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元日本代表DF都並敏史の徹底分析「コートジボワールにサイドチェンジを許すな!!」

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 FWディディエ・ドログバ、FWジェルビーニョ、MFヤヤ・トゥレ…。圧倒的な個の力を持つ選手たちを擁するコートジボワールに対して、日本代表はどのような戦いを挑んでいくべきなのか。元日本代表DFであり、現在は解説者として幅広く活躍する都並敏史氏に、グループリーグ初戦で激突するアフリカの雄を分析してもらい、試合を観戦する上でのポイントをうかがった。都並氏は、コートジボワール戦後ブラジルに渡り、日テレ系列で放送される日本vsギリシャ戦の解説を務める。

<先発予想 1トップは柿谷が適任>

 W杯のような大会で、初戦というのは非常に重要です。特に今大会、日本はグループリーグの最終戦に、最も力のあるコロンビア代表と対戦します。理想を言えば、その前の2試合で勝ち点6を取っておきたいところ。うまくいけば、最終戦は消化試合にできるでしょう。そうすれば決勝トーナメント1回戦に向けても、準備がしやすくなります。

 コートジボワール戦の予想先発メンバーは、GK川島永嗣、DF内田篤人、DF森重真人、DF吉田麻也、DF長友佑都。MF遠藤保仁、MF山口蛍、MF岡崎慎司、MF本田圭佑、MF香川真司、FW柿谷曜一朗です。

 この試合、1トップにはFW柿谷曜一朗(C大阪)が先発するべきだと思います。僕の考えでは、コートジボワールの守備には隙があるというか、ザルみたいなところがあります。そこに、一瞬の速さで裏を抜ける選手を置くことが、非常に効果的です。FW大迫勇也(ケルン)というポストプレータイプの選手もいますが、コートジボワールの守備は楔のボールを受けた選手に対しての当たりが非常に強く、日本がそこで勝負を掛ける必要はないと思います。アルベルト・ザッケローニ監督も、それを想定してザンビア戦で柿谷を先発させたのでしょう。日本の最大のストロングポイントは、MF岡崎慎司、MF本田圭佑香川真司の並ぶ2列目です。経験もあり、大舞台にも動じない彼らを活かすには、柿谷が裏にビュンビュンと抜けていき、相手の最終ラインを下げる。前線にスペースをつくって、2列目で点を取る。そのために、柿谷が適任だと思います。

 現在の調子を考えると、FW大久保嘉人(川崎F)が一番良いと思います。しかし、コートジボワールは前半、ものすごい勢いを持って試合に入ってくることが予想されます。相手が前半から飛ばしてくる。そこで日本は我慢をしながら耐えて守り切って後半につなげていきたい。とにかく失点をしないで前半を終えて、後半に大久保を出して攻撃をスピードアップする。そういう切り札としての起用がいいのではないでしょうか。

<スコア予想 2-1で日本の勝利>

 スコアを予想すると、2-1で日本の勝利です。僕は応援団ですから(笑)。コートジボワールの守備を見ると、1-1のゲームよりも、2-1の方が想定できます。守備力で言えば、ザンビアの方がよっぽど組織的で堅かった。日本は、2点は取れるはずなので、1失点に抑えることができれば勝てるでしょう。理想の展開を言えば、前半を0-0で折り返し、後半に先制する。コートジボワールは、後半に崩れることが多いですが、それはスタミナがないから。さらに日本が先制すると、コートジボワールの選手たちは『攻めなければいけない』という意識が強くなり、守備を助けようという意識を持つ選手がいなくなります。そうなったところで2点目を取る。最後はパワープレーに出た相手に1点を返されて、2-1というのが、僕の想像する理想の展開ですね。

 ザンビアとの親善試合では、3失点を喫していますし、不安に思っている人も多いでしょう。でも、あの試合で本当に良い準備ができたと思います。僕も現役時代にナイジェリア代表と対戦したときに肌で感じたのですが、アフリカの選手たちの速さは想定していないと、対応が難しい。また、リーチの長さも桁違いで、『えっ?』と思うようなところから足が出てきます。いくら日本の選手たちのフィジカルが伸びてきたからといっても、彼らに勝てるとは思わない方がいいでしょう。まともな勝負はやめた方がいい。周囲の選手と連動して、保険を掛けながら戦うべきです。アフリカ人特有の個の能力を体感できたことに加え、3失点したことで守備の意識も高くなっているはずですから、そんなに失点はしないのではないかと思っています。

<観戦ポイント サイドチェンジを許すな>

 日本が優勢に試合を進めているかどうか。その一つの目安となるのは、相手のサイドチェンジの本数です。サイドチェンジを、たくさんされているような試合では、絶対に日本の良さは出せません。なぜかというと、日本はコンパクトに陣形を保ち、左右の両サイドで追い込む守備を前提としているからです。これを外されたとき、うまくいかなくなります。

 これは、どのゲームにも当てはまるポイントですが、特に個々の能力が高いコートジボワール戦に言えることです。サイドチェンジを多くされると、それだけ左右に揺さぶられ、コンパクトなユニットを保てなくなります。そうなると、先ほどの話のように1対1になる局面が増えて、相手に突破される危険性も増します。

 逆に相手にサイドチェンジを許さずに、サイドでボールを奪うことができれば、コートジボワールは決して組織的なチームではないので、速攻からチャンスがうまれやすい状況があります。ですから、そこに注目して見てほしいですね。サイドチェンジをされていたら、『これは苦しいぞ』。サイドでボールを奪えていたら、『これはチャンスだぞ』と。最初にも言いましたが、最終戦で当たるコロンビアはサイドに追い込んでも、狭い局面でDFを外すことができますし、ボールを奪っても守備組織がしっかりしています。やはり、グループステージを突破するためには、最初の2試合で勝ち点6が絶対に必要だと思うので、この試合にすべてを賭けて臨んでほしいと思います」
(取材・構成 河合拓)
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