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「みじめだけど、これが現実」悲痛な本田、代表引退は否定

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[6.24 ブラジルW杯C組 日本1-4コロンビア クイアバ]

 呆然と立ち尽くした。目標は「世界一」と公言し、「集大成」と位置付けたブラジルW杯。1分2敗の最下位でグループリーグ敗退という結果を前にして、FW本田圭佑は言葉を絞り出すように言った。

「自分の言ったことに責任もあるし、非常にみじめですけど、これが現実。すべてを受け入れて、また明日から進んでいかないといけない」。時折、考え込むように言葉に詰まり、一言一言をゆっくりと吐き出した。

「また一から、この悔しさを生かすしかないのかなと。自分にはサッカーしかないし、自分らしくやっていくしか…、そのやり方しか知らない。これからも……これからというか、明日からですね。また前を向いて進んでいきたいと思います」

 自身が1トップを務めた4年前の南アフリカW杯。守備的なスタイルでベスト16という結果を残したパラグアイ戦後に本田は言った。「内容はともかく勝ちにこだわって、そういうやり方でここまで来た。次は欲を出して、もっと攻めに行く姿勢を世界に見せる番じゃないかなと思っている」。その思いを抱き続けた4年間だった。

 攻撃的なスタイルで、日本らしいサッカーで世界を相手に勝つ。しかも目指すところは世界一。壮大な夢は、しかし現実の壁に打ちのめされた。「何を言っても負けたので。ただの負け犬の遠吠えになるけど」。本田はそう前置きしたうえで、なおも言った。

「こういうサッカーで勝たないと、見ている人も魅了されないと思うし……。ただ、勝っていないので。『何、言ってんねん』って話になるでしょうけど、今後、日本サッカー界で大きく議論されるでしょうけど、僕はこのスタンスで行くことが、個々の選手の成長にもつながると、そういうふうに思っています」

 今大会で日本代表から引退する可能性はあるのか。そう問われた本田はきっぱりと否定した。「いえ。はじめから次も行くつもりだった。当然ながら目指したいと思います」。2018年のロシアW杯。そこでも優勝という目標は変えない。いや、変えられない。

「ここで変えないと言っても、『何、言ってるんだ』ってなるでしょうけど、俺はこの生き方しか知らないし、自分らしく生きる、生き続ける。明日からもサッカーができるチャンスがあるのは、すごく幸せだし、サッカーに感謝しないといけない。強気しか、僕には道がないと思う」

 悲痛な表情で、必死に自分に言い聞かせた。呆然自失した姿には、虚脱感も漂わせていた。「今後、必要なことは?」。そう聞かれた本田は「これで、もういいですかね。何を話してもキリがないと思うので」と質問を打ち切り、ミックスゾーンを通り抜けた。

(取材・文 西山紘平)

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