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“格上”から学んだ修正することの大切さ、U-18日本代表候補が全日本大学選抜に4失点敗戦

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[5.21 練習試合 U-18日本代表候補1-4全日本大学選抜 J-GREEN堺]

 2015年のU-20W杯を目指すU-18日本代表候補は大阪合宿3日目の21日、全日本大学選抜と練習試合(35分×2本)を行い、1-4で敗れた。

 U-18代表候補にとっては、流れの悪い試合の中で修正することの大切さを学ぶ試合となった。横浜F・マリノス特別指定選手のMF長澤和輝(専修大)やすでにサンフレッチェ広島入りを決めているMF茶島雄介(東京学芸大)をはじめ、プロ候補生がズラリと並ぶ大学選抜に対し、U-18代表候補は相手の鋭いプレッシャーと高い技術の前にボールを支配されると、ダブルボランチがズルズルと下がり、ディフェンスラインに吸い込まれるような厳しい展開。守備に精一杯となってしまい、攻撃を上手くつくることができなかった。その攻撃面について「攻撃はクリアボールを上手く拾えるか、拾えないかというような状況だった。ほんの少しのスペースに縦パスが入っても自陣だったり、(FWも)それでしか上手くボールを受けられなかった。上手く攻撃をつくれなかった」と反省したFW高木大輔(東京V)は「(1本目)35分間やっていて自分たちのペースに持っていけなかったのが課題な部分。最初あれだけ攻められていて、相手がどういうことやるのか分かっていても、変えなきゃいけない。アジアを戦う上で臨機応変にやらなきゃいけない」と首を振っていた。

 4分に高木が右足シュートを放った以降はゴールを奪うことよりも、ゴールを守ることに力を注ぐ時間帯が続く。8分にはカウンターから大宮などが注目するFW泉澤仁(阪南大)に右足シュートを放たれ、11分には泉澤のラストパスをFW山崎凌吾(福岡大)に左足ダイレクトで合わせられた。大学選抜は両SBが高い位置でプレーし、CB車屋紳太郎(筑波大)も攻撃参加してくるなど人数をかけた分厚い攻撃。また、U-18代表候補が押し返そうとしたところでボールを奪い返すと、本来の狙いである切り替えの速い攻撃からのファーストブレイク、前へのパワーのある攻撃で相手をまたPAまで押し込んだ。

 U-18代表候補は左MF望月嶺臣(名古屋)のキープ力とドリブルがポイントとなり、連動して駆け上がった左SB内田裕斗(G大阪ユース)のオーバーラップも活用。高木とFW越智大和(広島ユース)も何とかボールを収めるとスピードのある攻撃につなげていたが、決定機を作る前のパスをカットされるなど1本目は無得点に終わった。そしてDF内山裕貴(札幌U-18)とDF鯉沼晃(大宮ユース)の両CB中心にPAで集中した守備を見せていた守備陣も、34分に中央のFW仲川輝人(専修大)から出されたスルーパスを長澤にゴールヘ沈められて失点。1本目を0-1で終えた。

 10人を入れ替えて迎えた2本目も立ち上がりに連続失点。3分、大学選抜は鋭いターンで2人のマークを外したMF天野純(順天堂大)が長澤へつなぐと、長澤のスルーパスで右中間を抜けだした仲川が2点目のゴールを奪う。さらに4分にもFW松本大輝(法政大)のポストからFW武藤嘉紀(慶應義塾大)が豪快な左足シュートを突き刺して3-0とした。

 U-18代表候補はこの後も決定機を作られた。だが、MF深井一希(札幌)とMF川辺駿(広島ユース)のダブルボランチが押し込まれずに相手の攻撃に対応し、また落ち着いてボールを収めて起点となると、チーム全体がリズムの良い攻撃を見せ始める。11分には中盤右サイドで相手DFからインターセプトすると、高校選手権得点王のMF小屋松知哉(京都橘高)からタイミング良くボールを受けた右SB鴨池陽希(F東京U-18)が一気にオーバーラップ。そのライナー性のクロスをMF青木亮太(流通経済大柏高)が頭で合わせて1点をもぎ取った。U-18代表候補はさらに19分、速攻から右サイドの小屋松がディフェンスの背後へ絶妙なラストパス。前線を追い越して飛び出した川辺がGKと1対1となったが、シュートはGKシュミット・ダニエル(中央大)の好守に阻まれて2点目を奪うことはできない。

 逆に試合終了間際に天野に左足チップキックでPKを決められて1-4で敗戦。それでも、それぞれが素早くパスコースをつくってボールを動かし、抜群のスピードを持つ小屋松がドリブルシュートへ持ち込んだほか、青木の縦への推進力、FW木戸皓貴(東福岡高)のキープ力など個の力を加えて悪い流れを立て直す収穫もあった。鈴木政一監督は「このゲームの流れをどうつくるか。アジアの予選で、相手が(プレッシャーをかけて)来て、そういう(苦しい)環境でずっとやらなきゃいけないのはマズイ。早い時間で自分たちのリズムにどう持っていくかが大事だということは彼らにも言いました」。3月末から行われた前回の合宿では関西の強豪大学と互角の試合もしていたU-18代表候補。一段階レベルの高い相手との戦いで得た収穫を今後につなげる。

[写真]後半、U-18代表候補は深井(中央)と川辺のコンビを中心に流れを引き寄せた

(取材・文 吉田太郎)

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