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[MOM842]仙台大FW波田祥太(3年)_延長後半ATラストワンプレーの歓喜、優勝候補打ち破る決勝ゴール

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仙台大FW波田祥太(3年)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.11 インカレ2回戦 明治大1-2(延長) 仙台大 味の素フィールド西が丘]

 延長アディショナルタイムを過ぎたラストワンプレーで勝負を決した。仙台大は120分を通して初のコーナーキックを得ると、仲間がつないだボールをFW波田祥太(3年=浦和ユース)が渾身のヘディングシュート。勝ち越しゴールとなった直後、仙台大の勝利を告げるホイッスルが鳴った。

 優勝候補の関東覇者・明治大との一戦。仙台大は1回戦の九州産業大から先発5人を代え、さらに布陣も変更する。1回戦を勝ち進んで中2日でやってくる明大戦を見据え、西洋祐監督は「明治さんは(シードによる)一戦目でフレッシュなので、こっちもフレッシュなメンバーを当てようと」と意図を明かす。波田は初戦に続いてベンチスタートで、その出番を待った。

 序盤は守勢に回った仙台大だが、前半31分にセットプレーから先制に成功。1-0で後半に折り返すと、後半9分に波田が投入された。「前でボールを収めて起点を作ることが役割。あとは、点を取ってこいと言われた」(波田)。だが、強者・明大も勢いを取り戻し、仙台大は後半12分に失点を食らう。1-1のまま決着はつかず、延長戦に突入した。

 延長を戦う中で、明大は体力無尽蔵に走る一方、仙台大は足を攣る選手が出てくる。それでも、勝負を捨てる選手はいなかった。「関東には絶対に負けたくない。毎年1回戦止まりなので、2回戦突破してやるという強い気持ち。おれが決めるとずっと考えていました」(波田)。

 延長後半のアディショナルタイムは4分。MF冨久田和真(4年=三菱養和SCユース)が足を攣り、治療が行われる時間も考慮され、すでに5分が過ぎていた。フル稼働のFW得能草生(3年=青森山田高)が敵陣内でドリブルを仕掛け、ボールは相手守備陣に当たってタッチラインを割る。仙台大はラストワンプレーでCKを得た。

 選手たちは最後の力を振り絞った。冨久田が右CKで渾身のキックを放つと、ファーサイドのDF山内琳太郎(2年=京都橘高)が競り合いを制し、頭で折り返す。跳ね返ったボールはゴール右前に待ち構えた波田のもとへ。「位置取りもよかった。気持ちで押し込みました」(波田)。ヘディングシュートはゴールネットを揺らし、値千金の勝ち越し弾となった。

 直後に試合終了のホイッスルが鳴る。仙台大が優勝候補を打ち破り、ベスト8入りを決めた。波田は1回戦に続く決勝ゴール。試合後には「持っていますね」と満面の笑みを浮かべた。

 中2日の戦いを終え、3回戦は一週間後に行われる。次戦の相手は夏の総理大臣杯を制した国士舘大。再び強敵と相まみえる。「ボールを全部収めて、点を決めて、チームを勝たせられるように。4年生ともっとサッカーをしたい。4年生のために、チームのためにやっていきたいです」(波田)。自らの役割に徹し、再びチームに歓喜を呼び起こすつもりだ。

(取材・文 石川祐介)
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