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「“PK担当”とは言われていない」中村俊輔コーチ、森保J電撃入閣→W杯選考・準備の日々に「すごく刺激的」

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中村俊輔コーチ

 昨季限りで横浜FCのコーチを退任した中村俊輔氏は4月中旬、選手として国際Aマッチ98試合に出場した日本代表のコーチに就任し、森保ジャパン首脳陣の一員として自身3度目のW杯に挑むことが決まった。

 森保一監督は任命後、託そうと考えている役割として「PK担当」と公言していたが、実は直接的には「PK担当とは言われていないんです」と中村コーチ。名波浩コーチが指揮する攻撃面や、自身が得意としたセットプレーにも積極的に関わっており、ミーティングや練習場でさまざまな役目を担うことになりそうだ。

 中村コーチの森保ジャパン入閣が決まったのは、解説者として訪れていた今年3月のイギリス遠征後。森保監督からのオファーを受けた際には迷いもあったようだが、「自分に何が還元できるかということで与えられるばかりじゃ役不足なので、森保さんと話しながら、こういうことを期待しているとか、こういう力を貸してほしいということをコミュニケーションできて、微々たる力だけど何か代表のためにできないかという心境に変わっていった」という。

 2022年限りで現役を引退した後、横浜FCで3年間コーチを担当し、昨年末に退任。今年はいったんフリーになり、次のステップを模索した。今年春にはU-19カテゴリなどのJリーグ選抜でコーチを担当。「今年はいろんな引き出しを増やさないとという思いでいたなかで僕はそこですごく刺激を受けた。日本を背負って世界と戦いたいという志のすごく高い若い選手たちとやれたのはすごく良かった」とモチベーションを高め、次なる一歩を踏み出していた。

 日本代表に直接関わるのは選手として出場した2010年の南アフリカW杯以来16年ぶり。一人の指導者として「海外で、しかもレベルの高いビッグクラブでやっている今の選手たちを集めた中での代表コーチングスタッフの方々の練習内容、ミーティング内容は気になっていた」といい、イギリス遠征では積極的に練習の視察を行った。また選手たちとも取材などを通じてコミュニケーションを取っており、その中では“日本代表の価値の高さ”を感じていたという。

「世界で戦っている選手たちの言葉には自信が溢れているなという感じがする。僕なんかの時よりは基準が高くなっていると思った。また代表の価値が高いんだなと感じた。代表の価値が下がると、選手のいろんなところに響くので、(価値の高さは)非常に練習からも感じましたね」

 選手として日本代表でプレーしていた当時は「代表が一番大事なもの、一番価値があるものだと思っていたので、クラブでいいプレーをするのも代表のためだった」という中村コーチ。近年では選手としての目標がクラブチームの大会に傾きがちな中、いまの日本代表選手たちからも当時と変わらない代表への思いがあると知り、大きな刺激を受けたようだ。

 また森保監督をはじめとした他のコーチングスタッフからも示唆を得ているという。当初は森保監督がPK担当を任命する意向を示していたが、中村コーチは「PK担当とは言われていない」と苦笑いを見せ、現在のミーティングでも「全体をカバー、サポートしながらいろんな意見を求められる」という。

 それでもPKについては「まだ言われていないけど準備はしている」とのこと。「選手によってはゲームで蹴っている人と蹴っていない人がいたり、練習で蹴っている映像も残っているのでそれを見て、いろんなアプローチをしていこうと思っている」。映像を通じて分析を進めている一方、練習に関しては「あまりPKで選手の頭をいっぱいにはさせたくないし、いつ頃からやるか、何がベストかというのも含めて自分の中では案があるので、森保さんに提案して、判断していきたい」と慎重に進めていく姿勢。まずは「分析の方と一緒にミーティングを進めている」と水面下で取り組んでいるようだ。

 コーチ就任後はW杯メンバー選考のミーティングにも深く関わってきた。中村コーチはこれまでの日本代表を外から見てきた貴重な立場。発言を求められるにあたって感じたのは、その場で行われるコミュニケーションの濃さだったという。

「佳境の佳境だったので『僕が間近で見た選手ではない選手を推薦するのはちょっと……』という話をしたとしても、森保さんは『そういう意見がいいんだ』というのを言ってくださった。『いろんな角度の意見が欲しい。いろんなシチュエーションから、いろんな思っていることをどんどん言ってほしい』というミーティング、選考の雰囲気を作ってくださっているので、多少的外れなことがあっても『それは違うんじゃない?』という雰囲気にはならないミーティングだった。濃かったと思いますね」

「僕個人としては全部がプラスでした。代表の選考ってこうやってやるのかというのもあるし、自チームでの毎週毎週の準備とは違った。もちろん(代表でも)毎週、選手の映像を見ている担当の人がいて、僕も担当していたけど、もちろんJリーグだけでなく海外だけの選手のプレー時間、ケガ、プレーの質とかも含めて(見ていた)。それくらいにすごく刺激的で、『このレベルに参加しなきゃ』とか『いい意見、違った角度のことを言わないとここに呼ばれた意味がない』と思えるほど内容が濃いミーティングでした」

 そんなコーチングスタッフの関係性については「(お互いが)すごくリスペクトしているし、自分の担当で結果を残そうではなく、代表のために各コーチが隣のコーチ、分析の人まで意識しながら仕事をしているのをすごく感じる」とも評した。

 直接的に担当が重なるわけではない下田崇GKコーチとGK鈴木彩艶の試合に関する雑談をした際、GKの飛び出す判断やパルマの最終ライン設定にも話が及んだこともあったそうで、中村コーチは「森保さんをはじめスタッフにそういう雑談力というかその雰囲気がある。それについていけるように頑張りたい。何気ない情報交換だけど、それはスタッフのチーム力がすごいから。やっぱり(試合を)見ていないとダメだし、情報がないとダメなので、それを意識しています」と謙虚に向上心を語った。

 そうしてチームに馴染みながら挑む北中米W杯本大会。今後は監督業にも期待がかかる中村コーチだが、「W杯というのは楽しみでありつつ、責任が重大なのでプレッシャーや不安もあるけど、こういう舞台でやれて終わった後に何を感じるか。単純に『監督やりたいな』とかそういうのはなく、今はこれに集中してという感じです」とまずはこの大会に全てを捧げる構えだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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