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[SBSカップ]ポープPK止めた!U-19代表、10人の韓国相手に無得点もPK戦制し全勝優勝!

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[8.19 SBSカップ国際ユースサッカー U-19日本代表 0-0(PK4-3)U-19韓国代表 エコパ]
 
 U-19日本代表が日韓戦制し、全勝優勝! SBSカップ国際ユースサッカー大会最終日の19日、U-19日本代表とU-19韓国代表が激突。0-0で突入したPK戦でアメリカ人の父を持つGKポープ・ウィリアム(東京Vユース)が相手の3人目を止めるなど、日本は4-3で勝ち、3戦全勝で2大会ぶりとなる優勝を飾った。

 日本の先発はGKがポープ。4バックは右から川口尚紀(新潟ユース)、岩波拓也(神戸)、植田直通(大津高)、佐藤和樹(名古屋)の4人。ダブルボランチは熊谷アンドリュー(横浜FM)と松本昌也(JFAアカデミー福島)で右MFが矢島慎也(浦和)、左MFが野津田岳人(広島ユース)。2トップは久保裕也(京都)と渡大生(北九州)がコンビを組んだ。

 80分間で負けなければ自力での優勝が決まる日本だが、立ち上がりは韓国のスピードに背後を取られるなど冷や汗をかかされる。ただ、前半9分、左サイドの佐藤からのパスを受けた久保がコントロールでPAへ侵入して強烈な左足シュート。ゴールマウス直撃の一撃で韓国ディフェンス陣を脅かすと、20分には渡の突破をファウルで止めた韓国CBイ・フミン(全州大)が2枚目の警告を受けて退場。前半27分までに4枚の警告を受けるなど激しい守りを見せていた韓国だが、逆にそれがマイナスに作用して数的不利を強いられてしまった。

 畳み掛けたい日本だが、攻撃のスピードが上がらない。佐藤が非常に高い位置取りから再三クロスを狙い、久保の右足FKや岩波の右足ミドルなど外からの攻撃を仕掛けるものの、リトリートして守る韓国ディフェンス陣の懐に入り込むことができず。ダイレクトのパスからスピードアップして韓国DF陣を振り切ろうとする場面もあったものの、全体的にアタッキングサードでのパスの精度を欠いてボールを失ったほか、相手の背後を狙う動きも少なく、攻撃が行き詰ってしまっていた。逆に38分には韓国MFイ・グァンフン(浦項スティーラーズ)の右足シュートがゴール右上隅を捉える。これはポープが左手ワンハンドではじき出し、事なきを得たが、日本は1人少ない韓国を圧倒することができない。

 矢島は「あの10人でスライドが早くて、戻りも早いのは韓国だから。前半よりも後半の方が守備が良かった」とその堅守を讃えていたように、10人と言えども韓国の守りは硬く、日本は得点をすることができなかった。それでもポゼッションを取りながら韓国の隙を突こうとする日本は後半7分、右サイドの川口からのラストパスを右中間で受けた久保が縦に切れ込みながら右足シュートを放つが、これはポストを直撃。29分には熊谷から交代出場のMF廣田隆治(岐阜)が中央へ折り返し、最後はニアサイドへ飛び込んだ久保がワンタッチでゴールへ押し込もうとしたものの、シュートはわずかにゴール右外へ外れてしまった。

 日本は31分にも、廣田が右サイドから出したラストパスを受けた交代出場のFW小野瀬康介(横浜FC)がDFを外して右足を振りぬくが、ゴールライン上で韓国DFがブロック。このこぼれ球を久保が押し込もうとしたものの、ゴールを破ることができない。ロスタイムに野津田が放った右足ミドルもゴールの左外へ外れて0-0で80分間の戦いを終えた。

 この時点で勝ち点1を獲得し、優勝を決めた日本。ただ試合前に吉田靖監督から「韓国はライバル。PKでも何でも勝て」と送り出されていた選手たちはPK戦でライバルから白星をつかむ。先攻の韓国が2人連続で成功したのに対し、日本は1人目の久保、2人目の野津田が確実に成功。そして相手の3人目、DFイ・ミョンジェ(弘益大)のシュートをポープが右へ飛んでストップ。優位に立った日本は廣田と佐藤が決めると、最後は韓国の5人目、DFカン・ユングの左足シュートがクロスバーの上方へ外れて決着がついた。

 吉田監督が「80分間で勝ちきるものがないと、UAEでの本番(AFC U-19選手権)は苦しいと思う」と語ったように満点の試合ではなかった。それでも熊谷は「韓国に勝ったのは本当にデカイ。みんな絶対に負けられない、という気持ちで走っていたし勝てて良かった」。昨年のAFC U-19選手権予選では韓国に0-1で敗戦。またロンドン五輪でU-23日本代表が韓国に敗れたばかりということもあり、選手たちの勝利への思いは非常に強かった。相手はトップチームではなかったものの、この勝利と優勝は自信となる1勝となった。

 3大会ぶりのU-20W杯出場権獲得を懸けたAFC U-19選手権は11月4日のクウェート戦からスタート。今回はCB遠藤航(湘南)がポルトガルとの初戦のみ出場し、川崎Fで主力のひとりとなっているMF大島僚太は欠場と攻守の両輪たちが不在という中で結果を残した。攻撃面の精度や守備面での共通理解向上など課題はまだまだあるが、指揮官も安定感を評価するイレブンはこれからチームをより高めて3大会ぶりとなる世界切符を勝ち取る。

[写真]U-19代表GKポープがPK戦で3人目を止めてガッツポーズ
(取材・文 吉田太郎)

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