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現代サッカーで高まるフィジカルの重要性、日本代表コーチらがトークセッション

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 現代サッカーにおけるフィジカルの重要性について語るトークセッションが20日、都内で行われ、日本代表の早川直樹コンディショニングコーチや元日本代表MFの名波浩氏、横浜FMユースの松橋力蔵監督、フットボールジャーナリストの西部謙司氏らがそれぞれの視点で意見を述べた。

 早川氏は「日本では体力と言うと、ひとすら走ることをイメージしやすいが、大きく分けて持久力、スピード、筋力、モビリティーの4つから構成される」と語り、その中の一つである持久力について、1試合の中でダッシュなどの負荷の高い運動をいかに繰り返し、試合終盤になってもその頻度を保つことができるかが重要になっていると指摘。「世界でも日本でも、『高強度運動』の持久力に注目している。それが選手のパフォーマンスに大きく影響するのではないかと考えられている」と、近年のトレンドを明かした。

 こうしたフィジカルフィットネスを数値化し、データとして日々のトレーニングや試合に生かしているクラブは世界中で増えているという。シューズ内の靴底にICチップを搭載することで選手個々のパフォーマンスデータを計測する『adidas miCoach SPEEDCELL』はその一つで、今夏の日本クラブユース選手権(U-18)を制した横浜FMユース、総理大臣杯で優勝した流通経済大、全国高校総体準優勝の流通経済大柏などがすでに導入している。

 横浜FMユースの松橋監督は、実際に『adidas miCoach SPEEDCELL』で計測したデータをどのように練習にフィードバックしているかについて説明したうえで、データ=数字だけを見るのではなく、それが実際のピッチ上でどのように現れているかをしっかりと分析し、選手、チームのパフォーマンス向上に役立てることの重要性を語っていた。

 アディダスではウェブサイト『フィジラボ powered by miCoach』を立ち上げ、MF香川真司やFWリオネル・メッシといった国内外のトッププレイヤーのパフォーマンスデータを掲載。普段、高校や大学でサッカーをしているプレイヤーも『adidas miCoach SPEEDCELL』で計測した数値を同サイトに入力することで、自分自身が12タイプに分類された選手スタイルのどのタイプに当てはまるかを診断し、そのタイプの平均値やトップ選手のデータと比較することができる。さらに、その診断結果をもとに、今後、伸ばしていくべき能力と、そのためのトレーニング方法も具体的に提示してくれる。

 早川氏によると、世界では毎日の練習から選手全員にハートレイトモニター(心拍計)とGPSを付けることで、選手の走行距離や心拍数などを計測しているビッグクラブもあるという。これまで漠然としていたフィジカルフィットネスを目に見える形でデータとして可視化し、それを選手自身のパフォーマンス向上に役立てようという新たな取り組みは、プロ・アマを問わず、普段のトレーニングやチーム強化に欠かせない要素となっていくのかもしれない。

(取材・文 西山紘平)

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