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熊本内定エースFW土信田が驚異の7戦連発!! 駒澤大、雨中の接戦で筑波大下してインカレ4強

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筑波大GKも加わるパワープレーを守り切った駒澤大がインカレ4強

[12.14 全日本大学選手権準々決勝 筑波大 0-1 駒澤大 浦安市]

 第70回全日本大学サッカー選手権(インカレ)は14日、首都圏各地で準々決勝を行い、浦安市陸上競技場では駒澤大(関東2)が筑波大(関東6)を1-0で下した。駒澤大は準優勝だった2018年以来のベスト4進出。エースFW土信田悠生(4年=高川学園高/熊本内定)が前半6分に公式戦7試合連続ゴールとなる先制点を決めると、このリードを最後まで守り切った。

「分かっていても止められないというのが現状。個を鍛えていくしかないと感じた」

 試合後、筑波大の小井土正亮監督は率直に力不足を認めた。勝負を決めるゴールが決まったのは開始早々の前半6分。ここまで公式戦6試合連続ゴールを続けており、わずか1か月前の同カード対決でも得点していた関東1部トップスコアラーの一撃だった。

 冷たい風雨の影響もあり、蹴り合いの様相を呈していた序盤。駒澤大は左サイドでFW宮崎鴻(4年=前橋育英高/栃木内定)がボールを収め、MF宮嵜龍飛(4年=駒澤大高)がスルーパスを送ると、土信田が鋭く抜け出した。筑波大GK櫻庭立樹(4年=札幌U-18)も飛び出してプレッシャーをかけたが、ここは土信田が一枚上手。左足ダイレクトでループシュートを狙い、ゴール右隅に流し込んだ。

 無失点のまま試合を進めるゲームプランを想定していた駒澤大にとっては、願ってもない先制点。秋田浩一監督は「あれに気を良くしてあればっかりやられると困る」と苦笑いを浮かべつつも、「想定外じゃないですか。シュートも上手かったし、びっくりしました。まぐれじゃないかと思いますが、素晴らしかった」と目を細めた。

 こうなると駒澤大のペース。前線からのプレッシングで筑波大のビルドアップを限定しつつ、ダブルボランチのMF江崎巧朗(4年/熊本内定)と宮嵜が幅広く顔を出して相手をせき止め、安定した布陣のまま相手の攻撃を受け止めていく。筑波大は前半15分過ぎからようやく持ち味のパスワークを繰り出せるようになり、左ウイングバックのDF山原怜音(4年=JFAアカデミー福島U-18/清水内定)を起点に攻撃を展開。MF加藤匠人(4年=柏U-18/柏内定)とMF角昂志郎(1年=FC東京U-18)が近い距離感で動きながら崩す場面も見られた。

 対する駒澤大は前半30分、土信田が巧みなポストプレーから右サイドに展開し、MF中村一貴(4年=駒澤大高)がアーリークロスを配給。GKの手前に飛び込んだ土信田が完璧なヘディングシュートを突き刺したが、オフサイドの判定が下された。筑波大も同37分、MF山内翔(2年=神戸U-18)の果敢な攻め上がりから左サイドを打開し、MF岩本翔(3年=G大阪ユース)が強烈な右足シュート。だが、GK松本瞬(4年=前橋育英高)のファインセーブに阻まれた。

 後半は風雨が強まる中、風上の駒澤大がハイプレスを継続。すると3分、駒澤大は土信田がボールを収めて落とし、FW荒木駿太(4年=長崎総合科学大附高/鳥栖内定)が振り向きざまに左足シュートを叩き込んだが、ハンドがあったとしてゴールは認められない。それでもさらに攻撃の勢いは増すばかりで、荒木の4連続コーナーキックで筑波大を攻め立てた。

 筑波大は後半12分、角のドリブル突破でFKを獲得するも、ゴールにつなげることはできない。駒澤大は同17分、宮崎のボール奪取から左サイドを攻め込み、土信田、荒木の3トップで攻め切ろうと試みたが、荒木の右足ボレーは枠外。同18分には右サイドを突破した荒木のクロスから土信田がドンピシャのヘッドを放つも、櫻庭のスーパーセーブに阻まれた。

 筑波大は後半19分、岩本に代わってMF田村蒼生(1年=柏U-18を投入。ここからは互いに交代選手を次々に入れ、両者ともに勢いのある攻撃を仕掛けていった。それでもなかなか試合は動かず、後半アディショナルタイムへ。筑波大はラストプレーでGK櫻庭を前線に上げ、山原のFKが駒澤大ゴール前を襲うと、多くの選手が密集する混戦が生まれたが、かろうじて放たれたシュートはDF猪俣主真(4年=三浦学苑高)が決死のカバー。そのままタイムアップのホイッスルが鳴らされ、駒澤大の準決勝進出が決まった。

 筑波大はこれで4大会連続の8強敗退。18年にも準々決勝で駒澤大に敗れていたが、リベンジを果たすことができなかった。小井土監督は「駒澤さんが力強く前に前に出てくるサッカーをしてくるのは当然わかっていた。リーグ戦の延期分で1か月前にも対戦していたので、お互いがやることをわかっている中で戦って力負けしたというのが率直な感想。やれることをやったし、いまできることが思い当たらないくらいに力負け」と悔しそうに語った。

 一方の駒澤大は18年以来の4強入り。最後は守る展開となったが、粘り強く跳ね返す“駒澤らしさ”を見せた選手たちに対して指揮官は「みんな突出した選手はいないので、勝つ条件はああいうところ。チームでやっていく。ラッキーだったけど良かったと思う」と手応えを口にした。

 準決勝の相手は明治大。今季は関東大学リーグでの2戦2勝に加え、天皇杯東京都予選でも勝利している得意の相手だ。それでも「今日の筑波さんと同じようにテクニックのある選手が多いので、粘り強くやって、失点しなければチャンスはある」と謙虚に語った秋田監督。「先に失点すると厳しくなる。前の3人の攻撃力と守備力をもう一度確認して準備したい」と冷静に先を見据えていた。

(取材・文 竹内達也)
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