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初挑戦トップ下でデビュー最速弾の武藤「自分の特長が生きる場所」

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[8.2 東アジア杯 日本1-2北朝鮮 武漢]

 敗戦の中で光った。この試合が日本代表デビューとなったMF武藤雄樹(浦和)が前半3分にいきなり先制点。「武藤雄樹」の名を高らかにアピールした。

 鮮やかなゴールだった。中盤にこぼれてきたボールをボランチのMF谷口彰悟が右サイドに展開。高い位置を取っていた右サイドバックのDF遠藤航が絶妙なアーリークロスを上げると、ニアで北朝鮮DFの前に走り込んだ武藤が右足で合わせた。

「レッズでもよく決めている形だったし、僕はいつもあそこを狙っている。相手のDFラインが高かったので、ああいうボールが有効になる中、(遠藤)航がすごく良いクロスを上げてくれた。決めることができて良かった」

 国際Aマッチデビュー戦での得点は、昨年9月9日のベネズエラ戦でデビュー弾を記録したMF柴崎岳以来、史上29人目。しかも試合開始からわずか3分はデビュー戦の史上最速ゴールだ。

 いきなりのゴールでリズムに乗った武藤は、その後もチャンスを量産した。前半12分にはペナルティーエリア左側でヒールパスを送り、FW宇佐美貴史がシュート。同24分にはDFラインの裏にパスを出し、FW川又堅碁の決定機を演出した。

 しかし、追加点が遠い。武藤自身も後半30分の決定的チャンスでGKにセーブされてしまうなど、多くのシュートを打ちながら決め切ることができなかった。

「チャンスは多かったし、もう1点決まれば試合を終わらせることができたと思うので、もったいなかった。後半は運動量も落ちてミスが増えた。セカンドボールを拾ってディフェンスを助けることもできなかった」と反省が口を突いた。

 それでも収穫は大きい。代表デビューで「思いのほか、緊張もしなかった。最初に点を決めたことで余裕を持ってプレーできた」と、強心臓ぶりを見せた。経験のないトップ下で手応えをつかんだこともうれしい発見だった。

「トップ下でもさほど困ることはなくプレーできた。ボールを引き出すことや、裏に飛び出すことといった自分の特長が十分生きる場所だと思った」

 ハリルジャパンのトップ下と言えばMF香川真司であり、以前ならFW本田圭佑が君臨していたポジション。ライバルの姿はまだまだ大きいが、「運動量や前に飛び出すこと、仕掛けることといった自分の良さは出し続けたい」と、試合前以上に意欲が高まった様子だ。

「まだ2試合ある。もっと良いところを出せるように頑張りたい。次は勝利に貢献できるゴールを決めたい」。昨年、代表デビューを果たし、スターダムにのし上がったFW武藤嘉紀を引き合いに、自分のことを“じゃない方の武藤”と言ったこともあった。だが、インパクト十分のデビュー最速弾。“こっちの武藤”が最高のアピールに成功した。

(取材・文 矢内由美子)

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