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磐田補強禁止で急転鹿島入り…東京国際大FW師岡柊生「自分らしいというか、そんなに重く捉えていない」

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FW師岡柊生は応援スタンドから声をからした

[12.18 インカレ3回戦 東京国際大0-2桐蔭横浜大 流通経済大学龍ケ崎フィールド]

 FW師岡柊生(4年=日本航空高/鹿島内定)は、応援スタンドで必死になって声援を送っていた。初戦の高松大戦は途中出場でゴールを決めていたが、痛めていた内転筋の状態が思わしくなく、3回戦の戦いを前にドクターストップがかかったのだ。

「悔しかったですけど、今日は声を出すしかなかったので、そこではやり切ったのかなと思います」

 東京国際大は桐蔭横浜大に0-2で敗戦。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、師岡の大学サッカーも終わった。

 師岡のジュビロ磐田への入団内定が発表になったのは今年8月だった。新潟や大宮への練習参加もした中で、「裏に抜け出したらいろんなボールが出てくる」というMF遠藤保仁らのハイレベルなプレーに衝撃を受けたことなどで、入団を決めた。

 しかし思いもよらない知らせが、約2か月後に届くことになる。国際サッカー連盟(FIFA)から、21年に磐田に加入したFWファビアン・ゴンザレスの契約を巡って、今後2回の登録機関において、新規選手の登録が禁止されてしまったのだ。磐田は23シーズンの新加入選手を獲得できなくなった。

 師岡はその影響をもろに食らうことになった。磐田から獲得できなくなった旨を伝えれたのは、FIFAの発表の1週間ほど前。「ジュビロからは入ることは出来るけど、試合に出られないと説明されました」。特別指定選手の登録を行っていればまだ可能性はあったようだが、師岡はそれもされていなかった。

 磐田からは海外のクラブを紹介するという提案があったというが、色々な人に相談する中で、やはり国内でプレーすることを選択。幸いにもJ1複数クラブを含む5クラブほどが獲得に関心を示してくれたことで、国内への思いはより固まっていった。

 そんな中で鹿島の動きは早かった。FIFAの発表があった翌日には、練習参加なしで正式な獲得オファーが届いたのだ。「正直J2からスタートだと思っていたので、それが一気にJ1の上位クラブ。これまでもあまり強いチームでやってこなかったので、心配はありました」。

 しかしこのオファーを断る理由もなかった。そして「運命」を感じることにもなった。同い年のDF関川郁万は、小学校、中学校のチームメイト。「当時から別格で手の届かない存在」だったという関川だが、中学卒業から8年の時を経て、再びチームメイトになることになった。「連絡したら、『運命しかないな』という返信だった。一緒にJリーグを優勝を目指したいです」。

 もう頭は鹿島に切り替わっている。磐田からは、改めて今回の件の謝罪があったことを明かすが、「シュウが決めたことは応援するよ」と優しい言葉も貰ったという。「こういうことになったのも自分らしいというか、そんなに重くは捉えていないです」。笑顔が吹っ切れていることを何よりも物語る。這い上がってきた男が、常勝軍団の一員になる。

(取材・文 児玉幸洋)
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