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完敗の現実に打ちひしがれる香川

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[6.15 コンフェデレーションズ杯A組 日本0-3ブラジル ブラジリア]

 シュート0本。それどころかラストパスもないような低調ぶりにMF香川真司(マンチェスター・U)は悔しさを通り越し、自嘲気味な表情すら浮かべていた。

「僕たちは攻守において完敗だった。あれだけ勝ちに行くと言っておきながら、それをしなかった。示す作業もせずに終わった」

 言葉通りの完敗だった。立ち上がりの前半3分にいきなり失点すると、6分後の前半9分、MF清武弘嗣のクロスに対してニアに香川、ファーにMF本田圭佑が詰め、本田がシュートを放ったが、大きく枠外。その後は2失点目を恐れてプレーに思い切りがなくなった。

「最初が大事という中で、前半の最初に決められた。ただ、あれは決めた選手を褒めるべき。だから選手は切り替えるべきだったけど、どこかでもう1点を失いたくないという気持ちがあった」

 頭の中をよぎったのは昨年10月16日の試合だ。先制されるまでは「何かが起こりそう」なチャンスをつくっていたものの、前半12分に1点を失うと、前がかりになった日本は相次いで失点。最終スコア0-4という大敗だった。

「去年の試合のことが頭の中にあり、その分、慎重になっていた。攻撃の部分では前に行く姿勢やリスクをかける姿勢といった精神的なところで後手に回った」

 それでも前半を0-1で終え、巻き返しを図った後半3分。「チャンスは必ず生まれてくると思っていた中で、後半の最初にまたやられた。みんなが精神的にも(がっくりと)きた失点だった」

 そしてその先にあったのは、消極的なサッカーだ。0-4から8か月後の0-3は前進ではなく、見かけの数字とは相反する“後退”でしかなかった。背番号10は「(前回より)はるかに衝撃があった。前より重い敗戦。前回は収穫があったし、チャレンジできたけど、今回は真剣勝負の中でチャレンジできなかった」とうなだれた。

 持ち味を見せることも、粘りを見せることもできなかったブラジル戦だが、すぐに次のイタリア戦がある。「これで終わりじゃないし、W杯でも初戦で負ける可能性は十分にある。イタリア戦に切り替えて、まず今日はしっかり切り替えることが大事」。香川は自らを奮い立たせるように言った。

(取材・文 矢内由美子)

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