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なでしことU-23女子代表で競争をあおる佐々木監督「逆転もあり得る」

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 日本サッカー協会は17日、3月にポルトガルで開催されるアルガルベ杯に出場する日本女子代表(なでしこジャパン)と、同じく3月にスペインで開催されるラ・マンガ国際大会に出場するU-23日本女子代表のメンバーをそれぞれ発表した(メンバーはこちら)。

 今年5月には、来年の女子W杯(カナダ)の予選を兼ねた女子アジア杯がベトナムで開催される。2014年最大の目標でもあるアジア予選突破に向け、両大会は貴重なチーム強化、そして選手選考の場となる。

 なでしこジャパンの佐々木則夫監督は記者会見で両チームの選考基準について「海外組が増えたこともあり、なでしこは経験のある海外組を中心にした」と説明。今月上旬には熊本県内で平均年齢19歳の若い女子選手たちを集めた「なでしこチャレンジプロジェクト」を実施したが、「若い選手も意欲的で、手応えを得た。アルガルベに呼んで試したいという気持ちもあったが、試合経験という意味ではラ・マンガのほうが出場機会が増える」と、基本的に若手の抜擢は見送り、U-23女子代表に組み込んだ。

 ただ、どちらのチームに入っていても、5月の女子アジア杯に向けては“横一線”であることを強調した。アルガルベ杯では優勝を目指すとしたうえで、「その中でいいパフォーマンスを出せるかどうかが5月のメンバーにかかわってくる。若い選手がラ・マンガでがんばってくれれば、逆転することもあり得る」と力説。昨年はケガもあり、昨年7月の東アジア杯では招集されなかったMF澤穂希(INAC神戸)に関しても「昨年、リーグ戦終盤はいい動きをしていた。彼女自身、世界のトップを相手に、もう一度なでしこの軸になれるかどうかのチャレンジだと思うし、僕もそういう目線で見ていきたい」と指摘した。

 特に期待を寄せる若手選手の一人として名前を挙げたのが、今月上旬の「なでしこチャレンジ」に参加し、アルガルベ杯のメンバーに選ばれたDF三宅史織(JFAアカデミー福島→INAC神戸)だ。「体を張った守備対応の部分で成長している。ボールの運び方に長けていて、インテリジェンスのあるプレーを評価している」。昨年9月のナイジェリア戦でも招集されてなでしこデビューを果たしており、「経験もあるということから、融合しやすいと考えて選考した」と説明した。

 さらにU-23女子代表として選出したFW吉良知夏(浦和)、MF入江未希(日ノ本学園高→仙台)、DF乗松瑠華(JFAアカデミー福島→浦和)、DF羽座妃粋(日ノ本学園高→日本体育大)の名前も挙げ、「近いうちになでしこのメンバーの中で試したい。そういう若い選手が頭角を現してきた感はある」と、なでしこの主力を脅かす選手に成長することを期待していた。

 今年に入ってDF鮫島彩のヒューストン・ダッシュ(アメリカ)への完全移籍、MF川澄奈穂美のシアトル・レインFC(アメリカ)への期限付き移籍が発表され、FW大野忍とDF近賀ゆかりもアーセナルレディースFC(イングランド)に移籍することが決まった。

「サッカーのリズムが日本とは違う中で、パワー、スピードが卓越した部分がアメリカのリーグにはあるし、ヨーロッパもそう。その中で進歩した選手もいる。個の質は、自分の意識が高まらないと難しい。チャレンジしながら大きくなって、なでしこに戻ってきてくれれば。最終的な力を発揮してもらうのは来年のW杯になる。そのためにもいい経験を積んで、一人ひとりがパイを大きくした中でなでしことして集まってW杯に臨めれば」

 2連覇を目指す来年の女子W杯に向け、海外組の急増が個のレベルアップ、さらにはチーム全体の底上げにつながることを期待する佐々木監督。「チームとしてW杯連覇という目標はあるが、経験のあるベテラン選手も来年のピッチに立てるかどうかは一人ひとりが勝負。ベテランでもアピールしてほしいし、若い選手がラ・マンガで良ければ、(女子アジア杯が行われる)5月のピッチに入るかもしれない。そこは選手にも伝えながら、まずはそこからだと思う」と、チーム内のさらなる競争を促していくつもりだ。

(取材・文 西山紘平)

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