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[アジア大会]無念の銀…なでしこMF宮間「もう少しサッカーらしいサッカーをしたかった」

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[10.1 アジア大会決勝 日本女子1-3北朝鮮女子 文鶴]

 試合終了の笛がなると、センターサークル付近で力なくうつむいた。しかし、両チームの握手を終えた後、真っ先に日本の応援団の方へ行ったのはMF宮間あや(湯郷)だった。敗戦に足取りの重いチームメイトをうながしながら深々と頭を下げて挨拶。バックスタンドの応援団の方にも素早く駆け足で向かった。

 無念の思いを断ち切り、すぐにでも次に切り替えたいのだろう。取材エリアでは銀メダルという結果について「金メダルを取りに来ていたので非常に残念ですし、情けない思いです」と言い、試合内容については「もう少しサッカーらしいサッカーをやりたかった」と、率直な思いを口にした。

 1点を失ってからロングボールが増えてしまった。パスサッカーで生きるなでしこのスタイルとはかけ離れた攻撃に、キャプテンは「ビハインドだったので」とエクスキューズを入れながらも、「長いボールは効果的ならいいが、そうじゃないボールは自分たちには必要ない」と言った。カウンターからの失点場面についても、「チームとしての守備力が足りない」と厳しかった。

 0-2とされた後半11分に、なでしこらしいパスでの崩しから1点を返したのは、主将としての意地だ。MF川澄奈穂美の右クロスに逆サイドから走り込み、ニアサイドに入ったFW高瀬愛実に「スルー!」と叫んで右足シュート。ボランチの位置から最前線まで長い距離を走っての反撃弾に「川澄と目が合ったから」とさりげなく説明する。しかし、反撃もここまで。終盤に3点目を失い、万事休した。

「北朝鮮がどれだけ速くて強いかというのが分かっていたので、準備してきたつもりだけど、チーム全体として適応できたかというとそうではなかったと思う」

 新加入の選手たちをまとめあげながらたどりついた銀メダルという結果は、決して悪いものではない。けれども頂点だけを見つめる宮間にとってそれは納得材料にはなり得なかった。

(取材・文 矢内由美子)

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