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値千金の先制点も…まさかの退場に栗原「2度ビックリした」

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[6.12 W杯アジア最終予選 オーストラリア1-1日本 ブリスベン]

 歓喜のゴールも最後はまさかの幕切れだった。8日のヨルダン戦(6-0)で右膝内側靭帯を痛めて離脱したDF吉田麻也に代わってW杯アジア最終予選初先発となったDF栗原勇蔵(横浜FM)。後半20分、右CKのチャンスから最後はMF本田圭佑の折り返しを右足で押し込み、2戦連発となる先制点を決めたが、後半44分にこの日2枚目の警告で退場処分を受けた。

「点を取ったり退場したり、いろいろあって、勝てれば問題なかったけど、引き分けの結果に満足はしていない。退場して迷惑をかけたけど、そのあとみんなが守ってくれて感謝しています」。得点後は雄叫びをあげ、歓喜の輪の中心にいた栗原だが、試合後のミックスゾーンで笑顔はなかった。

 序盤はシンプルにロングボールを放り込むオーストラリアのサッカーに後手を踏んだ。前半22分にはカウンターから裏に抜け出そうとしたFWケーヒルを引っ張り、栗原も警告を受ける。それでも徐々に流れを引き寄せ、ボールも回り出すと、後半10分にはDFミリガンが退場し、日本が数的優位に立った。

 押し込みながら、なかなかゴールをこじ開けられない展開の中、セットプレーから奪った値千金の先制点。後半20分、右CKから本田がショートコーナーでMF長谷部誠につなぐと、リターンパスを受けた本田がゴールライン際を仕掛ける。マイナスの折り返しがファーサイドまで流れてきたボールを栗原が右足で押し込んだ。

「ほとんど(本田)圭佑の点数と言っていいぐらいのいいボールが来た。そこに詰めれたのはよかったし、大事なときに点が取れてよかった」

 ところが、直後の後半24分、相手CKからゴール前の競り合いでDF内田篤人がファウルを取られ、オーストラリアにPKを与えてしまう。これをMFウィルクシャーに決められ、1-1の同点。イエローカードも増え、徐々に荒れ出した展開の中、後半44分、栗原がFWアレックスへのファウルでこの試合2度目の警告を受けた。

「ボールとは全然関係ないし、オフサイドだし、ファウルになってビックリした。そうしたらカードまで出て、2度ビックリした」。アウェーのW杯予選では何が起こるか分からない。「最初から分かっていたことだし、そういう審判にうまく対応しないといけなかった。なのに退場してしまって、そこに自分の甘さがある」と唇をかんだ。

 抜群の跳躍力とフィジカルの強さで相変わらず日本の脅威となったケーヒルとのマッチアップ。「強いのは分かっていたけど、思っていたより強くて、これが世界の選手だと実感した」。そう振り返ると、「高さでもやられたし、裏も結構取られた。もっと修正しないといけないし、もっともっと強いチーム、強い選手は世界にいる。自分自身、もっとレベルアップしないといけない」と誓った。9月11日のイラク戦(埼玉)は出場停止となるが、まだまだ続く最終予選、そして14年のブラジルW杯へ、この日の経験を無駄にするわけにはいかない。

(取材・文 西山紘平)

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