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[MOM767]駒澤大DF猪俣主真(4年)_ラストプレーで失点危機…「みんなが行くと信じていた」主将の判断

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DF猪俣主真(4年=三浦学苑高)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.14 全日本大学選手権準々決勝 筑波大 0-1 駒澤大 浦安市]

 1-0で迎えた後半アディショナルタイム、駒澤大の勝利を決定づけたのは主将のカバーリングだった。「考えながらというわけではなく、身体が動いてくれた」。筑波大との準々決勝の試合後、DF猪俣主真(4年=三浦学苑高)は高揚した様子で振り返った。

 駒澤大の主将を務める猪俣は、3バックの中央で駒澤大のディフェンスラインを統率する守備の要。この日は前半6分に奪った先制点でチームが優位に立つと、その後は関東大学リーグ1部でトップタイの14得点を挙げたFW森海渡(3年=柏U-18)を完璧に抑え込み、1-0での“駒澤らしい”試合運びに大きく貢献していた。

 それでも後半アディショナルタイム、駒澤大に同点被弾の危機が訪れた。

 自陣右サイドでFKを与えてしまうと、DF山原怜音(4年=JFAアカデミー福島U-18)の精度の高いキックがペナルティエリア内へ。GK松本瞬(4年=前橋育英高)がニアサイドに飛び出し、なんとか処理しようとしたが、相手の波状攻撃でポストに当たったボールがゴール前にこぼれた。しかし、この軌道上には猪俣の姿。ゴールラインギリギリでの冷静なトラップから大きくボールを蹴り出し、最後の最後のピンチを防ぎ切った。

「最初に攻撃陣が1点取ってくれたのがすごく大きくて、あとは自分たちが体を張って守るのがメインになった。最後のところはだいぶ攻め込まれていて危ないシーンもあって、あまり覚えていないけど、カバーに入っていたらボールがきた」(猪俣)

 ここで光ったのはチーム全員が積極的なボールへのアプローチ姿勢を見せる中、ゴールカバーに回った駆け引きだ。「ゴール前の場面は密集していたし、ボールに行く人は行くというのがあるけど、みんなが行くと誰もいなくてやられるので、みんなが行くと信じていたから引いた」。チームのコンセプトを踏まえた上で、しっかりと役割を全うした素晴らしい判断だった。

 このビッグプレーの甲斐もあり、駒澤大は準優勝した2018年に続く4強入りを達成。猪俣にとって、準優勝当時のチームは憧れの存在だったという。

「自分はメンバー入りはあまりできていなくて、応援席から見ていたけど、4年生はすごいなという思いで見ていた。その舞台に立ちたいと思っていたところまで来られて光栄なことだし、このチームでここまで来られていることを誇りに思う」。

 そう笑顔を見せた主将は「あとは優勝して、みんなで笑って終われるようにしたい」と目標をキッパリと語った。

 まずは準決勝の明治大戦へ。相手は今季リーグ戦で2戦2勝、天皇杯東京都予選でも勝利した相性の良い相手だ。それでも「3勝できたのは実力の部分だけではないと思う」と警戒は怠らず。「手強い相手だし、絶対的に強い相手だと思うので、自分たちも気を引き締めて残り少ない期間だけど全力で取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

(取材・文 竹内達也)
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