督

[12.14 全日本大学選手権準々決勝 流通経済大 2-0 国士舘大 ギオンス]

 わずか10分間でチームに魔法をかけた。流通経済大(関東1)は2-0で完封勝利をおさめ、インカレ4強入りを果たした。昨季流経大のコーチを務めた現京都サンガF.C.監督のチョウ・キジェ氏が13日、チームに合流。前日ミーディングでは初戦の修正ポイントを選手たちに示し、テコ入れを敢行した。10分ほどの指導だったというが、効果はてきめんだった。

「10分でチームを変える力がありますから。10分で魔法をかける才能がある。ポイントの示し方と、納得させる話術というんですかね」。中野雄二監督はチョウ監督の手腕に改めて脱帽し、「安定した試合ができました」と満足そうに振り返った。

 流経大のインカレ初戦は先制を許し、延長戦にもつれ込む接戦となった。チョウ監督が用意した2回戦・新潟医療福祉大戦の映像が示され、修正点を伝えられた。「映像でポイントを示してミーティングをして、すぐに練習をした。10分だけです」(中野監督)。そこで指導されたのは、ラインコントロールだった。初戦はDFラインが下がったことで選手間の距離が広がり、セカンドボールの回収で後手に回った。

「映像を見て、このポイントを直せば問題ないよというミーティングをしてくれた。きょうはルーズボールはほとんど流経が拾った。やっぱり違うなと思いましたね」。相手のゴールキック時は最終ラインを押し上げ、コンパクトな守備陣形へ。良い距離感を保ってプレッシャーをかけ、セカンドボールの回収で優位に立ち、試合を支配した。

 チョウ監督はベンチ入りしなかったが、客席から教え子を見守った。その選手たちも“魔法の10分間”の効果を口にする。2点目を挙げたMF熊澤和希(3年=流通経済大柏高)は「初戦を振り返って、ラインの上げ下げとセカンドボールの意識を心がけた。しっかりラインアップ、ラインコントロールも出来ていた」とチームの変化を指摘。

 今季センターバックを務める佐々木旭(4年=埼玉平成高/川崎F内定)はチョウ監督からDFラインの低さを指摘され、「今までセカンドを拾えなかったのは自分たちのせいだった」と教えを実行。「ラインを上げる意識は去年からずっと言われていた。やっているつもりだったんですが、甘かった。きのうの練習でチョウさんが10分指導してくれただけでこんなに良くなったのはすごい」と実感を込めて語った。

 昨年度の『#atarimaeni CUP』は8強で涙を飲んだが、準々決勝の壁を破った。「チョウさんの修正がなかったら、きょうも良い試合ができていなかったと思う。このまま優勝に向かっていきたい」と佐々木。18日の準決勝は阪南大(関西4)と対戦する。チョウ監督の合流で引き締まった関東覇者が、頂点へと駆け上がる。

(取材・文 佐藤亜希子)
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