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「あの位置にいたのは普通のこと」“トップ下・遠藤”が決勝アシスト

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[11.14 W杯アジア最終予選 オマーン1-2日本 マスカット]

 “トップ下・遠藤”が劇的決勝点をアシストした。1-1で迎えた後半44分、DF酒井高徳が左サイドを突破し、ゴール前にグラウンダーのクロスを送ると、ニアサイドに走り込んだMF遠藤保仁(G大阪)がニアサイドでそらし、ファーサイドのFW岡崎慎司が押し込んだ。

「中に(本田)圭佑とオカ(岡崎)が来ているのは分かっていた。(ボールが)来たら、いいところに流せばいいと思っていた。角度的に僕の位置からシュートは難しかった」

 試合終了間際の極限の状況を淡々と振り返る。先制しながら後半32分に追いつかれると、同39分からはMF細貝萌がボランチに入り、遠藤がトップ下にポジションを上げた。守備を主眼に置いた采配だったが、「勝ち切ることを目指してやっていた」という背番号7は土壇場でゴール前に絡み、決勝点を演出。「トップ下だったので、あの位置にいたのは普通のこと。来るだろうなと思っていた」と、平然と言った。

「全体的に雰囲気に飲みこまれず、全員が冷静に戦えていた」。気温30度を超す酷暑の環境。赤と白に彩られたスタンドは異様な雰囲気に包まれていた。先制してからは追加点を狙いながらもリスクマネジメントを心がけ、ゲームをコントロール。「全体的にもう1点取りにいきたい中で、全員が上がってリスクを冒すようなことはなかった」。遠藤の卓越した戦術眼が不要なリスクを回避し、カウンター狙いのオマーンに決定機を与えなかった。

 2点目を取れず、後半32分には直接FKで同点に追いつかれたが、今度はトップ下として攻撃を操り、決勝点をアシスト。試合の流れに応じたプレーでチームを引っ張り、敵地での劇的勝利に導いた。「引き分けと勝ちでは全然違う。貴重な勝ち点3だと思う」。この日が国際Aマッチ出場124試合目。歴代最多記録を更新し続ける32歳が、ザックジャパンを5大会連続のW杯出場へ導く。

(取材・文 西山紘平)
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