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W杯でも失点覚悟?「チームのバランスは取れている」

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 国際Aマッチ5連勝でW杯に臨むことになった日本代表だが、米フロリダ遠征での2試合はいずれも先制点を許した。2日のコスタリカ戦(3-1)、6日のザンビア戦(4-3)と、2試合で7ゴールを挙げて逆転勝ちしたが、やはり守備面は気がかりだ。

 それでもアルベルト・ザッケローニ監督は「チームとしてのバランスは取れていると考えている」と強調する。「この4年間、相手のゴールに迫る、ボックス内に飛び込むという指示を出してきたが、同時にバランスも求めてきた。そのバランスを最高のレベルに引き上げることを求めている」。何かを変えるのではなく、あくまでこれまでのコンセプトどおりに、その精度を高めていくことが重要だと考えている。

 昨年11月のベルギー遠征で対戦したオランダ、ベルギーにも先制点を許した。オランダ戦は2点差を追いつき、2-2のドロー。ベルギー戦は3-2で逆転勝ちした。W杯本大会でも点の取り合いを覚悟する必要があるのか。

「オランダ相手に2点を取りに行こうと考えたら、失点はある程度、想定しないといけない。ベルギーを相手に3点取りに行こうと思ったら、ある程度の失点は想定しないといけない。コスタリカから3点取りに行こうとすれば、1失点は仕方ない。ザンビアに4点取りに行こうとしたら、失点は1点ぐらいは想定しないといけない」

 攻撃的なサッカーを掲げているからこそ、多少の失点はやむを得ない。失点は覚悟の上だ。かといって、手をこまねくつもりもない。特に3失点したザンビア戦については「失点が多かった」ことを認める。ただ、それも戦術的な問題ではなく、「集中力」の問題だったと指摘する。

「マークに付く動きや集中力が欠けていたのかなと思う。数的同数でやられている。数的不利でやられているわけではなく、バランスが崩れていたわけでもない」

 最終ラインを中心とした守備陣だけの問題ではないと強調した。「失点が多いと、一つのパート、つまりDFラインが批判されるが、必ずしもそういうわけではなく、11人でサッカーをやっている」。チームとして守備をする重要性をあらためて説いた。

「広いピッチをカバーするには11人いないといけない。中盤の選手、前線の選手がしっかり守備に参加しないといけない。全員が守備をしないといけない。そういう意味で、こないだの試合は中盤のライン、FWのラインがいつもほど守備をしなかったのかなと思う。ミスや責任は一つのところに集中するのではなく、チーム全員で取っていくべきだと思う」

 もっと言えば、良い守備が良い攻撃につながる。「前線のメンバーが守備に参加しなければ、同時に前線の選手のチャンスも減る。つまりボールの奪いどころが低くなり、ゴールを奪うのは大変になる」。攻撃陣がディフェンスで守備陣を助けるように、守備陣もまた攻撃の第一歩となる。「メディアでは攻撃的な選手がクローズアップされがちだが、彼らが活躍できるのもMF、DFがいるから。彼らがボールを出すから活躍できる」。攻撃も守備も一体。全員攻撃、全員守備という基本コンセプトをあらためて強調した。

(取材・文 西山紘平)

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