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敗戦を糧に…猶本「もっと世界で通用する選手に」

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[9.4 U-20女子W杯準決勝 日本0-3ドイツ 国立]

 いつもクールな司令塔、MF猶本光が、敗戦の悔しさに涙を流した。

 前半から勝負を決めにきたドイツは前線から激しくプレッシャーをかけてきた。その標的にされたのが、ダブルボランチの猶本とMF藤田のぞみだ。ボールが入ると、2人、3人でドイツの選手に囲まれ、猶本と藤田は前を向くことさえままならない状況に。心臓を握られた日本は、ボールをいつものように運ぶ術を失った。

「(ボール回しがうまくいかなかったのは)私のポジションが悪かったせい。縦パスを入れられなくて、リズムがつくれなかった。自分のところが狙われているのは分かっていたけど、対応できなかった」

 前半は横に並んでいた猶本と藤田だが、後半は縦の並びになって猶本はよりゴールに近いポジションを取った。「私が一つ高いポジションでボールを受ければ、相手が混乱すると思って。のんさん(藤田)に下がっててくださいと話をしました」。パワー、スピード、テクニックともに優れたドイツを体感し、監督の指示ではなく選手自らが判断したという。リズムを取り戻した日本はゴールこそ奪えなかったが、後半は互角の戦いを演じた。
 
 そのプレースタイルから、なでしこジャパンの司令塔MF宮間あやの後継者として期待がかかる猶本だが、「まだまだなでしこ(ジャパン)のレベルではない。もっと判断のスピードを上げたい」と自ら分析した。

 U-20とはいえ、世界のトップクラスと対戦できたことは大きな財産となるはず。「もっと世界に通用する選手になりたい」。世界との距離を肌で感じた司令塔は、「忘れられない」敗戦を糧にさらなる飛躍を誓った。

(取材・文 奥山典幸)
▼関連リンクU-20女子W杯2012特集ページ

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